【感想】ドーナツ経済

ケイト・ラワース, 黒輪篤嗣 / 河出文庫
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • yoshidamasakazu

    yoshidamasakazu

    河出文庫 ケイトラワース 「 ドーナツ経済 」

    経済学の役割を 経済成長でなく、貧困根絶と環境保全に求めた本。

    経済成長に 全人類の幸せはなく、貧困根絶と環境保全がなされた「人類にとって安全で公正な範囲」を バランスのとれた繁栄の道であるとしている

    経済学者に求められる思考
    *目標を変える〜成長をめざすのでなく、バランスのとれた繁栄の道を探る
    *全体を見る〜市場の効率性でなく、家計、市場、国家、コモンズ(共の役割を考える
    *人間性を育む〜合理的経済人でなく、社会的適応人へ人間像を変える
    *システムに精通する〜ストック、フロー、フィードバックグループ
    *分配を設計する〜所得と富を再分配する
    *環境再生を創造する〜循環型経済へ
    *成長にこだわらない〜成長しなくても繁栄をもたらす経済へ

    目標を変える=GDP成長からドーナツ部のバランスのとれた繁栄へ
    *人間の生活の場である経済を豊かにするのでなく、人間の生活そのものを豊かにする
    *人間の生活そのもの=ドーナツ部〜人類にとって安全で公正な範囲であり、バランスのとれた繁栄の道
    *人類の繁栄は地球そのものの繁栄の上に初めて成り立つ

    全体を見る
    *市場の効率性を高めるのでなく、家計、市場、国家、コモンズ(共有する自然や社会の資源)の役割を考える
    *地球〜許容限界に配慮する〜空きのある世界は終わり、いっぱいに詰まった世界に生きている
    *市場〜自由市場でなく、誰がリスクとコストを負い、恩恵を受けるかから再規制を見直す
    *コモンズ〜国や市場に頼ることなく、自発的な秩序形成を通して行う
    *企業〜株主価値の最大化より魅力的な企業目的が必要

    人間性を育む
    *合理的経済人(利己的、孤独、計算高く、好みが一定、自然の征服者)でなく
    *社会的適応人(社会的、互いに頼り合い、価値観が変わりやすい)へ
    *わたしたちは条件つきの協力者(他者が協力するかぎり自分も協力する)が同時に利他的な処罰者(裏切り者やただ乗りする者を罰する)
    *ハンナアレント「野良犬は名前をつけてもらうと長生きする」

    システムに精通する
    *システム(特徴的な行動パターンを生み出す仕方で互いに繋がりあっている仕組み)
    *ストック、フロー、フィードバックグループが複雑に絡み合う
    *フィードバックグループがストックとフローを結ぶ
    *フィードバックグループには、自己強化(正)とバランス(負)がある
    *自己強化型は、増大がさらなる増大を呼ぶ
    *バランス型は、システムの暴走や内部崩壊を防ぐ
    *全人類をドーナツの中に入れるには、「成功を呼ぶ成功」のフィードバックグループを弱める必要がある

    分配を設計する
    所得と富の再分配をめざし、そのために市場、コモンズ、国家を活用する

    西洋の経済は危険なレベルの不平等に向かっている〜資本から生まれる利益の成長が経済全体の成長スピードを上回り、富の集中が起こる

    再分配政策
    *累進課税と所得移転
    *最低賃金など労働市場の保護
    *医療、教育、公営住宅など公共サービスの提供

    幸せを増進する行動
    *周囲の人々とつながる
    *体を動かす
    *世界に関心を持つ
    *新しい技能を身につける
    *他者に与える
















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    投稿日:2023.02.11

  • りんこさん

    りんこさん

    https://docs.google.com/document/d/1hN_cWEYVhe4-bF9xO2DHh9n0GWbyfeZV5pgRr6huSBo/edit

    投稿日:2023.01.09

  • にんにん

    にんにん

    日本のGDP成長率は、他のG7主要国と比べて低いことは多くの場面で言われています。
    2020年は各国ともにマイナスですが、それまでも日本は0〜1%の成長にとどまっています。


    GDPという切り口で見ると日本経済は死に体と言えます。

    本書は今までこのように”GDP”という切り口、”成長”というキーワードでみられていた経済を、
    新たな視点で見ていく必要がある、と述べています。

    日本が厳しい状況にあることはかわりませんが、今後は成長だけではなく、持続可能性や再分配について議論し、経済を多角的な目線で見ていくべき、と言います。

    本書を読んで、「成長=善」という一辺倒な考え方から、違った目線で経済を見てみるのも面白いと思いました。
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    投稿日:2022.03.16

  • 雷竜

    雷竜

     これはすごい本だ!経済学の本は古臭くて小難しい算式が載っていて、どうも読めない。何か誤魔化されていると思っていました。この本はそんな経済学を、当たり前の、普通の人が考えることのできる角度で取り上げています。
     算式は一つも出てきません。トマ・ピケティの21世紀の資本でも、算式は一つしか出てきませんでしたが、この本には一つも出てきません。その代わりドーナツ状の図が出ているのですが、これはSDGsそのものの図であり、この著者がSDGsに大きな影響を与えたことがわかります。
     現代の経済人の必読の書です。
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    投稿日:2021.10.06

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