【感想】街場の日韓論

内田樹, 平田オリザ, 白井聡, 渡邊隆, 中田考, 小田嶋隆, 鳩山友紀夫, 山崎雅弘, 松竹伸幸, 伊地知紀子, 平川克美 / 晶文社
(7件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • sagami246

    sagami246

    内田樹を編者とした、「日韓関係」をテーマにしたアンソロジー。
    内田樹による、寄稿者への依頼文によれば、本書を編んだ趣旨は、日韓関係が「たぶんいまの日本において最も喫緊な論争的主題」であるからという内田樹の考えによっている。
    本書は2020年4月の発行であるが、編者が寄稿を依頼した時点では、内田樹の認識によれば、「日韓関係は僕が知る限り過去最悪」という状態。一方で、日韓関係はクリアカットに、こうすれば解決できるというような解決策があるわけではなく、無数の問題が絡み合って、ほどけにくくなっている状態。それでも、問題が絡み合って出来ている結び目の一つだけでも良いので、「ここは、こうやるとほどけるかも知れないという知恵をご教示頂きたい」という趣旨で編まれたものだ。
    内田樹も一文を寄せているが、その他の寄稿者は、小田嶋隆、白井聡、鳩山由紀夫(元首相)、平田オリザ、その他といった方々で、本当に色々な観点から文章を寄せている。内容は、内田樹の書いている通り、一刀両断といった類のものではなく(白井聡を例外として)、「一気に解決できるとは思えないけれども、熟慮しながらやっていこう」という内容だ(乱暴にまとめると)。
    韓国の人たちに対してばかりではないが、一時期、外国人に対してのヘイトスピーチが大きな問題となった時期があった(もちろん、今でもある)。韓国の人たち、あるいは、ヘイトスピーチを行う人の中には、相手に対しての、ゆがんだ優越感があると本書の中で平川克美は書いている。そうなのだと思うが、ゆがんでいるとは言え、ヘイトスピーカーの優越感の根拠の一つであった、日本の経済優位性も失われつつある。だからヘイトスピーチがなくなるわけではないが、ヘイトスピーカーを含め、もう少し皆が足元を見なければいけないのかな、とも思う。
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    投稿日:2022.08.10

  • 如月 はるか

    如月 はるか

    日韓の間にある悪感情の源泉や、最近の韓国の行動の根っこが知りたくて読みました。
    初めての知識や考え方に、衝撃を受けてくらくらしました。
    どんなこともまずはちゃんと知ることから。そうであるのに、知ることすら阻害され、なかったようにされているのなら、問題の解決なんて望むべくもない。
    もう少し、この辺りのものを知ってみようと思います。
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    投稿日:2022.03.06

  • 沿岸部

    沿岸部

    “困ったときには素直に困る。わからないときは「わからない」と正直に言う。うまくことが運ばないときにはしょんぼりする。その方が知力体力ともに働きがよくなるということは長く生きてきてわかったことの一つです。別に逆説でもなんでもなく、ほんとうの話です。”(p.9)


    “知らないなら知らないで、自分自身が無知であることを自覚したうえで、そのことを前提にものを言わなければならない。”(p.139)


    “一人ひとりの生のほんの一部を教えてもらうことで、世界がいかに複雑で自分がどれほど無知なのかという事実に向き合う。”(p.223)
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    投稿日:2021.08.11

  • hifumi1232001jp

    hifumi1232001jp

    平田オリザさんを学長予定で迎える芸術文化観光専門職大学は、韓国の大学の映画・演劇の学部のカリキュラムをモデルにしているようでした。韓国で俳優を目指そうと思ったら大学で学ぶという選択肢があっても、日本では確かに一般的ではないと思いました。伝統芸能も殺陣も大学で学び、現代劇でも時代劇でも衣装を着こなし、お芝居の即戦力になる卒業生の活躍が楽しみです。続きを読む

    投稿日:2020.12.13

  • kaze229

    kaze229

    日本を離れて外国に旅した時に
    日本のあれこれを思ってしまうことがある
    日本に帰ってきてからしばらくは
    その旅した国のあれこれを思うことがある

    日本にいるから見えてこないもの
    日本の外にいるから見えてきたこと

    自分の顔を自分で見ることが出来ない
    それでも
    見ようとすることはできる

    在日韓国人の友達と話している時に
    その辺りのバランスのとり方が
    ものすごく上手いなと
    思うことが幾度もある

    本書を読みながら
    なんども そのことが
    頭に浮かんできました

    平田オリザさん
    伊地知紀子さん
    山崎雅弘さん
    平川克美さん
    の論考が身に沁みました
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    投稿日:2020.09.08

  • hasema

    hasema

     印象に残ったのは、両国における文化の価値の相違について書かれた平田オリザの文章と、地図から消された過去の歴史について書かれた山崎雅弘の文章。
     そして、平川克美が紹介した茨木のり子の詩、「くりかえしのうた」。「分別ざかりの大人たち/ゆめ 思うな/われわれの手に余ることどもは/孫子の代が切りひらいてくれるだろうなどと/いま解決できなかったことは くりかえされる/より悪質に より深く 広く」
     知ってたはずなのに「自分の腹に局部麻酔を打ち、自ら執刀」したか、お前は、ばかものよ、と頭を叩かれたのでした。
    続きを読む

    投稿日:2020.05.26

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