【感想】世界の音 楽器の歴史と文化

郡司すみ, 森重行敏 / 講談社学術文庫
(3件のレビュー)

総合評価:

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  • takuyamamoto

    takuyamamoto

    「音」が何故、人類にとって必要で、それをどう扱ってきたのか、から始まり、色々な楽器の解説があるので、読後、「腑に落ちる」という感覚になった。

    投稿日:2023.02.14

  • tetujin

    tetujin

    ・郡司すみ「世界の音 楽器の歴史と文化」(講談社学術文庫)もザックスとホルンボステルの分類による1冊かと思つて読み始めた。しかし、どうも違ふ。楽器分類がないわけではないのだが、主要楽器のみが最後の方にあるといふ程度で、筆者の本書に於ける関心の中心はこちらにはなささうである。「はじめに」が筆者の関心の在処を端的に示してゐると思ふ。「音楽の演奏に用いられるものが楽器である」(11頁)、ならば「音楽とは何であろうか?」(同前)しかし、「音楽といわれるものについて、すべての人々を納得させることのできる説明はまだないように思える。従って、音楽を演奏するための楽器とはどのようなものであるかをあき らかにすることもまた不可能であると言わなければならない。」(同前)どうやらこの人に所謂楽器分類は不要であるらしい。それでもこの最後に、「あらゆる音の中のある一つが意識されて、“音”となるように、地球上のどのような物でも、ひとたび“音”を出すために使われると、たちまち“音を出すもの”に変身してしまう(中略)そのようなものを楽器と呼んでよいのではないかと思う。」(同前)と書いてゐる。つまり音を出せれば楽器になるのである。
    ・第一章は「ミンゾク楽器」である。民俗か民族か、これだけでは分からないが、それは「文字で書かれていてもその用法は曖昧なことが多」(14頁)く、これは音楽でもさうだといふのである。「『音楽』というといわゆるヨーロッパの芸術音楽を意味し、その他の音楽で馴染みのないものは、大抵ミンゾク音楽と呼ばれてゐる。」(同前)CD販売などでのジャンル分けは細かいが、一般にはこの通りであらう。「音楽」の授業は、基本的に西洋の所謂クラッシック系の音楽を中心に行ふ。楽器はリコーダーとか鍵盤ハーモニカ とかである。琴や三味線を習ふことはなく、また聞くこともめつたにない。我が国の音楽は、「およそ十七世紀以降に西ヨーロッパで 確立された体系的な形をとった音楽、言い換えれば音が定量化・標準化された後の、いわゆる近代五線譜による音楽に限られてゐる。」(15頁)五線譜といふのは便利である。だからそれが教育に採用されたのは分かる。共通の地盤や視点が必要だし、それを提供してくれるのはヨーロッパの音楽にしかなかつた。例へば日本にも楽譜はある。西洋の影響を受けた三味線の文化譜などは確かに分かり易いのだが、問題はそれを使ふ人によつて基音が違ふことである。人は皆それぞれだから基音が違つて当然とは西洋では考へなかつた。基準があるからよく分かるとも言へる。皆同じ高さの音を出せる。そのおかげでオーケストラも混声合唱もできる。だから、西洋の楽器は「“ヨーロッパ音楽”のみが持つ和声の発達とともに完成された楽器」(17頁)であるのに対し、「日本の音楽は唄を主体とする旋律の音楽であ」(同前)るから、「一つの音の表情の豊かさ、微妙さが生命であつて、楽器の音にも当然それが要求され」 (同前)る。ミンゾク音楽を扱ふのだからかういふ考えは当然と言へるかもしれないが、現実には、音楽学は西洋音楽の範疇内で行は れてゐる。その意味でこれは珍しい。大体、私は楽器学といつてもクルト・ザックスぐらゐしか知らない。そんな人間からすれば本書は驚異の書であるとも言へる。それだからこそこれは引用しておきたい。「“ヨーロッパ音楽”に倣って、諸民族の音楽を定量化・標準化して普遍化を持たせようとする試みは、それがどのような形をとったとしても、これらの音楽の本質を損なう危険をはらんでいることに心しなければならないと思う。」(18頁)私自身の自戒でもある。
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    投稿日:2022.12.30

  • きのさん

    きのさん

    西ヨーロッパの楽器が、その地域の思想、技術の精密化、大量生産化に伴い、一定の精度を持つ音を目指して作られて、それが現在まで音楽環境や教育に大きな影響を与えてきたことに、筆者は、音楽はそれだけではない、民族や環境によって楽器、音は異なり、所謂ミンゾク音楽の研究により、体系化を図るべきではないか、と問題づけしている。続きを読む

    投稿日:2022.12.18

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