【感想】もう生まれたくない

長嶋有 / 講談社文庫
(15件のレビュー)

総合評価:

平均 3.2
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9
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ブクログレビュー

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  • ico22

    ico22

    東日本大震災の爪痕も生々しい2011年7月~2014年4月までの出来事を春菜、美里、神子の三人を中心に綴られている
    実際にあったことをベースに書かれているので、誰かのゴシップや亡くなったことなど…ああ、こういうことあったなと当時を思い返すことが多かった
    辛い出来事がどれだけたくさんあっても、それでも日々は続いていくという予感で終わっている所が良い
    そこにただ生きる人々を真摯に描いている
    読み終わったあと、トムラウシ山遭難事故を調べたけど、中々凄惨な内容だった…
    こんな大規模な遭難事故なのに、全く知らなかった自分にちょっとショックを受けた
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    投稿日:2024.05.05

  • rainygreen

    rainygreen

    事故、自殺、早逝…誰かの不慮の死の報せに触れたとき、人は全く関わりがなく関心もなかったはずの他人の人生に思いを馳せたくなる。
    誰もが思い当たるこの心情に踏み込むニッチな語り口。

    この小説は、2011年の大震災で多くの生命が失われたことを契機にしている。2024年の元旦、能登でまた大きな地震があり予期せず失われた生命が多くあったことを報じる様子を聴きながら、このレビューを書いている。

    巻末に「本作に登場する主な死者と死因」のリストが掲載されている。殆んどは現実に起きた(2014年以前のものだが)有名・無名の人の死ではあるが、明確に憶えているものもあれば、すっかり忘れかけていたものもある。

    人は自分の生き方を選ぶことはできても、自分の死に方を選ぶことは難しい。
    ましてや自分の死が他者にどのような思いを抱かされるのかなど制御のしようもない。
    そんな儚い普遍に改めて気づかされる。

    久々に長嶋有を読んだが、登場人物の境遇や心情の機微を拾う視点のユニークさは相変わらず。
    そのディテールの綿密さを、書くほうも読むほうも楽しむという面がある。
    セガサターンへの偏愛は著者の趣味の反映そのものだと思うし、大学講師・布田や蕗山フキ子の造形なんかはちょっと悪ノリを感じる。
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    投稿日:2024.01.03

  • なんてひだ

    なんてひだ

    うーむ思ったのと違う。それぞれの思いを同時期に起きた事件に死んだ有名人に絡めながら綴るんだが、先が明るくもないし、感動作の本の紹介文を見て購入したのですが、感動とは違うよ。なんで感動と書いてあるんだろうか、死は確かに悼む気持ち以外にないけど、受け取った登場人物の気持ちが私の気持ちではないですね。佐渡の三人を読んでここに来たんだが、あの流れとも違うし、戸惑いました。フダもゴルフのアイアンで殺されてしまうし、そこで今まで適当に相槌してた表現が理解出来た皮肉な結末。奥田英朗の様な何も可能性のない未来だなあー続きを読む

    投稿日:2023.12.25

  • natsumomo

    natsumomo

    2019.1.13
    もう生まれたくない 長嶋有

    空母の郵便局に思いをはせるところからはじまって、空母のなかにいる自分、空母の郵便局の出されるのを待つ袋の中にとどまる手紙たちをおもうところで終わる。群像劇なので、最初の彼女と最後の彼女が同一人物なのかそうでないのか、読み終える瞬間もページを繰って確認しないと思い出せなかった。いまも、(わたしのなかから)どんどん薄れて忘れてゆく人々の姿や思いや出来事を、彼らのまわりで死んでいった身近な人や有名人や時代の人などを、なんとなく頭のなかでひっしにひきとめながら感想を書こうとしているけれど、わりとむずかしいみたいだ。
    いちばん残ったのは、この作家は文章中でかっこ()を多用するなあ、ということかな。
    実際に死んだ著名人と、架空の身近な登場人物たちの死を、同列に実名を出して記していて、こういうのありなんだ、と思ったこととか。
    タイトルの、もう生まれたくない、に興味を惹かれて選んだ本だけど、意味が話の内容とつなげられなくて、読後に作家本人のインタビューを検索した。それによると、「もう生まれたくない」からこそみんな今を精一杯生きていくんだ、みたいなことを言ってて、
    へえ、というより、はあ、と思ったのだった。まあそれ自体に思うところがあるわけではないけど、内容とのつながりにはまったくぴんとこない。ようするに、ピンとこない相性だったのかな。


    それより、ずいぶん本を読んでいなかった。書き留めておこうと久しぶりにメディアマーカーを開いて驚いた!
    あと数日でサービス終了になるところだった。いままでの、ぜんぶ、消えちゃうところだった。
    よかった。それだけでもいま本を読んでよかった!
    続きを読む

    投稿日:2023.11.18

  • 1742981番目の読書家

    1742981番目の読書家

    読んだことないタイプの小説でちょっと難しくてずっと輪郭がぼやけたような状態で読み終わった。誰かが死ぬっていう決定的に悲しい出来事に濃淡があることに不思議だなあ、って感じた日を明確に覚えてるし悲しいはずなのに思い出すのは取るに足らないエピソードだし、共感する場面もたくさんあった。ぬるっとした印象だけどこれはこれで良いなあ。続きを読む

    投稿日:2023.08.14

  • unisonsqayomenai

    unisonsqayomenai

    読み応えがある。ずるずる惹き込まれる。年によって立場が変わっていって、それも当たり前なんだけど、面白い。

    投稿日:2023.08.08

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