【感想】日本を滅ぼす岩盤規制 文庫版

上念司 / 飛鳥新社
(2件のレビュー)

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ブクログレビュー

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  • Masa

    Masa

    既得権益の維持により、どう国民へしわ寄せが来るのかを上念司ならでは切り口で解説している。既得権益にしがみつくものは国の成長を考えず、今あるものから吸い上げる事しか考えていない事がよくわかった。

    投稿日:2021.01.05

  • yasz

    yasz

    丁度去年(令和元年)の今頃、この本の著者である上念氏の「経済で日本史シリーズ」を読んでいました、最近近くの本屋さんで似た様な装丁の本が並んでいたので手に取ってみました。勿論タイトルも気になったからですが。。

    今では既得権という言葉が使われてマイナスのイメージがありますが、できた時には必要とされた規制だったように思いますので、機能してきた時期もあるとは思いますが、時代が変わって不要になったものは廃止して、時代に対応した制度を制定・強化をして欲しいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・安倍総理は気の毒である、彼は憲法違反の文科省の暴挙を止めさせる側にいた、それは岩盤規制を打ち破る行為であった。特区制度においては、既存の規制であっても合理的な根拠となる数値が示せないものは全てリセットされる。これでやっと文科省は憲法違反の告示を撤回して、獣医学部新設の申請書は受理されて審査を経て認可された(p15)

    ・2年縛りの期間中に解約した場合、残りの契約きかんに応じて違約金が設定されている、あれは違約金とは名ばかりの端末代金の未払い一括払い。つまり端末代金無料とは、通信サービスとの抱き合わせ販売を使った見せかけの割引制度である。これが、なぜ日本の携帯電話りょうきんが高いかの根本的原因である(p29)

    ・携帯三大キャリアは、総務省の裁量によってプラチナバンド(700-900Mhz)をタダ同然で手に入れて、外国より高いまーじんを乗せて売っている。これが20%もの高い営業利益の源泉であり、有名人を使いまくったCMが次々と打てる理由である。電波オークションを導入して新規キャリアの参入を促すべきである(p34)また3大キャリアが販売する端末には、自社のSIMカードしか利用できない制御(ロック)がかかっている、これは日本独自のガラパゴス仕様である(p36)

    ・日銀が「物価」と言った場合、総務省が発表している消費者物価指数のことであるが、全てを対象としたもの(CPI)、生鮮食品のみ抜いたもの(コアCPI)、エネルギーをさらに抜いたもの(コアコア CPI)のどれかを明らかにしていない、外国は日本で言うところのコアコアCPIである(p57)

    ・先進国の消費税率の平均値は19%であるが消費税収が全体に占める割合は概ね3割である、日本は8%の税率でも税収全体の3割を確保している。日本以外の先進国においては、しょくりょうひんや衣料品などが減免、免除対象となっているので、税率を19%位にしないと稼ぐことができない(p66)

    ・2018年には減反は廃止されたことになっているが、政府は食用米から家畜に食べさせる飼料米に転作することに対して補助金を増額した。つまり兼業農家は今でもコメ(飼料米)を作って補助金をもらっている、これが減反廃止の内実である(p80)

    ・牛乳が余ってもバターが不足するのは、生産された生乳は全国にある10の指定団体(農協)が買取利、そこから乳業メーカへ卸されている、酪農家は生乳を全て指定団体に売った場合に限りほじょきんを受け取れるルールになっている(p81)

    ・劣位思考とは相手の土俵で相撲を取ることであり、これに対して優位思考とは、自分の土俵で相撲をとることである。この場合、戦いの場所、ルールはこちらが設定する、まさにゲームのイニシアティブ(主導権)を握った上で相手を自分の有利な場所に引き出して徹底的に叩くことができる(p90)

    ・江戸時代でも、米だけに拘った人々は没落していった、その象徴的な存在が武士と大名である、彼らをだめにした「石高制」の足枷である。石高制とは、米で年貢や俸禄を入手し、それを売って得たお金で必要な生活物資を買い入れる仕組みで成立していたことである。米価が諸物価の中心となることを前提に成立する。江戸時代の元禄時代頃まではその傾向があった(p93)

    ・牛肉自由化で多くの畜産農家が廃業したが、生き残った畜産農家が規模を拡大したので生産量は減らなかった。和牛は国際的なブランドとなり普通の牛肉とは別次元の単価で取引されている(p96)

    ・新型テレビのリモコンには、ネットフリックスなどの物理ボタンがすでに搭載されている。この動きは放送とつうしんが融合し、テレビが地上波を見るための機械から、インターネットを経由してさまざまなサービスにアクセスするための機会に変わりつつある(p105)

    ・マスコミが安倍政権を引き摺り下ろしたかった理由は、1)憲法改正、2)放送の自由化にある(p119)

    ・プラザ合意は日本を狙い撃ちにしたと言われるが、ただ単に「シャドー為替介入」をやめなさい、と言うことが決まっただけの話である。現代で言うなら、トランプ大統領が習近平主席に対して「為替操作をやめろ」と言うのに等しい(p138)

    ・日本の医療において、病院に通う人が増えるから医療費が増える、たくさん検査するから医療費が増える、入院日数が増えるから医療費が増えると言うのが客観的な事実である(p160)これを解決するには、薄利多売の出来高払い制度の見直し、多すぎる病床数の削減、急性期の医療から「支える医療」への転換である、夕張市は財政破綻により高価な検査機器や高度な手術ができる施設を手放して「支える医療」に特化したように(p164、180)

    ・販売店が実際には配られないオシカミをなぜ大量に発注するかと言うと、水増しした部数に基づいてチラシの折り込み代を請求しているから(p230)


    ・官僚たちは法律を作る際に、なるべくその内容を曖昧にしておく、具体的な規制の中身は政令や省令で定めるとする。このように政令、省令に丸投げする下請け構造こそが官僚たちの力の源泉である(p254)

    2020年12月20日作成
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    投稿日:2020.12.20

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