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ユヴァル・ノア・ハラリ, リカル・ザプラナ・ルイズ, 西田美緒子 / 河出書房新社 (5件のレビュー)
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hisa
この本を、すでに世を去った人々、今を生きている人々、そしてこれから生まれてくる人々、すべてに捧げる。 私たちの祖先が、今ある世界を作りあげてきた。未来の世界がどんなものになるかを決めることができるのは…私たちだ。 もくじ 時間のながれ 献辞 はじめに そんなの不公平だ そしてそれは、ほんとうにあった物語だ 第1章 すべてを支配する ・世界を変えた植物、穀類、コムギ ・かわいそうな動物の金メダル、銀メダル、銅メダルを決めるを分け合うのは、ウシ、ブタ、ニワトリではないだろうか。 ・農耕民は動物を、人間の役に立つ間だけ生かしておく。何年かは長生きさせてもらえる。でもそのために動物たちが払う代償は大きく、待ちうける過酷な毎日は、けっして長く生きていたくなるようなものではない。 ・乳がもつ悲しい側面 肉と乳のために育てられるヒツジ ・だれが農耕民になりたい? 動物と植物を支配する、つまり自分たちの思い通りにすることによって、農耕民は以前よりずっと大きい力を手にした。 でもやがて農耕民もは、自分自身もだれかほかの人に言われた通りのことをしているのに気づいていくー農耕民はどんどんん、聖職者と首長(村や町や都市の上に立って率いる人)に支配されていった。 ・農業の勝利 農業民は、採集民をどんどん追い払うようになった。そしてこれが世界中の至る所で起きて、採集民はほとんどいなくなってしまった。 第2章 しまった、こんなはずじゃなかったのに ・骸骨が語った物語 ふつうは採集民の骸骨のほうが背が高く、残った歯が多く、飢えたり病気をしたりした跡が少ない。農耕民の骸骨のほうが背が低く、残った歯が少なく、飢えたり病気をしたりした跡が多い。そしてたいていは、背骨が曲がり、膝の骨がすり減り、首の骨がいたんでいる。 ・ものが多くなるほど、争いも多くなる 古代の採集民の間におきた戦争の痕跡は多くはない。ところが、農業の形跡の見える場所では、戦争の痕跡をたくさん見つけることが多い。 乱暴なほうが勝つか、穏やかなほうが戦いを覚えるか、どちらかだ。そうやって、穏やかな人たちも乱暴になった。こうして時がたつにつれて、どこでも農耕民は乱暴になっていった。 こうした悪いことのすべてはー農業革命の「意図せざる結果」だった。望んだ者も、計画した者も一人もいなかった。人々はただ、そうなることを知らなかっただけ。 人々の体も、人々の心も変えていった。 採集民はいつでも、ときには計画を立てたけれども、いまこの時起きていることに焦点をあわせていた。木の実や魚を自分たちの思いどおりにすることはできなかったからだ。だからあまり計画を立てなかったし、「計画を立てすぎてはいけない」と、採集民は子どもたちによく言い聞かせていたのではないだろうか。「今このときに起きていることに注目し、あとで何が起きるかを、あまり心配しすぎないように」 採集民は、じっさいは少しもあくせくしなかった。今という瞬間に起きていることが原因に不安になることは、めったにない。たいていは、未来に起きていることを考えて不安になる。今このときに起きていることだけに焦点をあわせれば、あまり不安を感じることはなくなるだろう。 それに対して、農耕民はいつも来月のこと、そして来年のことを心配していた。 ・農業のはじまり・10の不運 干ばつ 洪水 動物の病気 人間の病気 かたよった食べもの 重労働 害虫や小動物 植物の病気 戦争 奴隷制 世界を征服した植物 第3章 おとながこわがるもの ・幽霊より悪いもの ・所有する権利と、納める義務 ・骸骨はめったに嘘をつかない ・墓地の中の骸骨が私たちにほんとうのことを語ってくれる 第4章 死んだ人々の夢 ・どうすれば人はルールを信じるようになるのだろうか?その答えは物語だ すぐれた物語を持つ人類の集団は、世界で最も大きな力を持った さまざまな王国の聖職者たちは、あらゆる種類の大きな物語を思いついた 影のない物語はない けれどもその人々には、また別の物語があった たくさんの不公平なルールを正しく見せてしまう物語を信じてしまった。 体のそれぞれの部分にはそれぞれ異なる仕事があるように、異なる種類の人々も生きるうえで異なる仕事をもっている。➖️ルールは公平で、従うべきものだと信じた。 ・魔法のにおい 大きな物語の中には、不公平なルールを正しく見せるだけではすまないものもあったーそれは、人間の「むかむかする」感情を引き起こすものだ。 だれが「清くて」誰が「けがれている」のは、偉大なる神々自身がそう考えているからだと、恐ろしい物語が他にも数多く残されている。 こうした物語はどれも本当のことではなかった。 神にはわかって、人間にはわからない魔法の匂いなどあるはずがない。でも効き目はあったんだ。それを聞いたたくさんの人々が、ただルールに従おうと思うしさえすればよかったからね。 物語を1回だけ話しても、それはただの物語にすぎない。でも同じ物語を1000回繰り返して話せば、人々はそれを本当のことに違いないと思う。 大人たちが物語をいつも信じていたのはそれを何度も聞いていたからだ。 ・儀式は私たちが地域社会をまとめていくための大きな物語を信じるのにひと役買い、それは古代と同じように現代でもなお重要なものだ。 ほとんどの人には、ごく個人的な儀式もある。 ・3種類のもの 古代エジプト、近代国家も物語だ。信じている物語。 ・世界には3種類のものがある。 1番目は、だれでも見て、聞いて、さわれるもの。王国と国家はここには入らない。 2番目は、自分だけが感じられるもの 3番目は、共通の夢。国家はたくさんの人々が一緒に見ている夢。 例えばお金の物語は世界中で一番大切な物語の一つに数えられる。 ・とっても長い夢 私たちはみんな、死んだ人々の夢の中で暮らしているともいえるだろう。 歴史上の多くの戦争は、物語をめぐる争いだった。ほとんどの人々はただ言われたことを信じ ・魔法を解く 人々がとても長い間信じてきた物語でも、ほんの数年で変えることができる。 物語は人類が生み出した最も偉大な作品だ。 私たちは物語のおかげで世界を統治できている。だが物語は私たちの最大の敵にもなる。 もしも自分で物語を作り出したことを忘れれば自らにとらわれてしまうだろう。 何百万人もの人々が悪い物語を信じるとき、悪夢で身動きが取れないように逃れられなくなる。だから人類は大きな問題を抱えている。もし私たちが耳にした物語を何も考えずに信じるなら、恐ろしい行動をとりはじめることになる。一方、もし私たちがすべての物語を信じるのをやめたら、世界は完璧なものになるのではなく無秩序な混乱に陥る。 この問題に簡単な答えはない。 大人になる過程のとても大切な部分は、どの物語を残し、どの物語を変え、どの物語を捨てるかを学ぶことだ。 物語によってたくさんの苦しみが生まれるなら その物語には気をつけてほしい。その物語のせいで苦しんでいる人に話しかけ、その人自身の物語を聞かせてほしいと頼むのが何よりの方法だ。自分の心を開き、耳を傾け・・・よく聞こう。 感謝のことば この本について 歴史の世界地図続きを読む
投稿日:2024.05.03
finger0217
人間が「想像力」を駆使することで他の動物たちを支配し、環境を激変させるようになったことを描いた前作に続き、今回は「格差」がなぜ生まれてきたのかを解説しています。 それは、人間の「スーパーパワー」であ…る想像力と、それによって作り出された「物語」を共同体のメンバーが信じてきたこと、その物語に基づいて農耕を始めたことで「意図せざる結果」が生まれそれによって格差が広がっていったことなど、人類の歴史の根本的な流れが平易な文章で書かれています。 現代社会で、多くの人々が信じている「共通の物語」がどのように広まったのか、その点についての解説は「別の物語」とのことで、次巻も期待したいと思います。続きを読む
投稿日:2024.04.17
tokyobay
小学生向けにしてはやや難しい。かと言って大人が読むには説明がクドイというか幼稚でデキとしては中途半端。とは言え、ザックリした人類史の流れは把握できるので、中学生ぐらいにはちょうどいいかもしない。ただし…、著者独特の解釈や史観に思える部分もそれなりにあって、決して教科書的ではない。悪い意味で。続きを読む
投稿日:2024.03.09
beiraine
このレビューはネタバレを含みます
非常に考えさせる内容だった。 ただ言える事は、作中に出てくるギャザボーンとファームスカルのうち自分は明らかにファームスカルだということ。 生き方を深く考えたくなるような一冊だった。
投稿日:2024.01.21
erierierin
人類が誕生し、狩猟から農耕へ、村から王国へ、法律が生まれ、税が発生し…現代社会に至るまでの過程が描かれていておもしろかった。
投稿日:2024.01.14
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