【感想】予言の乙女は大公の従者になって魔境に潜伏中です【初回限定SS付】【イラスト付】【電子限定描き下ろしイラスト＆著者直筆コメント入り】

このレビューはネタバレを含みます

リオもローランドも相手のことを思いやれる真面目で優しいキャラなので、非常に好感のもてる主役カップルだった。
そして、ちょっぴり弱みがあるのもいい。
リオは晒しがなくても少年に間違えられる小さなお胸。
ローランドは自然と危険溢れる魔境暮らしなのに虫が苦手。
このローランドの虫嫌い、シリアスなシーンでも突然コミカルに変えてくれるし、何だったらリオのピンチも救ってくれるという愛すべき欠点である。
挿絵も割と彼が虫に怯えるシーンが抜粋されていて、そこにも笑わせていただいた。
美形だし民思いのいい人なのに。

サブキャラもリオにおじいちゃんと呼んでくれとせがむ筋肉むっきむきの六十代将軍に、そんな彼に恋している女魔法使いと魅力的である。
この二人、実は両片思いだったりする。
しかも十年くらい、互いに歩み寄ろうとして失敗しているチキンぶりである。
リオを間に挟むことによってデートを成立させるという荒技まで見せてくれる、これもまた愛おしいキャラたちだ。
この二人は後にリオがこの世界で生きていくための地盤づくりにも力を貸してくれることになる。
ありがたや。

現王太子はローランドを目の敵にするあまり、予言の乙女に初手で剣を向けるし、何だったら実の親にすら容赦ない外道である。
予言の乙女は王太子との婚姻もまた役目であるので、否応なしに王太子とローランドの対立にリオは巻き込まれることになる。
もちろん勝つのは愛ある方なのだが、前述通り、ローランドの虫嫌いがこのピンチの活路になったりする。
愛の力じゃないんかいという。
いや、愛の力ではあったが、どちらかというと従者が主人に向ける忠実心だった気がする。

無事に予言の乙女としての役目を果たし、王であるべきローランドに王位も戻って、二人は結ばれてめでたしめでたしではあるが、リオのお仕事はまだ終わっていない。
今後の予言の乙女が苦労しないような地盤づくりをするようで、とことん優しい子なのである。
本当にいい子なんだよ……！
そんな子が、異世界で居場所を見つけて、好きな人も得られて、活き活きと生活できている、それだけで胸いっぱいになるのである。

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