【感想】敗走記

水木しげる / 講談社文庫
(21件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
3
9
4
1
0

ブクログレビュー

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  • nakaizawa

    nakaizawa

    「敗走記」水木しげる著、講談社文庫、2010.07.15
    272p¥550C0179(2022.07.17読了)(2022.07.12拝借)(2010.08.11/2刷)
    太平洋戦争中の南方戦線における日本軍の話、六編が収録されています。
    悲惨ではありますが、生き延びた人たちの話もあるので、ちょっと救われる感じがします。

    【目次】
    敗走記
    ダンピール海峡
    レーモン河畔
    KANDERE
    ごきぶり
    幽霊艦長
    あとがき

    ☆関連図書(既読)
    「カラー版 妖怪画談」水木しげる著、岩波新書、1992.07.20
    「カラー版 続妖怪画談」水木しげる著、岩波新書、1993.06.21
    「カラー版 幽霊画談」水木しげる著、岩波新書、1994.06.20
    「総員玉砕せよ!」水木しげる著、講談社文庫、1995.06.15
    「カランコロン漂泊記」水木しげる著、小学館、2010.04.11
    「ゲゲゲの女房」武良布枝著、実業之日本社、2008.03.11
    (アマゾンより)
    戦争を生き抜いた著者がつづる生と死の物語
    戦記ドキュメンタリー完全復刻!
    昭和19年、南太平洋ニューブリテン島中部、部隊は壊滅的打撃を受けたものの、ひとり生き延び、仲間の鈴木と合流することに成功する。そして断崖を通り抜け道なき道を進み、敗走を続けた。敵に追われ、飢えや渇き、暑さに苦しみながらも九死に一生を得た著者が綴る、生と死の物語。戦記漫画の傑作を6編収録。
    続きを読む

    投稿日:2022.07.17

  • deroderoh

    deroderoh

    第二次世界大戦にまつわる短編集。

    さすが、水木作品のクオリティの高さ。
    戦争体験しているからこその実際の戦場の厳しさと、水木センセイのユーモア漂う軽やかさが絶妙にブレンドされている。

    「敗走記」
    奇跡の生き延びた兵士に下される日本軍の軍隊としての不条理

    「ダンピール海峡」
    日本国旗を守りきることを使命とされた兵隊の悲劇
    水木さんのあとがき
    「南方の入道雲をみると、いつも「これが最後…」と何回も思ったことがある。このダンピール海峡を渡った兵隊の気持ちを(なんともいえない気持ち)「ダンピール海峡」という作品にした」

    「レーモン河畔」
    戦場の美女が無事に救われる
    水木さんのあとがき
    「明日死ぬかも知れぬ戦場に現れた美女が、なんと、無事に後方まで下がり、今日まで生きのびるという、めずらしい話だ。そして二人のうち一人は、現在、東京にいる」

    「KANDERE」
    南国の原住民との交流から数奇な奇蹟が起こる。

    「ごきぶり」
    戦争に翻弄され、戦後も先犯として巣鴨で処刑された名もない一人の男の人生

    「幽霊艦長」
    自ら犠牲となって敵の前に散ることで味方を救った宮本艦長。
    「昨夜の激戦のあった海面はうそのように静まりかえっていた・・・」という場面が印象深い
    続きを読む

    投稿日:2021.03.14

  • knkt09222

    knkt09222

    このレビューはネタバレを含みます

    ■敗走記
    原住民に付け狙われながら、ひたすらひたすら岸壁やジャングルや海を逃げる逃げる逃げる。
    雄大な自然背景がすごい。

    ■ダンピール海峡
    血のしみ込んだ軍旗を守り抜くという使命。
    しみ込んだ血から過去の戦士を幻視する。
    果ては幽鬼のような見た目になろうとも。

    ■レーモン河畔
    ホセの娘ふたりを、さてどうするべきかと男ちが右往左往。
    結局は逃がしてやるということになる。

    ■KANDERE
    原住民の娘とねんごろになったおかげで、原住民から食料を得る。
    酋長はしかしスパイを働こうとしているので、思い切って結婚してカンデレ(同族)となる。
    戦局は進んで……。

    ■ごきぶり
    逃亡兵士が捕まって死刑。ごきぶりのように逃げ回った人生だと感慨。

    ■幽霊艦長
    夫婦で連合艦隊の模型づくりを趣味にしていたと自伝にあるが、それも仕事に活用。

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    投稿日:2019.10.03

  • submarine7235

    submarine7235

    ゲゲゲの女房視聴後、興味を持ち購入。戦争短編数編が収録されているが、そのどれもに共通して感じたのは物語の悲しさと美しさである。戦争モノは戦争の悲劇性ばかりを捉える作品が多い印象を抱いていたが、水木しげるの戦記物は、死のもつ悲しさだけでなく、美しさも描いている。さらに当時の日本軍の描写に関しては、彼らの精神性や価値観に対して、嘲笑するのではなく美しいものは美しいのだ、と誠実さを感じる。「生」の醜さ、素晴らしさ、「死」の悲しさ、美しさ、戦地で実際に戦ったからこそ描けた作品。続きを読む

    投稿日:2018.11.17

  • 酒井高太郎sakaikotaro

    酒井高太郎sakaikotaro

    (01)
    標題の短編のほか5編が収録されている.いずれも太平洋戦争の南方戦線が舞台となっている.
    おそらく著者本人が描いたであろう背景の細密が印象的で,南や黒を感じるタッチであり,テーマ(*02)にも即している.その背景に比べると人物や表情は戯画化されシンプルであるが,飄々さ,戦場をさまよう亡霊といった感じがよく出ているように思う.
    擬音表現も興味深い.それは背景でもなく人物でもない,セリフでもないし,説明の地の文でもない,その擬音たちが細密な背景にうまくデザインされて配置され,漫画を芸術として昇華させている.

    (02)
    無論,反戦の立場から戦争の悲惨さを描いた作品として読んでよいと思うが,戦争礼賛まではいかないものの戦場の美談といったテーマも扱っているところに著者の冷静が表現されているように思う.また,戦場となった南方の現地人,風土風物への言及にも著者ならではの視線を感じる.
    続きを読む

    投稿日:2017.09.09

  • reinou

    reinou

    このレビューはネタバレを含みます

    2010年(底本1991年)刊行。戦時中の体験(第三者のそれを含む)・見聞した状況をマンガで描出した短編集。飄々とした人物(性格面のみならずビジュアル面でも)と、それと対比的なリアルな戦場場面・メカニック。これらが台詞回しの可笑しさや暖かい人間関係が限定空間に止まることを暗示しているのか。光人社文庫や学研M文庫にあるような情景とは異質の、そしてリアルな戦場が描かれている。著者自身によるあとがきも、本書の内容にうまくアクセントをつける。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2017.01.17

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