【感想】もっこすの城 熊本築城始末【文庫版】

伊東潤 / コルク
(5件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • あしげ

    あしげ

    日本の城が好きです。特に巨大な建設物が大好きです。この物語の熊本城には行ったことはないけど、「加藤清正が建てた熊本城」・・・確かに表現は間違いじゃないけど、加藤清正が建てろと言った熊本城、が正解だろ!と感じる小説でした。
    伊東潤の「江戸を造った男」と同じ感動を味わえる、かなりお勧めの一冊です。

    熊本城復活にちょっとでも貢献するよう、訪問したくなりました。
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    投稿日:2024.04.29

  • のり

    のり

    「塞王の盾」から派生して辿り着いた。これも面白い。作者、加藤清正好きすぎない?ってくらい魅力的に書かれているし、安土城から名護屋城、大阪城、蔚山城を経て熊本城に至る流れもアツい。秘伝書頼みの仕官から最後の人間力による築城まで、ブラックな面も多分にあるけど、エンジニアとして羨ましい人生だなと。続きを読む

    投稿日:2023.04.08

  • 花穂尻べえた

    花穂尻べえた

    黒南風の海の時からこの作家さんの描く加藤清正が大好き。

    長短はあれど、それぞれの人生の中で精一杯何かを成すために生きることができれば、藤九郎の境地に至ることができるのかもしれない。

    投稿日:2023.02.28

  • tomofu

    tomofu

    天下の名城、熊本城を築いた城取り(城の設計、施工を取り仕切った人)のお話。
    武将でもなく、一足軽の側からでもなく、城を造る側から見た秀吉の晩年の時代。朝鮮出兵時に現地でいくつか城を造っていた話もとても興味深かったです。
    そして最後に熊本城を築き上げる場面には心が熱くなりました。
    加藤清正についても人物像を知ることができてよかったです。
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    投稿日:2023.01.04

  • DJ Charlie

    DJ Charlie

    少し独特な感じもする、戦国時代の終わり頃から江戸時代最初期の頃を背景とした物語である。なかなかに愉しい作品で、紐解き始めると「続き」が気になって頁を繰る手が停められなくなり、素早く読了に至った。
    所謂「大名家」というのは、大名を筆頭として、その家臣として様々な人達が在って「御家中」が形成される。武士とは「戦闘集団」ということになるので、武器を手に戦うことを第一義的な役目とする人達が主流となるのかも知れない。が、大名が例えば「〇〇国一円」とか「〇〇国の北側の半分」という程度の広い版図を知行地とするような場合、統治のために様々な仕事が生じる。仕事の内容によろうが、技術ノウハウや、それらが合わさった知恵の積み重ねというようなモノが必要な筈である。
    本作は、その技術ノウハウや、それらが合わさった知恵の積み重ねというようなモノを持つ者として、大名に仕えてそれらを活かして活躍したという人物を主要視点人物としている。戦国時代の終わり頃から江戸時代最初期の頃を背景とした物語の中では少し異色であるかもしれない。が、その異色である様子が魅力的なのだ。
    プロローグは安土城での出来事である。
    「本能寺の変」で織田信長が謀殺されてしまったことが伝わった安土城で、家中でも最強とも目される手勢を率いる戦巧者の明智光秀が事件の首謀者とも伝わり、主が留守の安土城を護る役目の者達が動揺しながら議論をしている。やがて、何時の間にか何処かへ去る者や、口実の下に安土城を離れようとする者ばかりが目立つようになる。そうした中、木村次郎左衛門は飽くまでも安土城を護るべきだとして、志を同じくする者達と共に押し寄せる明智勢を迎え撃とうとする。そして妻と子ども達を逃がす。
    木村次郎左衛門は「城取り」という役目を負って織田家中に在った。城の基本設計、土木工事、建築工事全般を取り仕切り、計画期間の中で竣工させる。専ら城ということに限らず、技術系の仕事を広く担うような面も在ったようだ。「城取り」たる木村次郎左衛門は、安土城の築城に在っては奉行の直ぐ下の現場統括責任者だった。手掛けた安土城を最後まで護りたかったのだ。
    この父の薫陶を受け、父の背中を見ていた木村藤九郎が在った。母と弟の藤十郎、妹の里を伴い、父に指示されたように甲賀へ難を避けた。が、父の木村次郎左衛門は安土城で討死してしまう。
    このプロローグの後が本編となる。
    安土城の一件から5年程を経て、木村藤九郎は尾張にやって来ていた。
    安土城から難を避けた後、藤九郎は甲賀で母や弟と妹と共に小作農のような暮らしをしていた。何処かに仕官をして、生活の向上を図ろうと、藤九郎は行動を起こす。豊臣政権の下、加藤清正が大名に抜擢され、急激に拡大した知行地での様々な仕事のために仕官を希望する者を大々的に募っていたのだ。
    藤九郎は「秘伝」と呼んでいたが、父の次郎左衛門が書き残した、城の基本設計、土木工事、建築工事全般、仕事の進め方、その他の様々な事柄の知識を持っていた。何時もそれを読んでいたが、そういう知識を活かし、「城取り」としての仕官を望んだのだ。
    こうして藤九郎は加藤清正の御家中に仕官をする。或いは加藤清正と巡り合うということになるのだ。どのような経過を辿るのかということが、本作の物語ということになる。
    藤九郎は種々の任務に全力で取組む。次第に重責を担う現場責任者として台頭する。実に様々な出来事が在る。
    当初は加藤清正の新たな知行地となった地域で治水工事や街道整備のようなことに携わる。やがて朝鮮出兵の局面で、名護屋城や朝鮮の戦地での城に携わり、漸く帰国する。その後、国内情勢の様々な動きの中で隈本城(現在は「熊本城」と書く)に携わる。様々な困難を乗り越え、様々な人達と出会い、父の遺訓を受け止め、何時も懸命な藤九郎の物語が展開する。何れもなかなかに凄い挿話なのだが、事案に懸命に取組む藤九郎の様子は夢中になってしまう。
    本作に関しては、「藤九郎の目線で描かれる加藤清正」という要素も大きいと思う。華麗な軍装に身を包んだ、恵まれた体躯が躍動する豪勇の士というイメージの加藤清正だと思う。が、善良で理知的な為政者であり、藤九郎やその他の家中の士を励まし、導くような、なかなかに素晴らしい指導者として描かれている。個人的には本作のそういう部分にも惹かれた。
    何時の間にか少し旧い話しになったが、以前に熊本城を訪ねてみたことが在った。そこで観た様子が出来上がる迄の様々な物語が、本作の主要なテーマの一つだと思う。非常に興味深く読んだ。地震災害を受け、長く時間を要する復旧工事が進んでいるようだが、それは正に「現代の城取り」の取組だ。
    色々な愉しみ方が叶いそうな本作である。広く御薦めしたい。
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    投稿日:2022.12.12

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