【感想】日航123便墜落 疑惑のはじまり 天空の星たちへ

青山透子 / 河出文庫
(3件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • harinezuminami

    harinezuminami

    読んだのは単行本版。

    読み始めると、著者が新人スチュワーデス時代に先輩たちにどんな指導を受けて、どんな風に仕事を始めたかということに紙幅が割かれていることが分かる。
    このことが墜落事故のこととどんな関係があるのか、読み進めるうちにじわじわ分かってくる。
    プロとして働くこと、自分の仕事に誇りを持って働くこと、そうしたことがなかなか難しくなってしまったのは、いったい何が原因なんだろうと考えさせられる。他のあらゆる業種に共通する問題があるとも感じる。

    学生たちとともに新聞記事や地元の人の証言などを丁寧に追いながら事故ついて考えていく姿からは、自分たちの力ではどうにもならない何か大きな(悪い)力に翻弄されているのか、と無力感を感じるだけではだめでしょうということも伝わってくる。

    子どもの時の記憶なのであてにならないが、この事故が起きた当時、よく飛行機事故があったり、熱帯雨林に飛行機が墜落した…みたいな映画を観た気がしていて、もし自分が飛行機に乗っていて墜落したら、とやたら心配していた気がする。
    大人になり飛行機に乗り、多少揺れても航行に影響はありませんとアナウンスがある度に、「ほんとか?」と思ってしまうのはその時の記憶が蘇るからかもしれない。
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    投稿日:2021.09.13

  • yoichiokayama

    yoichiokayama

    1985年8月12日の日航ジャンボ機墜落事故。
    死者520名、生存者4名は、単独航空機事故としては世界最大規模でした。
    事故機には、元日航スチュワーデスの著者と同じグループでフライトをしていた先輩方が乗務していました。
    著者が授業で墜落事故を扱う中で、数々の疑問が浮かび上がります。
    なぜ墜落事故が起きたのか、なぜ墜落現場の特定が遅れたのか。
    当時を知る関係者への取材も含めた、ノンフィクション作品です。
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    投稿日:2021.08.21

  • クレモンティーヌ

    クレモンティーヌ

    1985年に発生した日航123便墜落事故の原因を改めて整理し直した価値ある著作。毎年8月12日にニュースで報じられるこの悲劇は、有名人含む死者520名と過去に類を見ない大事故で、無残なご遺体の前に泣き叫ぶご家族の様子、懸命に操縦に集中するボイスレコーダーのやり取りなどが、衝撃的だった。が、当時学生の自分は、悲しいニュースは知りたくない性格もあり、また「圧力隔壁の修理ミス」というそれらしい結論を聞くと「そんなこともあるのか」という程度に理解していた。それから三十何年後に本書に出会ってびっくり大仰天した。なんと、原因と再発防止策が曖昧になっているとは。私もメーカー勤務で製品開発を長く担当しましたが「こんな理屈が正々堂々とまかり通るとはいったいどういうこと?」と信じられなくて思わず公開の調査報告書まで見てしまいました。当時の時代背景の影響もあったのか?と無理に納得しようとしてもなかなかそうはいかない。こんなことも知らずに、その後パスポートの捺印欄が何度もなくなるほど、飛行機に乗りまくった私自身を振り返ってもぞっとする。著者指摘の通り整理するとつじつまの合わない点が沢山あるが、一番あり得ない点は「衝撃音のあと2万feet以上の上空をしばらく酸素マスクなしで飛び続けていたこと。」さすがに平成23年の7月に疑問に対する事故調査報告への解説書が出ているが、明らかに本質を語っていない。まず減圧について。最初から長ったらしく説明しているが、要するに数秒(2.9秒)で急減圧客室状態になるということ。どんな大きさであれ隔壁に穴が開くと一瞬で空気は抜ける。普段いろんな圧力の絡む操作や実験をしてる人には当たり前の話で計算するまでもない現象。それをタイ航空(A300)で圧力隔壁が爆破されたが、幸いにもすぐ急降下できた事故例とつなげて矛盾はないと言っている(比較すべき本質は酸素濃度であるべきだが、論点が減圧までの秒数にすり替わっている。タイ航空の例も日航123便シミュレーション2.9秒も同じことで急減圧には変わらない。日航123便事故では急減圧が起こらず乗員乗客が恐怖の中、何分間も間無事であったことが問題なのに)。こんな稚拙な論法が「調査報告書」という名前で提出されればまかり通ってしまうのか? フライトレコーダー上では何分間も2万feet以上の上空を飛んでいるのに・・・。挙句の果てに、管制に対する機長の回答が酸素不足のために少し遅れていると書いてあり大笑いした。柳田邦夫氏もこの解説書に「この解説書の大きな意義、納得感のある開かれた事故調査への一歩」という補足コメントを書かされているが「長い道のりを経た上での意義のある大きな一歩・モデル」と書くにとどまっている。技術者誰が見てもつじつまの合わない報告書に対して、専門家として最低限のプライドを守るために「解説書の評価に微妙な違いはあるし、全面的に納得感が得られたわけではない。」とコメントせざるを得なかった柳田氏が気の毒で仕方ない。520名の命よりも優先させたい何かがあったことは確実だが、亡くなられた方々やご遺族の方々さぞかし無念のことと思います。外部から何がぶつかったか明らかになる日が来るのを祈っています。続きを読む

    投稿日:2021.08.16

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