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秦正樹 / 中公新書 (18件のレビュー)
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総合評価:
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T.Hori
タイトルを見ると陰謀論そのものの解説にも思えるが、主に語られているのはどのような層に陰謀論が受容されているのかを統計的に調査したもの。 取り上げる陰謀論や調査の切り口は面白かったし、その分析手法につ…いても学びは多くあった。 SNSの利用と陰謀論の受容の関係の意外性は興味深いものだったように思う。 一方で、文中に登場する調査の母数がクラウドソーシングサイトでの1500〜2000件程度と、今のSNSや社会の状況を抽出するのに適当な量だったかという点にはあまり納得感はないかもしれない。 陰謀論そのものを知りたい場合は、「あなたを陰謀論者にする言葉(雨宮純)」などを手に取るとよさそう。続きを読む
投稿日:2023.10.31
horinagaumezo
「誰が、なぜ陰謀論を信じるのか」という問いについて、サーベイ実験というデータ分析の手法を通じて様々な観点から明らかにし、日本社会における陰謀論受容の実態とメカニズムを解説。 陰謀論が跋扈する現状を憂慮…する1人として、本書の内容はとても有益で、参考になった。 日本人の2~3割もが陰謀論的思考を有していること、ツイッターの利用頻度の高さはむしろ陰謀論的思考の低さと関連していること、自分自身を「普通」だと考えている人々ほどいわゆるネット右翼がしばしば主張する陰謀論をより強く受容しやすい傾向にあること、左派・リベラル層であっても反政府・反自民党的な陰謀論は受容しがちな傾向にあること、政治的洗練性(政治的関心・政治的知識)の程度が高いほうがむしろ陰謀論を受容しやすい傾向にあることなど、本書で紹介されるサーベイ実験の分析結果は、直感的イメージとは異なるものも多く、非常に興味深かった。 誰もが陰謀論にはまってしまう可能性があるというのが本書の教訓だと思う。ただ、著者は政治的関心や政治的知識もほどほどが一番と結論づけているが、そこには同意できない。政治的関心や政治的知識の程度を高めること自体は否定されるべきことではなく、関心を持ち知識を付けた上で、自分の政治的志向などに自覚的になり、対立する立場の考えにも思いを巡らし、複眼的・相対的に物事を考えるようにすることこそ、陰謀論に陥らないために必要なのではないかと思う。 社会的望ましさバイアス(社会的期待迎合バイアス)を防ぐためのリスト実験やヴィネット実験という手法を知ることができたということなど、最先端の政治科学の研究の紹介という点でも本書は面白かった。続きを読む
投稿日:2023.07.25
kohamatk
陰謀論が発生する要因について、丁寧に分析されている。 ツイッターの利用は、むしろ陰謀論的信念の低さと関連している。多くの人が、自分自身はウェブ上の陰謀論やデマ情報には騙されないが、自分以外の多くの人…はきっと騙されているだろうという「第三者効果」の認識が、ツイッターの利用頻度が高いほど感じる傾向にある。 世論調査で測定される意識や態度の一部には、社会的に望ましい方向に答えてしまう「社会的望ましさバイアス」が働くことが知られている。このバイアスの低減を図るために、いくつかの意見に関するリストを提示して、その中から自分自身もそう思うという項目の個数を選んでもらうリスト実験を用いている。 ナルシズムが高い人や社会的に阻害されていると感じる人ほど陰謀論を信じやすい傾向にある。 辻・永吉は、 ネット右翼を中国韓国への否定的態度の有無、保守的政治思考の有無、インターネット上における日常的な政治的意見の発信の三つの要素を併せ持つ層として定義し、全体の1.5%を占めると報告している。ただし、保守的な政治思考を除く2つの要素を持つ層が3%存在する。自分が普通であると認識している層は、韓国やリベラル野党に対する意見が強く、陰謀論を強く受容しやすい傾向にある。 リベラル系の野党支持者は、近年の選挙で敗北を喫し続けていることが原因となって、選挙や政党、政治という統治のしくみ、多数決主義的な各種の選挙制度に対して懐疑心を覚えやすい。現行の政治の仕組みに対して不信感を持ちやすく、陰謀論的な言説を受容する素地になっている。 日米合同委員会に日米政府間の新たな合意を徹底する権限はなく、正式な閣議決定や通常のプロセスによる政府代表者同士の合意が別途必要になるため、その場で密約が結ばれることはない。外務省の公式ウェブページには、「日米合同委員会における協議を経た合意事項は、そのほとんどが施設・区域の提供、返還等に関する事項である」と書かれている。 18歳投票権年齢引き下げは、与野党8党により発足したプロジェクトチームで党派を超えて合意を得たのち、衆参両院において全会一致で可決された経緯がある。続きを読む
投稿日:2023.07.17
rafmon44
陰謀論とカテゴライズする以前に、虚実を確かめられれば良いはずで、議論の余地があるから、仮説が陰謀論とされる。陰謀論とする事で、人はその説を蔑み取り扱わないようにする。しかし、それを信じる人にとっては陰…謀ではないのだから、自然、対立軸としての通説、社会通念が存在する。 社会やマスコミによる通説に対し信頼性が下がれば下がるほど、陰謀論とされる異説が生まれる。インターネットにより論説が自由化され、異説が徐々に力をつける。そうした異説を信じたい層、信じがちな層が次々と信者になる。本著は、そうした偏りや傾向をデータ分析し、解説する。例えば、政治に関心がある層の方が、秘密結社の存在を信じやすいか否かなど。 誤った認識で暴動が起きる事は避けるべきだが、陰謀か否かより重要な議論は、社会通念が自らの味方かどうかだ。人生を必死に生きても一向に報われないなら、何かに支配された気分になっても仕方ない。古い株のワクチンを必死に打たせようとする政府に企みを感じても仕方ない。 古くは雨乞い生贄を焼くと雨が降った事を結びつけ、誤った因果推論で物語を描いた人間が、事象と仮説を結び付けて曲解、歪曲したとて、あり得ない事ではない。厄介なのはインターネットで自らの非科学的な体験や思想を共有、補強し合う、そうした近似知能階層が齎すエコーチェンバーやフィルターバブルのような現象だ。暴動を煽る、差別を助長する、反社会的な行動を促すような投稿は規制しなければならない。そして、その傾向がある人たちは、既にあるデータから管理識別できるはずだ、というとこれも陰謀論だろうか。続きを読む
投稿日:2023.05.22
モリゾウ
何とも評価の難しい本だ。冒頭、陰謀論を信じるか様々な説について調査しているのだが、殆どの説は信じる人が少数派なのに対して「マインドコントロールの技術は使われている」「重要な事実が隠蔽されている」の2つ…については「そう思う」が多数派となっている。しかしその点について本書では全く言及しない。様々な調査のデータは時に非常に興味深く意外な結果を表しているのに、何故かそこに触れずに済ませてしまう(例えば民放ニュース番組をよく見る被験者は本書が問題視するヤフコメやTwitterと比べてより陰謀論との親和性が高いなど)。また他にもそもそも陰謀論としては微妙な武漢ウイルス説(アメリカ政府が公式に調査検討している)を基準に政治的洗練層と陰謀論の親和性を評価していたり、もう少し他のやり方は無かったのかと思ってしまうが、結論的には中庸の美徳というか、何事も程々に、というまぁ当然といえば当然のところに落ち着いている。 著者も注意喚起しているが、そもそも陰謀論は正当な批判と区別がつきにくいところもあり、何でもかんでも陰謀論として一蹴してしまうと議論が成り立たなくなるので、本書自体も鵜呑みにしないで程々に付き合うのが正解かもしれない。続きを読む
投稿日:2023.05.13
kun92
なんつかなあ。 一般論としては正しい。いろんな統計の取り方の紹介もいいんだけど。 世論取るのに、楽天なんとかに来てる人の二千人くらいに聞いて、それって十分な母数なのかまず気になる。一般性あるの? …陰謀論と括ってしまうのもやばいよと、一応触れてはいるが、ここの「陰謀論」の何が問題か全く触れてないので、何気に挙げられてる事象は全部陰謀論だよと、刷り込む結果になっている。 大体、保守とリベラルの定義が全くされてない。 多分、ネトウヨという言葉が生まれた頃の論者と、現在ネトウヨと呼ばれている論者とは可成り異なっている気がするのだが、それも検証してない。 右が陰謀論を信じやすいというが、この本でいうリベラルって「反日共産」系だというとそれだけでネトウヨと言われがちだが、もう少し、丁寧に情報追ってから語って欲しい気はした。 陰謀論ではなく、これまでの歴史を考えても、安易に信用できないんだよ。 実際、信じろというマスコミが、偏ってることに全く言及しない。 ちょっと、厨二感は感じた。続きを読む
投稿日:2023.04.12
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