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水城正太郎, 黒井ススム / HJ文庫 (2件のレビュー)
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風見鶏
クトゥルフ的な怪異が当たり前のようにこちらの世界に侵食してきた世界が舞台。 正気度削られちゃった人たちを治療したり調べたりする心理カウンセラーの少女を軸にしてさまざまなホラー現象と遭遇する基本的に一話…完結オムニバス小説。 途中から主人公の存在は置き換わり、謎の美形男が出ばってくるのでこれはいさぎよく刑事と魔術使いのバディものでもよかったのではないかと思うところもあるが、かといってヒロインが役立たずというわけでもなく。 異形と人間の、ほんのちょっとまだ人間側に立っているヒロインはわりと有能なので箸にも棒にもかからず、普通に嫌味なくてかわいいねといった調子だった。ヒロインが心理士なので精神分析うまいとか話術うまいとか説得にふってるとかそういうところもうちょい見たかった。 大まかに楽しかった。嫌みがない主人公のさばさばした感じが結構好き。 内容としてはほんとクトゥルフTRPGもの。 どっかのセッションを小説にしましたと言われてもなんとなく納得できそうな感じ。あとがきで作者さんも述べているけれど、シナリオ化して遊ぶこともできそう。 有名な怪物たちがちらほら出ばってくるので、ちょっとクトゥルフかじってると楽しいしわからなくても日常化物ものとしてそこそこらふんわりと楽しめる感じだった。 知ってたら知ってたらおー、って感じで楽しめるし。面白かった。続きを読む
投稿日:2022.01.04
大吉堂
邪神が江ノ島に上陸して数年。鎌倉周辺は異界と呼ばれる特異地域と化す。誰もが狂気に陥るなか、心理士として働く間宮純はある事件をきっかけに無免許の心理士偃月と出会う。偃月は異界の怪異に対し、異能で相対する…のだった。 これまたHJ文庫レビュアープログラムで出会った作品です。邪神ということでもしかしてと思ったら、やはりクトゥルフ神話が土台にありました。 実はクトゥルフ神話は詳しくないというか、クトゥルフをモチーフや、題材にした作品を何作か読んでいるだけなのです。だから妖怪が出てくる物語と同じ感覚で読んでいたりします。 謂わば「そういうもの」として受け入れるという感覚でしょうか。バックボーンや由来などはわからないけれど、そこにそうしているもの。それこそまさに「怪異」ということになるのじゃないでしょうか。 知識のバックボーンがあればより一層楽しめるのでしょうが、それがなくとも面白い。淡々とした文章なので、却って想像力が喚起されることもあり、怪異と向き合って楽しむことができます。 短編4話収録。純が仕事して出会う怪異を、偃月の力を得て解決する。解決と言っていいのか迷うものもありますが、それこそ怪異譚なるものでしょう。このパターンの繰り返しかと思いきや、4話目にして偃月自身が物語を動かすことになります。 そんなアクセントで物語を閉じているため、却って続きが楽しみになるのですね。続きを読む
投稿日:2021.03.28
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