【感想】この星で君と生きるための幾億の理由

青海野灰, ふすい / ファン文庫Tears
(2件のレビュー)

総合評価:

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  • ぴっ!

    ぴっ!

    忘れられない初恋の女の子、夜間高校で同じ席に座る死にたがりの女の子、公園で一緒に野良猫を愛でる女の子
    何のために誰のために生きていくのか、繊細に、けれども力強く描かれた小説。

    全てがつながったクライマックスでは思わず泣きそうになった

    美しいだけでない展開、納得な結末に満足
    面白かった

    以下覚書のための詳細、ネタバレです





    命には四つの理由がある
    夢や希望「生きる理由」
    挫折や絶望「死ぬ理由」
    守るべきものや信念「死ねない理由」
    病気や事故、抗えない「生きられない理由」

    高校2年生、葉月漣

    昼と夜間で同じ教室を使う高校
    ある日自分の席に遺書と書かれたノートを見つける。
    自分も生きたくはないが、以前「いつか、本当に生きるのをやめたくなった時は、一緒に死のう」と好きな女の子(翠川詩織)との約束があり、死ねずに生き続ける。

    遺書には自分が生きることで周りを不幸にしてしまうと思っている少女と、少女と仲良くなり事故に巻き込まれてしまった男の子の小説が続く。

    遺書に対する返事と共に小説の続きを書くことで、漣と女の子の交換日記&共作が続く。

    そんな中漣は公園で野良猫を一緒に可愛がる井澄と会う。交換日記の内容や夜間の生徒という共通点から、漣は相手が井澄ではないかと思うが、何度か話すうちに違うことを知る。

    井澄と漣がいい雰囲気になる中、漣は交換日記の相手が詩織であることに気づく。

    夏休みの終わり、交換日記が無いことに戸惑う漣
    クラスメイトが勝手に見て揶揄ってくる

    憤り騒ぎになり、漣は殴られ保健室で目を覚ます

    教室に戻ると自分の席には詩織がいて話すも、彼女は虐待されていた父親を突き飛ばし殺したと思い(実際は失神していた)死のうとしていた

    説得の末やめようとするも突風により落ちてしまう

    それを庇う漣

    漣は昏睡状態、その横で自分を責め続け死にたがる詩織に後から来た井澄が漣がどれだけ思っていたかと激昂する

    井澄自身、若くして急速に老ける病を患っており、漣と関わることで生きることを決めたのもあり、好きな漣が命をかけたこともあり、説得力が強い


    ラストは小学生から現在までの記憶を無くし、眠るたびに少しずつ取り戻す漣とそれを見守る2人の3人とも生きている結末

    全てがハッピーでないことも含め良い流れだった
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    投稿日:2022.11.05

  • robin1101

    robin1101

    Amazonの紹介より
    高校二年生の漣(れん)は、父の転勤の都合で転校してきたばかりだが、クラスメイトと交流する気は一切ない。漣はある女の子との約束だけを心のよすがにして生きている。ある日の授業中、机の中に見覚えのない一冊のノートが入っているのに気付く。中身を確認しようと開くと、その瞬間目に飛び込んできたのは、「遺書」という文字だった。漣はノートの向こう側にいる誰かを救うため、シャーペンを手に取る……。



    一冊のノートを発見したことをきっかけに始まる交換日記ならぬ交換小説。
    羨ましすぎるなと思いましたが、その反面、それに至るまでの二人それぞれが歩んできた人生を読むたびに心苦しくなりました。
    何でこんなに世の中不公平なんだろうと思ってしまいました。

    いじめやスクールカースト、大人の身勝手さなどといった読んでいてムカッとした場面は多々あり、胸が苦しいばかりでした。
    そう思う一方で、「二人」の出会いや会話のシーンは、胸キュンといいましょうか、心をくすぐられる場面もあって、ある意味、中和されました。

    どんなに辛い状況でも、必ず突破口がある!
    二人で紡いでいく交換小説のやり取りなどを通じて、そう信じずにはいられませんでした。

    二人が幸せになってほしいと読みながらずっと願っていたのですが、なかなか思うようにはいかない展開が待っています。
    残酷な展開かもしれませんが、幸せへの新しいスタートと捉え、頑張ってほしいと応援したくなりました。
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    投稿日:2022.10.10

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