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松村淳 / ちくま新書 (4件のレビュー)
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きくち
このレビューはネタバレを含みます
磯崎新の名著「建築の解体」になぞらえ、変わりつつある建築家という職能にフォーカスして語る本。 ブルデューの理論を引用し、建築家界に入るためには資本(建築家界でいう学歴など)やハビトゥス(建築家らしさ)、そして賭け金(建築作品)が必要であると説く。 そして賭け金は安藤忠雄でいう住吉の長屋のような、今後のアイデンティティにもなりうるような前衛的なものでなければ今後の勝負の世界にエントリーできない。 この賭け金という感覚は建築学科卒の私にもなんとなくイメージがあるが、この考えはクライアントにとっては少し迷惑な話であり、そこの意識が強すぎるとよくないと感じた。 (そういう意味で、個人的には建築家に部分的な嫌悪を抱いたかも…?) 今組織設計事務所に勤めているが、いわゆる建築家が作る前衛的な建築は「建築的な発展」を主として目指しているのだと感じた。その一方で組織設計やゼネコンが作る建築はどちらかというと社会的な発展を主として目指しているものが多いのかもしれない。 しかし、この建築的発展と社会的発展はそもそもどちらも必要であるため、組織設計にいる自分とすると、社会的な発展を前提とし、その上でどのくらい建築的発展(建築的にどう新しいか?)を考えられるかが勝負なのかもしれないと感じた。
投稿日:2023.04.06
しましま
建築家や建築の歴史本は作品論や作家論になるが、これは建築家がどのように成り上がっていくか?その歴史を論じた本だと思う 社会学の観点で建築を論ずるというのはどういうことかと思ったが、面白かったと思う … 建築学科で何を学んでいるか?は自分でもよく分からなかった 学んでいる自覚はあったが、実務に耐える図面が書けるようになるわけでもない。 専門学校となにが違うのか それは建築家としてのハビトゥスものの見方を学んでいたのだ 安藤忠雄と谷尻誠の比較も面白い 安藤は異端の建築家だがあくまで旧来のハビトゥスを身に着け掛け金たる住宅を差出す方法で地位を築いた 谷尻にはハビトゥスはなくむしろ起業家として活躍している またまちづくりの文脈で活躍する建築家も増えてきた 建築の世界にいれば当然知っていることではあるが社会学として整理する意味はあるのだろう 続きを読む
投稿日:2022.11.23
こうへい
街場の(身近な)建築家が増える事は、街場の生活環境水準が上がる可能性を秘め、その事自体は我々の日々を豊かにしうる事だと思う。 一方で身の丈に合わせた建築を創るばかりになってしまうと、世界に冠たる日本…の建築家は今後出て来なくなるのでは、と思うと一抹の淋しさもある。建築家は出ても、少なくとも代々木第一体育館の様な建築自体は建てられないかな。 東京海上日動の本社建て替え、前川國男設計の現本社が無くなるのは残念だが、新社屋がレンゾ・ピアノ事務所設計で現社屋のデザインを踏襲した感じを受け、何かホッ、とした。 丸善京都店にて購入。続きを読む
投稿日:2022.08.02
irobana
大学院に入ってからなんとなく感じていた違和感の正体がわかった気がした。 ハビトゥスね、あそこに存在していたのかも怪しいし、染っている気もしないけど、だから今の環境に染まれないのかもね。 でもその位…置でものを見るのが良いと言ってくれてるような気がした。続きを読む
投稿日:2022.07.23
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