【感想】慶喜のカリスマ

野口武彦 / 講談社
(8件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
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6
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ブクログレビュー

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  • yusanya

    yusanya

    このレビューはネタバレを含みます

    徳川慶喜を書いた本は多いが、この本は掘り下げが深く秀逸だと思う。秀逸なのか?愚鈍なのか?両面持ち合わせているが、愚鈍ではなく臆病だったという解説。
    ・大政奉還後の”ええじゃないか”は人種愛的なエロスが充満
    ・鳥羽伏見のの戦いは、戦意無し 部下が暴発
    ・大阪城は籠城の城 慶喜が逃げ出したのが最大の失敗
     家来を鼓舞した後の逃走。大義名分も無い 信頼の失墜
     おまけに原因不明だが炎上させてしまう。
    ・開陽丸に乗り込んで江戸に逃げるつもりが、船が解らずアメリカ船に案内してもらう羽目に。
    ・滅法の女好きで、開陽丸にも妾を連れ込んだ。

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    投稿日:2021.08.07

  • mark55skywalker

    mark55skywalker

    このレビューはネタバレを含みます

    慶喜は本当は臆病だった?
    朝令暮改の人は沢山いるけど、慶喜の場合は本当はどうだったんでしょう。
    禁門の変のときは先頭に立ったり、神戸開港の時には弁舌あざやかだったのに、鳥羽伏見の時は夜中に大阪城を抜け出したり、王政復古の時には仮病で欠席したり。
    精神分析医が解説したら面白いかも。

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    投稿日:2015.03.02

  • asaitatsuya

    asaitatsuya

    封建社会存続のための最後の砦として、持ち前の政治能力とカリスマ性を駆使して針の穴に糸を通すようなギリギリの勝負を仕掛けたが、時の運に見放されて敗れ去った慶喜公の前半生を評した本。幕府内の有力者にも味方はほとんどおらず、無責任な期待をただ押し付けられるだけ、という状況の中、数少ない身内を固めて、一会桑(一橋・会津・桑名)だけで途中までは互角の勝負をしたのは天晴、というのが正直な印象。そもそも、徳川将軍でありながら、数百人の護衛兵の調達に苦慮している時点で、時の運に見放されているとしか言いようがない。(結局、水戸藩の浪人や農民で護衛隊を急造した)
    14代将軍・徳川家茂の後見人として、政治の表舞台に登場して以来、常に京都で生身の政争を強いられた点は、封建社会の開祖である源頼朝と真逆になっていて、その対称性が面白いと思った。それに、33歳にて政治力を失った後、40年以上にわたり一切の政治活動を断ってみせた精神力には、やはりカリスマ性が備わっているようにみえる。日本がいち早く先進国になれたのは、旧幕府勢力による抵抗や蜂起を、慶喜が無言の圧力で押さえつけたことが一番大きい。もっとも、慶喜が後半生で無言を貫けたのは、明治政府や徳川宗家から莫大な資金援助を受けていたから、とも言えるんだけど。(最近、「元首相」な人々がひたすら動き回って国益を損ねているのは、要するに彼らがカネに困っているから、なのである)
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    投稿日:2014.05.11

  • ちゃいなおやじ

    ちゃいなおやじ

    このレビューはネタバレを含みます

    ★2013年11月18日読了『慶喜のカリスマ』野口武彦著 評価B+

    世界史受験だった私は、明治維新以降の日本史に暗い。
    勿論、物語として「龍馬が行く」などは読んでいるが、どこまでが歴史なのかを区別していたわけではなかった。
    これまでの印象では、徳川幕府最後の将軍である慶喜はただ単に弱い頭だけの良い男かと思っていた。
    しかし、実態はなかなかのやり手。京都では天皇に取り入り、江戸の幕閣には疑われるし、長州からも睨まれる。
    大胆に、大政奉還を行なった後も、幕府とは違う立憲君主制のような政治体制をお目指し、自らの復権も画策したらしい。明治時代に入っても、3回ほど担ぎ出されそうな気配があったとか。
    ただ、パニックに陥ると引きこもって、動けなくなってしまう弱点も持っていた?! ^o^

    読んでいて生き生きとした男臭い徳川慶喜が立ち上がってきて楽しい作品だ。

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    投稿日:2013.12.01

  • bandit250f

    bandit250f

    英邁であるが臆病である、と言うのが慶喜を評する通説であろうか。
    同時代の松平春嶽も「有能ではある。しかし肝っ玉は小さい」と言っている。同時代人の共通認識なんだろう。
    慶喜の判断一つで時代が変わったかもしれない節目における慶喜の立ち位置、政治情勢、外圧等を詳細に説明し、その時の慶喜の心情を分析する。そして「もし慶喜が決断していたら・・・」と歴史のIFも解説してみせる。
    この辺が読み物として大変面白い。
    「たぶん慶喜を知るためのひとつのキーワードは、《失敗を恐れる男》であると見て間違いない。」
    この短いセンテンスが幕末までの慶喜の32年間を端的に現わしている。
    隠遁生活は45年に及び、明治からは全く表舞台に出てこない。
    これはこれで凄い事なんだろう。
    今年は没後100年だそうだ。全く盛り上がっていない処が「徳川慶喜」らしい。
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    投稿日:2013.10.25

  • kun92

    kun92

    面白かった。やはり歴史は勝者の目から語られている。
    日本の歴史教育は色々考えるべきだろうな。
    慶喜のひととなりに言及しながら、政治家と軍人は違う、歴史に名を残す人間でも、大義だけで生きている訳ではないことを示す。
    明治維新は、所詮は、経済と権力を巡るjクーデターであった。
    で、文章が軽妙でまるで週刊誌でも読んでるみたいで、そこも良い。
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    投稿日:2013.09.16

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