【感想】焦土の刑事

堂場瞬一 / 講談社文庫
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
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ブクログレビュー

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  • highriver

    highriver

    戦争とは何なのか。
    実際に体験していない僕らには結局分からないかもしれない。
    ウクライナ。イスラエル。
    今も世界中で戦争は起こっている。それを「知っている」と「体験している」は到底分かり合えない程の差があるはずだ。

    本作はミステリには珍しく戦時中が舞台。しかも終戦の約5ヶ月前の東京大空襲から始まる。この時期の犯罪を扱ったミステリはないように思うが、考えてみれば混沌としてただ生きる事に必死な時期であっても犯罪人はいるだろう。
    本作は終戦間際の戦時中から戦後にかけての世相や市井の人々の変容を描きながら、ミステリに仕上げた興味深い作品だと思う。

    不変の正義と国家の正義。
    国家の正義として信じた役割は果たして悪なのか。
    色々な視点での本作の読み方はあると思うが、私は率直に戦争の悲惨さ、特に兵隊ではない市井の人々の戦時中の過酷さを味わった。
    戦時中はもはや兵役についた人間も、市井の人々も普通ではいられない。そこで超えてはならない一線を越える人とそうでない人たち。その境界線は何なのかと思う。

    戦争は、争うことは、人間の業だという人もいる。しかし平和を求めてやまないのも人間だ。
    このミステリ一つで何も変わらないとは思うが、少なくとも戦争はいけないとその一瞬でも思う気持ちが大事なのではと思う。
    私は本作はミステリとしてよりも戦中戦後の物語として読んだ。
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    投稿日:2024.04.02

  • Bookrium

    Bookrium

    終戦時の東京を舞台にした堂場氏には珍しいタイプの作品です。敗戦を境に世の中の基準が変わることに上手く対応できるできた人とそうでない人の対比や、戦地を体験して価値観が変わってしまった人など、もし自分にはだったらどう感じたのだろうかと考えさせられた。続きを読む

    投稿日:2024.03.23

  • kissarmy0814

    kissarmy0814

    2024.03.19
    今も昔も変わらない正義が世の中を守る!
    が、わたしが1分で考えたキャッチコピーです。不自由な社会でも正義を貫いて生きている人がいる。そう思うと胸熱!になれるかな。

    投稿日:2024.03.19

  • Rinco

    Rinco

    戦争が、全てを変えた。
    まさにその一言かなと思った。
    苦しい状況の中で生きてきた昔の人たちが、本当にすごいとしか言えない。

    投稿日:2023.12.14

  • 髭男

    髭男

    このレビューはネタバレを含みます

    【320冊目】堂場瞬一さんの作品は「震える牛」しか読んだことがなく、硬い空気感で進むのかなぁと思っていた。

     もちろん時代背景や事件は悲惨で、主人公のひとりである海老沢に降りかかる不幸もまた辛いのだけど、全編を通してどこかエネルギーに溢れていて前向きであり、苦もなくスッと読めた。
     それは、高峰のまっすぐな正義感と、戦火や組織の理不尽さにやられても立ち上がる強さのおかげだろう。節子との淡い恋模様も清涼剤として読みやすさに貢献している。

     それにしても、戦争中に死体はたくさん出ただろうし、実際にはどさくさに紛れて埋もれてしまった殺人事件もたくさんあったのだろうな。とかく戦争中の警察といえば本書にも登場する思想警察たる特高を思い浮かべるけど、いわゆる高峰のような殺人刑事や泥棒刑事はどこまで仕事ができていたんだろうな。そんなことに思いを至らせてくれる作品だった。

     あと、海老沢のような警視庁保安課の検閲官と作家の関係性について考えたこともないし、戦争中に警察の評判を目一杯傷付けた特高所属の警察官が戦後どんな目にあったのかも気にしたことがなかった。実際には海老沢のように公安警察に戻った者も多いんだろうけど。

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    投稿日:2023.10.21

  • keikei

    keikei

    戦時中、戦後で刑事のあり方、国家の形が変わり、当時の人々の戸惑いを感じられる本。ドキドキしながら、読みました。

    投稿日:2023.06.29

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