【感想】詩集 たましいの世話

若松英輔 / 亜紀書房
(3件のレビュー)

総合評価:

平均 4.7
2
1
0
0
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • コルベット

    コルベット

    このレビューはネタバレを含みます

    『手』

     やるべきことを
     探して
     長い間
     いろんなところに
     旅をした

     でも 大事なのは
     簡単には語り出さない
     自分の
     心の声に そっと
     耳を傾けることだった

     忙しそうな姿を
     見せないで 君が
     困っているときに
     じっと
     そばにいることだった
     …

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.12.20

  • 蓮子

    蓮子

    深く、静謐な悲しみを湛えた言葉たちが織り成す34編の詩は喪失という傷口に滲み通って優しく縫い合わせるかのようです。生きることは別離と出会いの連続であり、何かを喪うことは避けられない。己の生を含めて。印象に残った詩は『なぐさめの真珠』。『苦しみも/悲しみも/手放してはならない/人生という/貝殻が/なぐさめの真珠を/宿すまで』酷く傷付いて絶望したとしても、それは何時か核となって美しい結晶となる。苦しみと悲しみを知っているからこそ、尚も傷の結晶は美しく輝き出す。それはその人の心の深さであり、温かさでもあると思う。この詩集を読んで自分の傷が愛おしく感じました。素敵な詩集なので、繰り返し読みたい。続きを読む

    投稿日:2022.02.12

  • まこと

    まこと

    とても共感を覚えました。
    まるで、自分のこころのうちから出てきたのかと錯覚するような詩ばかりでした(まさか私がこんな言葉を紡げる訳がないのですが、それほど共感したという意味です)。

    でも、谷川俊太郎さんの詩を読んで「いい詩だなあ」とは思っても「自分の心と同じだなあ」とはあまり思ったことはないので、何かしらシンパシーが近い方なのかもしれません。
    年齢が近いし、ごく普通のことばを使ってごく普通のことを語られているせいなのかもしれません。
    人の死に関する詩が多く、普遍性があるのかもしれないです。
    7割以上の詩に共感しました。

    若松英輔さんの今まで4冊の詩集は、全部図書館で借りて読んできましたが、果たしてこんなに共感していたものなのか実はよく覚えていません。

    全部で34篇の詩が載っています。
    巻頭の詩「いのち ひとつ」はたくさんの命を亡くすことになった(今日、現在5193名)今の緩いコロナ対策を平気でやっている政治家の方たちに読んでもらいたいです。


    「いのち ひとつ」
    亡くなったのは
    わたしが愛した
    あの人で
    千人の中の
    一人ではないのです

    もう抱き合えない
    あの人は
    街を歩く 千人を
    どんなに探しても
    見つかりません

    亡くなった人が
    多いとか
    少ないとか
    そうした
    話の奥には いつも

    たった ひとつの
    命を喪った
    わたしのような
    人間がいるのを
    忘れないで下さい


    「花」
    花が咲いている
    今日が
    暖かいから
    咲いたのではない

    寒くて 人間が
    肩をすぼめ
    下を向いて
    歩いていたときも

    樹々は
    しずかに
    わずかな あたたかみを
    たくわえていたのだ

    きっと 花が咲く
    気づかないうちに
    わたしの
    こころのなかでも



    「悲しい人」「はげまし」「しあわせのあかし」「慰めの方法」「別れ」「履歴書」「誓い」「胸底」も共感を強く感じました。
    続きを読む

    投稿日:2021.01.26

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。