【感想】夏と冬の奏鳴曲  新装改訂版

麻耶雄嵩 / 講談社文庫
(29件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
6
7
9
3
0

ブクログレビュー

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  • 春

    ド賛否否っ否両論の間題作みたいな触れ込みで読んでみたけど、こりゃ大問題だ。
    とにかくくどい描写が多い贅肉小説なんだけど、その贅肉を取るとあまり残るものがない感じ。謎はあるけど解
    がないし、理解させる気がないのが伝わってくる。
    最終日の現実離れした展開は翻弄されるという点では面白かったし、驚きもあり後味も悪くてよかった。
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    投稿日:2024.02.17

  • ホトケ

    ホトケ

    孤島に閉じ込められた雑誌記者烏有と助手が殺人事件に遭遇するミステリー。ここまでだとアガサクリスティの『そして誰もいなくなった』が連想されるが現実にはあり得なそうな事象、和音なる幻の女優と彼女を信奉していた者たち、更に烏有たちの過去とも絡み合うといった要素で特異な様相を呈している。
    読みやすい文章ではあるがキュビズムの話や神父のご高説が難解で、トリックがある意味トンデモミステリーみたいになっているので前作同様に人を選ぶと思われる。個人的には色々な考察ができる傑作。
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    投稿日:2024.02.12

  • 久能整

    久能整

     まさか解決編が明示されないとは思わなかった。「この作品は読者の考察がそのまま解答になりうる作品である。」という風に感じ、問題作を書き続ける作者ならではの傑作だなと感じた。これは確かに「ドグラ・マグラ」「黒死館殺人事件」「虚無への供物」、そして「匣の中の失楽」に続く第五の奇書といっても過言ではないといえる作品だ。続きを読む

    投稿日:2024.02.04

  • 傘籤

    傘籤

    このレビューはネタバレを含みます

    う、む。これは……なるほど……評価が分かれそうな作品だ。

    まず文章は意匠に凝っており、ちょっとくどいなあと思いつつ、日本語の美しさを存分に味わえます。冒頭にある葬式シーンの美しい情景は印象的ですし、その美しさを後半でリサイクルしてくる演出など、全体的に文章で”魅せる”力が強い。しかも凝った文章でありながらリーダビリティも高く、750ページある小説であるにもかかわらず、すいすい読めちゃいました。

    物語はよくある孤島ミステリであり、終盤近くまではその「よく知る展開・よく知る内容」に沿って展開していくため、文章の読みやすさもあって読むことに苦労はしないでしょう。問題は終盤以降の主に謎解きにあたる部分で、これほど丁寧にリアリティを持って長々と土台作りをしているにも関わらず、その論理性を自ら放棄するような曖昧模糊とした場面を次々と見せ読者を攪乱してきます。

    おそらくプロットの段階で本格ミステリとしての明解な「解」を用意していると思われるのですが(そう感じざるを得ないほど途中経過における伏線や人物描写が巧み)、最終的にはまるですべてが舞台劇であるかのような前衛性を発揮するので、読者としては狐につままれた気分に。

    おそらくここで書かれているキュビズム関連の長々とした解説は、神学や芸術理論なんかより、「ミステリ」というジャンルがぶち当たる、”探偵と犯人”であったり、”舞台およびトリックを用意して、それを解決する”ことであったり、”作中で真相に辿りつかなければならない”といったジャンルに対する作者からの問いかけな気がします。

    私はミステリ小説の熱心な読者ではないので、トリックの方法が現実離れしたものであってもぜんぜん構いませんし、いわゆるアンチミステリというものも好んで読む方です。その上で、この謎を謎のまま、はっきりとは答えを提示せず終わらせてしまう点。そもそもどこからが妄想で、どこからが現実なのかが分かりにくい見せ方。ここら辺については賛否が分かれるのも無理は無いかと思いました。

    なので人によっては「一文一文すべてに価値があり、すべてがすばらしい」という感想もあれば、「読み終わったら壁にぶん投げた」という感想があってもおかしくない。一方で、解を提示しないことでよりこの小説は一種の永遠性を獲得しており、それはラストに至る過程の部分で「多重人格」や「キュビズム理論」といった考える素材の他、伏線となる要素はちゃんと用意されているからでもあるでしょう。

    というわけで、作者の中で解答はあるのでしょうし、発売されて30年近く経つ名の知れた作品なので、色んな解釈が用意されている「構造を楽しむ小説」という印象を受けました。なのでこの小説は、ミステリファンがミステリファン同士で語り合ったり、解説サイトで色んな解釈を読むという二次的な楽しみ方をして初めて100%真価を味わったことになるのでしょう。

    なぜ、「奇書」として人気なのか。なぜ評価が分かれるのか。その理由がわかりました。

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    投稿日:2024.01.17

  • たっく

    たっく

    このレビューはネタバレを含みます

    ものすごく読みづらかった。
    結局、和音ってなんなの?とか何で神聖視されてるのとか作内では明確な答えなし。
    キュビズムとかもよくわからないし。

    終盤になると実はとうりが二人いるという衝撃の事実が明らかになるが、私は全然気づかなかった。
    メルカトル鮎の二作目と聞いていたが、全然登場せず、ラスト数ページでやっと出てきたのはあんぐりだ。

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    投稿日:2023.11.08

  • MO-FU

    MO-FU

    このレビューはネタバレを含みます

    いやぁもうすっごい...!
    トリックかどうかも怪しい超絶雪密室もそうだけど、それが霞むぐらいラストの怒涛の展開に圧倒された...
    二人の桐璃が出てきたあたりから訳分からんようになって、ラストのメルカトルの一言で完全に放り投げられたw
    読後、色々と考察サイト巡回したけど、意見がそれぞれ分かれていて、なんとなくの概要は理解出来たけど、細部まではふんわりしてる感じです。
    モヤモヤする結末の話はそんなに好きじゃないんだけど、ここまで突き詰められると、逆に清々しくて良いですね(錯乱)

    ラストで烏有が無傷の方の桐璃を選んだの見て「お前っ...!!!」ってなったわ...

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    投稿日:2023.10.15

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