【感想】「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える

石田光規 / ちくまプリマー新書
(20件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
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ブクログレビュー

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  • かな

    かな

    このレビューはネタバレを含みます

    ・「個を尊重する社会」というのは、一人ひとりがそれぞれに独立した意見をもち、それを率直にぶつけられる社会という意味合いもありました。誰もが、気を遣いつつも、率直に意見をぶつけ合うことで、よりよい社会を築いていく。そういった対話のある社会が目指されてきたのです。
    果たしてそういった社会は実現できたのでしょうか。世の中を見渡してみると、実際に到来したのは、目の前の他者に対して意見や批判することを憚り、それぞれが自分の殻に閉じこもる社会、あるいは、検索をつうじて、互いに意見の合致している人のみが結びつき、意見の合わない人は寄せ付けない分断型の社会ではないかと思うこともあります。そこからは、個を尊重する姿勢を読み取ることはできません。

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    投稿日:2024.02.17

  • amy

    amy

    「まあ、人それぞれだからね」というのは一見寛容に見えるけれども非常に冷たい対応で、それによって生じる懸念などの解説をした本。新書だし薄くてわかりやすかった。
    「人それぞれ」ってのはその人を尊重するように見えて、その人自身が抱える問題をこちらに持ち込まないでくれという一種の拒否反応でもあり思考をストップさせる言葉でもある的なことが書かれていて、いやーほんとそうですよね…と反省したというか、考えたくないことが出てきたときに使ってしまいがちが頻出フレーズよな…と思った。
    「人それぞれ」なのはもう存在するものとして社会に共有されたほうがいいし、大事なのはその「人それぞれ」の中身に対してどうやって行動していくかよね。
    このあたりを柔軟にしていけばもっと労働に参画しやすい人たちも出てくるよね
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    投稿日:2024.01.29

  • gakudaiprof

    gakudaiprof

    若者あるいは中学生向けの新書である。したがって、難しくはなく、語りかけるような書き方である。
     何か人付き合い、あるいは炎上してしまった人が読むと癒されるであろう。短時間で読めるので大学生にもおすすめである。続きを読む

    投稿日:2024.01.22

  • Takeuchi Rino

    Takeuchi Rino

    私たちは長い年月をかけてやっとひとりになることができた。私たちが深い対話を取り戻すためには、最適化願望をいったん脇におき、つながりへの期待値を切り下げ、ただつきあうことをもっと意識した方がいい。多様性というワードの本質の誤解と似ていると思った。続きを読む

    投稿日:2023.04.19

  • 司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    「「人それぞれ」という言葉には、個々人の違いを尊重する一方で、考え方の異なる者同士が互いに本音で語り合わず、内面に深く踏みこむのを避けようとする側面がある。相手との距離をとろうとする人間関係のありかたや、「人それぞれ」の社会に隠れた息苦しさを見直す一冊。」

    目次
    第1章 「人それぞれ」が成立する社会の条件
    第2章 「人それぞれ」のなかで遠のいていく本音
    第3章 「人それぞれ」では片付けられない問題
    第4章 萎縮を生み出す「人それぞれ」
    第5章 社会の分断と表出する負の意見
    第6章 「異質な他者」をとりもどす

    著者等紹介
    石田光規[イシダミツノリ]
    1973年生まれ。2007年東京都立大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士課程単位取得退学(社会学博士)。現在、早稲田大学文学学術院教授
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    投稿日:2023.04.13

  • uDo

    uDo

    超良かった。ぜひ「昔は良かったなぁ」と思っている人には読んでほしい
    個人主義の弊害について書かれているが、
    ネットでの過剰な「叩き」、「親ガチャ」にまで言及されており、とても読み応えがあった

    気づき
    ・集団から離れた「人それぞれ」社会は、「つながりは自分で調達する」ことを意味する。それは「相手からも魅力的である」必要があるため、人間関係がコスパ重視になる。
    ・人間関係のコスパ主義は、人間関係を狭める。
    「人にはプラス、マイナスどちらもある」ということを今一度思い出すべき
    ・現代の「叩き」に共通するのは「異質な他者の不在」である。異質な他者をも取り込む必要性

    続きを読む

    投稿日:2023.02.22

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