【感想】素朴と文明の歴史学 精選・東洋史論集

宮崎市定, 井上文則 / 講談社学術文庫
(2件のレビュー)

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    このレビューはネタバレを含みます

    歴史の見方:
    世界史序説
    素朴主義と文明主義再論
    歴史と塩
    歴史学各論:
    古代
    中世
    近世
    文化史 
    シナの鉄について
    江戸時代におけるシナ趣味
    全集未収録作品:
    大きな静けさ
    中国漢代の都市
    中国における易占の発達

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    投稿日:2021.12.20

  • 重度積読症

    重度積読症

     宮崎市定の著作を愛好し、評伝まで著した編者によるアンソロジー。
     古代、中世、近世、最近世及び現代という時代区分と、東アジア、西アジア、ヨーロッパという地域区分を組み合わせて、歴史の骨太な見方を論じた『世界史序説』から始まり、宮崎の専門とする中国史について、古代、中世、近世からのセレクション、さらには全集未収録作品まで収録された、宮崎愛読者にはたまらない贅沢な一冊。

     編者により宮崎の歴史の見方、捉え方や、選択された各論考の紹介がされているので、宮崎をあまり知らない人は、是非そちらを読んで興味を持っていただきたい。

     「条支と大秦と西海」、「晋武帝の戸調式に就て」などは、一般読者が読むにはしんどいが、このような史料に即した本格的な論考もあれば、こういう歴史の捉え方ができるのか、現代につながる歴史学としてこういうものもあるのかを考えさせられるものなど、多様な作品が収録されている。

     個人的には、「歴史と塩」、「王安石の黄河治水策」、「シナの鉄について」などが、非常に面白かった。塩といい鉄といい、経済社会生活に非常に重要なことだけれども、専門的な論は一般読者には取っ付きにくいものだが、宮崎の論は視点は明確であり、言わんとすることが明瞭な文章で書かれているので、グイグイ引っ張られるように読み進めることができる。

     なお、「歴史と塩」は、正に日中戦争中、中国に勝利するためにはどうしたら良いか、日本軍に協力する意図でも書かれたものであることが、編集部注で分かった。
     時局に迎合した戦時中の作品は、戦後不都合な箇所が削除、修正されているということは良く聞くが、こうした形で残してくれた方が歴史を知る上で大切だと思う。

     
     編者の解説の最後に、宮崎は講談社が大嫌いであったと記されている。学術文庫という手に取りやすい形で出してくれた、講談社に感謝^_^
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    投稿日:2021.11.14

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