【感想】さかさま少女のためのピアノソナタ

北山猛邦 / 講談社文庫
(8件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
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ブクログレビュー

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  • るちか

    るちか

    装画のような印象の物語に予想できない結末が待つ5話の短編集

    こちらも面白かった!
    「私たちが星座を盗んだ理由」を楽しめた人はこの作品も楽しめると思う!
    短編だけど世界観が印象的でどれも心に残る
    「今夜の月はしましま模様?」が特に好き続きを読む

    投稿日:2024.04.30

  • skyufo

    skyufo

    色々と調べなければわからないことがあり
    それも含めて面白かった
    解釈が当たっているかどうかの答え合わせは欲しいなと思った
    どこか得体の知れない不思議なことごとが現実に寄り添っていて良かった

    投稿日:2023.12.11

  • 講談社文庫

    講談社文庫

    五つの物語全てが衝撃のどんでん返し、痺れる余韻。ミステリの醍醐味が詰まった短編集。『千年図書館』を改題

    投稿日:2023.01.31

  • 翼

    『私たちが星座を盗んだ理由』が面白かった人は、楽しめるミステリ短編集。ただし、3作目の『今夜の月はしましま模様?』は2作目の『千年図書館』より先に読んではならない(2作目にとんでもないオチがあるため)。2作目の『千年図書館』は『私たちが星座を盗んだ理由』の『妖精の学校』に似たオチで、驚愕必死。続きを読む

    投稿日:2022.08.29

  • 葦湯♨️

    葦湯♨️

    千年図書館改題

    ちょいちょい臭いセリフ回しが気になるけど、ファンタジックで少しホラー要素もあり、だけど平和で…って感じで面白かった。
    読みやすい

    投稿日:2022.06.17

  • やまだん

    やまだん

    このレビューはネタバレを含みます

    ● 感想
     北山猛邦は、今、最も好きなミステリ作家の一人。豪快な物理トリックも嫌いではないが、何より「私たちが星座を盗んだ理由」という短編集の「妖精の学校」がめちゃくちゃ好きな作品。この短編集「さかさまの少女のためのピアノソナタ」は、「私たちが星座を盗んだ理由」と同様に、いわゆる「世にも奇妙な物語」的な5つの短編が収録されている。
     この短編集には「見返り谷から呼ぶ声」、「千年図書館」、「今夜の月はしましま模様?」、「週末硝子」、「さかさま少女のためのピアノソナタ」の5作品が収録されている。
     今回の5作品の中には、「妖精の学校」ほどの抜けた出来の作品はなかった。しかし、いずれも粒ぞろい。この5作品の中では、「見返り谷から呼ぶ声」が一番好き。主人公が実は既に死んでいたということを隠す叙述トリックが秀逸。同様のトリックとしては、乾くるみの「セカンド・ラブ」のプロローグがあるが、再読したときに、叙述トリックの冴えにしびれる。内容は、子供らしい残酷さがあり、これもいい。
     そのほか、漫画、寄生獣を意識している「今夜の月はしましま模様?」もいい。読者を巻き込む系のオチだが、この話の展開で、この終わり方をするとは全く想定外。オチの意外性で勝負するというより、話の展開の意外性で勝負するタイプのプロットだが、コミカルな書きぶりと合わさって非常に楽しめた。
     「千年図書館」は、「妖精の学校」に近いテイストの作品だが、沖ノ鳥島の座標を現す座標の数値を示し、領土問題という現実的なオチを付けていた「妖精の学校」ほどのデキには感じられず。オンカロ計画がそんなに身近なものではない、という点にオチの弱さがあるか。そもそも、既に、「妖精の学校」を経験したことがあったという点もマイナス。二番煎じ的に感じてしまった。雰囲気は悪くない。
     「さかさまの少女のためのピアノソナタ」は、どうして演奏していると時が止まるのか。どうして止まっている時の中で、聖と吉野八重が会話できるのか。反対に演奏すれば時が遡るのか。そもそも反対に演奏するために楽譜をひっくり返すか?など細かい点に疑問はあるものの、演奏を止めると落下してしまう少女。演奏を止めることができない。どうする?というサスペンスと、反対に引いて時を戻して助けるという分かりやすいオチがテレビ向き。世にも奇妙な物語として映像化されたのは分かる気がする。楽譜をさかさまに引いたというベートーベンの逸話を知っていれば、もっと楽しめたのだろう。
     「週末硝子」は、棟に上って洪水から助かりました、というオチが、分かりやすくはあるものの、落語やコントのようなオチに感じてしまった。作品全体に馴染まない浮いたオチに感じてしまった。この作品をこの短編集の中でベストとしているサイトもあるが、そのようには感じなかった。これが一番、凡作だと思う。
     平均的なレベルの高さは感じるが、「妖精の学校」ほどの傑作はない。★3~★4。好きな作家なので、おまけで★4で。

    ● メモ
    ● 見返り谷から呼ぶ声
     叙述トリックによる作品。シロという登場人物が,1年前に死に,幽霊になっているのだが,そのことが巧みに隠された叙述となっている。
     シロは,幽霊なので,当然,回答はできないが,「相川は僕の名前だ。出席確認などしなくても,この生徒の人数なら,いるかいないかは一目瞭然だけど,学校教育として実施する方針らしい。」と書いて,出席の確認をされていると誤認させる部分など,なかなか秀逸な叙述トリックである。
     「僕の言葉は,もちろん彼らの耳に届くことはなかった。」とか,「彼女は僕を透かして,壁を見つめるように呟く。『待ってて』」とか,結構あからさまな伏線もあり,再読するのも面白い。
     話としては,子供の残酷さを描いており,クロネのこれからを思うとぞっとする作品であり,イヤミス系の作品。それだけに心に残る。好きな作品
    ● 千年図書館
     個人的には,北山猛邦の短編では最高傑作と思っている「妖精の学校」と同じ系統の作品。ファンタジーと見せかけて,オチがフィンランドの核処理計画である「オンカロ計画」に結び付いている。
     オンカロ計画の最大の課題である10万年もの時間,この施設の存在をどのように継承するかということから思いつかれた作品だと思われる。「妖精の学校」を読んでいなければ,衝撃度ももっと大きかったと思われるが,既に妖精の学校を読んだことがあるため,そこまでの衝撃はなかった。「考えオチ」系としては,最高レベルの作品だと思うが,新鮮味でやや割引き。「妖精の学校」の存在を逆手にとった,別の系統のオチにしていれば,「妖精の学校」を読んだことがある人にとっては,
    より意外性の高い作品となるが,それをすると,妖精の学校を読んだことがない人にとっては衝撃度が落ちてしまうだろうし。この辺りがミステリの難しさだろう。
    ● 今宵の月はしましま模様?
     漫画「寄生獣」パロディ要素を含むメタミステリ。しましま模様になった月→地球を侵略しに来た知的音楽生命体というSFチックな展開から,どうオチを付けるのかと思ったら,別の異星人による侵略行為。言語生命体の存在。この小説を読み終わった人間の頭の中に言語生命体が移動するというオチだ。
     これは,なんというか,星新一のショート・ショートのようなオチである。序盤の展開から,このオチは想像できない。この短編集の中で,衝撃度では一番だろう。
    ● 終末硝子(ストームグラス)
     舞台は19世紀のイギリス。マイルスビーという村では「棟葬」。棟に埋葬する習慣がはやっていた。棟葬を始めたのは「船長さん」と呼ばれ、慕われているプリングル・ストークス男爵。エドワードという医師が病気の療養のために、マイルスビーに戻ってきた。
     エドワードは、男爵と知り合いになり、棟葬について話を聞く。棟葬を始めたのは男爵だという。その後、エドワードは、男爵の後妻、3番目の妻から話を聞く。「このままだと男爵に殺されてしまう。」と。男爵は、なぜか、棟葬されている棟に行っていた。死体を観察している様子である。なぜか。
     エドワードは男爵から話を聞く。男爵は、かつて航海で死にかけていた。そのような経緯もあり、今は、気象学に傾倒している。様々な手法で気象を予測する。マイルスビーで作物が良く取れるようになったことなど、村人が棟葬のおかげと思っていることは、気象学のおかげだったのだ。
     棟葬も気象学の一環だった。男爵は遺体を利用した気象の予測もしていた。男爵は、自身の気象学の結果、終わりの日が来ると考え、死ぬ。
     大雨が来た。トレント川に洪水が起こり、マイルスビーの村は沈む。しかし、棟に上ったことで、村人は助かったというオチ
     世界の終わりの「世界」がマイルスビーの村のことであり、大雨の洪水でマイルスビーが水の中に沈む。村人が棟に上って助かるというオチだが、唐突なオチという印象が否めない。伏線がしっかりと張られていないと感じてしまった。洪水についての伏線や、棟を作ったことがどういう点につながるのか、もう少し伏線があればと感じる。「棟を見かけるたびに、死んだ仲間から見守られているような気分になるんだ。」とあるが、この程度。伏線不足に感じてしまい、オチに納得できず。イマイチ
    ● さかさま少女のためのピアノソナタ
     引くと、引いている者以外の時間が止まる「さかさまの少女のためのピアノソナタ」という楽譜。挫折したピアニストの主人公、聖が、この楽譜を聞く。演奏を続けている間、演奏者以外の時が止まる。演奏を途中で止めた場合、両手を失う?一音でもミスした場合、両手を失う?そのような楽譜を、聖は卒業式の日に改めて引く。そのとき、窓の外に、飛び降りた少女の姿が。時が止まっているので落下しない。しかし、演奏を止めると落下していくことが予想される。聖は、止まった時の中で、なぜか落ちていく少女=吉野八重と会話ができる。演奏を止めると吉野八重が死ぬ。しかし、いつまでも演奏ができるものではない。最後に、聖は楽譜をひっくり返し、反対向きに楽譜を引くことで時を戻し、八重を助ける。

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    投稿日:2021.08.29

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