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大倉源次郎 / 扶桑社BOOKS (5件のレビュー)
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総合評価:
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グンジョ
このレビューはネタバレを含みます
能楽の演目(フィクション)から日本史を掘り下げる意欲作。 印象的であったのが、世阿弥が活躍した時代の演目に見られる傾向。観客の好みを考慮し、当時一斉を風靡していた天台宗の思想を反映させた内容にしつつも、能作家の出身地である奈良で生まれた権現思想(神仏習合)を根底に潜ませているという、著者の分析が面白かった。 当時から、観客を楽しませる内容を意識しつつ、そこにアーティストとしての趣味や個性、思想を入れ込むバランス感覚が人気作品には必要であったのではと、今も昔も変わらない有り様に親近感が湧いた。
投稿日:2024.05.27
Take
能から紐解く日本史、となると当然室町時代と思いきや、ほぼ出てこず。古代天皇、聖徳太子、藤原氏、秦氏などが主たる登場人物となる。ひいては稲作とのつながりや大陸からの影響にも指摘が及び面食らったが、それは…それで興味深かった。 ・きちんと理解したわけではないが、「権現思想・天台思想・儒教思想」に能は密接、ないしは影響されたということ ・謡が日本の標準語の位置づけだったこと ・都が奈良から京都に移って、宗教的な権威も南都仏教から天台仏教移ったこと などの記述が印象に残った。 そして能やはり大和・奈良のものだと自分なりに感じ入った。続きを読む
投稿日:2022.11.13
うどく
劇空間に身を置いて身体で演じ続けることで体験として伝わってくる、歴史がつながっている・さかのぼれるという感覚をベースとした、1つの歴史の解釈。 素人でも何となくわかるほどに、本編に加えてコラム等からも伝わってくる、どれだけ真摯にお能と向き合い反復したか・生の経験をしたか、というのが、お能を媒介とした歴史解釈自体の面白さと抱き合せになっていて、全てひっくるめてただただすごい、興味深いと思わされた。 歴史とはまた別に、お能を観ることについて、その構造に触れて人生経験の重要さや、舞台空間に何かが顕われているようなスリルは直感的な体感であること等述べられていたが、それは他にも、こうして本を読むにしても共通する姿勢であるなと、何か謙虚にさせられた。知識だけでなく経験や体感から総合的に織り合わせていくもので、弛みない自己修練がベースにあるのだなという感じ。これは筆者の能楽師としての存在自体からも感じられて、とてつもない説得力がある。
投稿日:2022.08.19
佐藤健志
お能に興味を持って、いろんな方のお話を聞きに行くことが多くなりました。 そこで驚いたことは、宗家の方々をはじめ能役者さんがみなとても熱心に様々なことを吸収し考察し学んでおられる実情です。とおりいっぺん…ではなく各々の考えをもち、能・狂言と日本の根本との交わりを深く研究されている。 この本もその一端。ともすれば「陰謀論」と合い通じるような描き方や言説をされているところもありますが、それはもちろん承知の上で日本と世界、能と人々の関係が語られています。突っ込みどころがあるといえばありますが、学説ではなくお能に携わる方の考えとすれば十分楽しめます。ハッとさせられる部分も多くありますし、本を購入したものだけの特典が豊富なのもありがたいです。 使用されている写真が談山能で、ちょうど自分が必死でチケットをとって(予約後無視というか放置されていたのでがんばって交渉しました。中には申し込んでホテルまでとったのにスルーされた方もいたとのこと…)見に行ったもの! あれはほんとうにすばらしいひとときだったなぁと当時のことを思い返していました。 一般人からはまだまだ「アレレ?」と感じてしまうことの多い能と狂言の世界ですが、大昔のように大勢の人々に愛され日常生活のひとつになればいいなあと思います続きを読む
投稿日:2022.01.10
T.Maeda
能楽の理解を深め、合わせて日本の歴史を紐解かせてくれる。 多くの意外な日本の古代の歴史、中国大陸からヨーロッパまでの連関性を著者が考えておられることが分かる。
投稿日:2021.04.13
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