【感想】パレードのシステム

高山羽根子 / 講談社
(12件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
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ブクログレビュー

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  • iwakanakana

    iwakanakana

    台湾が出てくるお話だと知らずに読んでいたけど、大好きな台湾が出てきて嬉しかった笑
    主人公がいったいどんな作品を作る人なのか、友人がどういう仕掛けで亡くなってしまったのか、文章しかないので想像で読むしかないのだけれど、そういう想像する余白がたくさんある作品だなぁって思った。
    台湾また行きたいなあ。
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    投稿日:2023.10.12

  • tpochi0717

    tpochi0717

    祖父が自死して、私はかつて祖父が幼い頃に住んでいたという台湾に興味を持った。

    興味といっても、生前の祖父にたいする強い思いがあったわけということでもなく、自分の為でもあったのかもしれない。

    昔のバイト先で台湾出身の人と一緒に飛行機で渡った台湾という地で、お葬式を通じて見てきたこと。
    かつて一緒に美術を学んだ、死んだ友達のこと、祖父のこと。
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    投稿日:2023.09.22

  • k-masahiro9

    k-masahiro9

    このレビューはネタバレを含みます

    日本と台湾をめぐる死生観を描いた小説。
    200ページ弱の中で、それがしっかり描かれていて、静かに埋没するように読むことができた。どの登場人物も淡々とした描写のみに押さえられていて、独特な雰囲気を醸し出すような感じだった。

    「台湾は昔からいろんな人が来て住んでいますから、産んだり、育ててくれたりした人のほかにも、まわりまわって世界の中でお世話になっていると考える人は多いです。あらゆる場所に縁があるというな。ですから、自分とは直接に関係ない人に対しても、この時期におもてなしをするんです」(p.83)

    「大きな駅を離れ、建物や車や人が減るにつれめ、線路のそばに生えている木が大きくなり本数も増えていく。街中でも感じていたのと同じで、日本の風景と似ているようで、ずいぶんちがっている。幅広のヤシの葉とかそういうものが線路やその上を通る車両に触れながら、時に列車にすべてを取りこんでしまうほどの勢いで育っている。流れていく田んぼや畔、そこに生える稲も一本一本、すべてが日本とちょっとだけちがう」(p.106)

    「生と死のあるこの場所は、においと音楽で満ちている。微細なその粒子は私の周囲で絶えず動き続ける。逆を言えば、生と死がある場所である以上、そこは自然に、においと音楽で満ちる」(p.169)

    「周到に、慎重に、順序だったシステムで私たちの生のパレードは晴れがましく死へ進む」(p.174)

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    投稿日:2023.09.18

  • heepeeco

    heepeeco

    公私に渡りバタバタでなかなか本を読むことができなかったのだが、この本が「おい、読むのはいまだぞ」と自宅最寄駅から帰さぬような豪雨を降らせ、私を喫茶店へいざなったのかと思うほどの、今読むべき、どんピシャな内容であった。人の死とは。誰もが生きてきたその道のりとは。高山羽根子さんの本は初めてだったけれど、心満たされる、好きな文章で、他の作品も読みたいと思った。続きを読む

    投稿日:2023.08.20

  • ゆまち

    ゆまち

    「周到に、慎重に、順序だったシステムで私たちの生のパレードは晴れがましく死へ進む。」

    祖父の自死、そこから判明する何も知らなかった祖父のルーツ、祖父のルーツを訪ねて知人を通して台湾という見知らぬ文化の地へ誘われるわたし。台湾の文化や風習を知っていくことで、祖父のこと、友人の死のこと、自身の芸術や美術作品への向き合い方へと思いを巡らせていく。
    物語は複雑に、慎重に、静謐に、絡まり合いながら「わたし」の思考は解きほぐされていく。

    このように鮮やかに死へと連なる生という名のパレードについて、そのあらましを描けるものなのかと感嘆した。
    本書に、台湾では死者が返ってくる鬼月には顔と名前を死者=鬼に知られてはならないという風習があるらしい。
    この物語に出てくる登場人物は主人公のわたしを含めてみな、名前はわかっても下の名前や苗字だけだったり、あだ名だったり名無しだったりする。
    容姿の描写もなく顔が見えない。やはり意識して書かれているのだろうか、だとしたらなんとも周到なと舌を巻く。
    「生きている人が酒を飲み、涙と汗を流すいっぽうで、死んでいる人が水分を失っていく祭りが、お葬式というものだということに私は気がついた。」という文章がやけに印象に残る。事実だからかもしれない。
    読了してから改めて表紙を見る。
    私たちの生が数々の仕組まれたシステムのうちに存在するパレードであるならば、この表紙は私たちの人生そのものだ。
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    投稿日:2023.07.27

  • nemurukurage

    nemurukurage

    おもしろい。おもしろすぎた。。
    こんなに少ない言葉で、こんなに複雑なことが伝えられるんだ、と、素晴らしい文章がことばが、あふれている。
    物語に巻き込まれる、というように、私は主人公として話に没入しました。文章が映像的なのかなぁ。シーンがずっと頭に浮かぶ文章。続きを読む

    投稿日:2023.07.06

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