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高井ゆと里, 大澤真幸, 熊野純彦 / 講談社選書メチエ (5件のレビュー)
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人生≒本×Snow Man
最上級に噛み砕いて、これほどわかりやすく『存在と時間』を解説してくれた本はない。 自分の生を日常性から一歩深い視点で見つめることができる。 初めて解説本を読んで、『存在と時間』そのものに挑んでみよ…うと思えた。続きを読む
投稿日:2023.10.19
キじばと。。
ハイデガーの『存在と時間』の解説書です。 『存在と時間』はかつて、既刊部分のみをもとに実存哲学の代表的な著作とみなされていましたが、その後「存在の問い」というより大きな問題設定のなかで『存在と時間』…の位置づけを見なおすことの必要性が主張されるようになり、日本でも木田元が多くの著作を通じて、そうしたハイデガー解釈を啓蒙してきました。 もちろん、そのような理解が広く受け入れられたあとも、仲正昌樹の『ハイデガー哲学入門─『存在と時間』を読む』(2015年、講談社現代新書)や北川東子のハイデガー 存在の謎について考える』(2002年、NHK出版)など、あえて『存在と時間』の議論を実存哲学として紹介することで、その魅力を示そうとした著作はあります。これに対して本書では、『存在と時間』が現在われわれが手にとることのできるようなかたちで刊行されたことの意味を重視し、「存在の問い」という後年のハイデガーが手掛けることになる問題設定のなかで『存在と時間』の解釈をおこなうのではなく、『存在と時間』の内在的な解釈を通して、ハイデガーがわれわれの「生」についてどのような分析をおこなっているのかということを明らかにすることがめざされています。 その一方で、伝統的な実存哲学の概念に依拠して説明をおこなうのではなく、ドレイファスや門脇俊介といった研究者のスタンスが踏まえられているのかもしれませんが、現実のなかで実践的な活動をおこなうわれわれのありかたにそくしてハイデガーの議論を読み解く試みがなされており、新鮮な気持ちで読むことができました。続きを読む
投稿日:2023.04.28
tricken
自分がいまだに通読したことのない『存在と時間』についての読みをこの一冊で包括的に提供してくれた、(単行本ではあるが)新書的アプローチの本。注釈を中心に国内外の最新のハイデガー研究の成果が書かれており、…読者としては信用がおける。 要約の仕方については論争的な部分もあることも含めて著者自身が丁寧に紹介しているが、素人目にはあまりその点はわからない。とはいえ木田元の「未完問題」アプローチがあることは知っており、それゆえ「未完のものをどう論ずるのか」という先入見が自分にも多少残存していたので、その懸念をかなり早い段階で棄却してくれた点は読み進める上でありがたかった。 ハイデガー哲学に必ずしも「(健常な)身体」概念を要請する必要はないこと、哲学における「自己物語」の話が現存在の同一性を認定する上で重要であることなど、20世紀哲学のあれこれを読みながらハイデガーをつまみ食いする上でしばしば引っかかっていたことをしっかり説明してくれたのも、よかった。 もしかして、このハイデガー本において示される自己論は、キルケゴールの実存主義哲学やメルロ=ポンティの身体コミの現象学より、プラグマティズム思想家兼社会心理学者であるジョージ・ハーバート・ミードの『行為の哲学』や、その後(主にイギリスの)質的社会心理学で展開された言説心理学(Discursive Psychology)のとる立場に近しいものとして読み直せるのではないか。そういう気づきを得させてもらった。それは著者が「ノンバイナリに気づく一人の男性」の事例について述べた時、ジェンダー論における哲学的アプローチとしてハイデガー哲学を参照したことで、より鮮明になったように思われる。続きを読む
投稿日:2023.02.10
観領
「存在と時間」を実存解明の書として読むという視点が卓抜。 しかもかくまで平易に噛み砕いて解説した入門書はかつてなかったと言ってよいだろう。 ただ、分量が限られているせいか、やはり物足りなくはある。
投稿日:2022.05.23
Verfassungslehre
本書は「私たちがそれぞれ『私』の生を生きているとはどのようなことか』という問題に対する取り組みとして『存在と時間』を解釈する。 実存主義にも存在論にも還元できない、そうした『存在と時間』に固有とも言え…る哲学的洞察を評価する試みであることを個々に明記しておく。続きを読む
投稿日:2022.04.11
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