【感想】ペルシア帝国

青木健 / 講談社現代新書
(8件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • Rhein

    Rhein

    アケメネス朝(ハカーマニシュ朝)とサーサーン朝(エーラーン帝国)の2王朝をペルシア帝国と定義し、この間概ね1000年の勃興を概説している(なお、アルサケス朝パルティアは最低限の記述のみ。)。ギリシア等ヨーロッパから見た歴史ではなく、ペルシアから見た歴史を描いており新鮮に映る。古代オリエントの世界を眺望する良書。それだけに帝国と深く結びついていたゾロアスター教について十分な背景知識なく自説が述べられているのは、初学者に優しくない。続きを読む

    投稿日:2021.08.27

  • 鈴華書記

    鈴華書記

    イスラーム期以前の,主にハカーマニシュ朝とサーサーン朝についての解説本である。

    本書では,古代ペルシアのエネルギーが拠って来るところを,ハカーマニシュ朝における大王の宮廷政治と,サーサーン朝における皇帝と大諸侯との鬩ぎ合いに見る。(p25)続きを読む

    投稿日:2021.06.07

  • kkc06173

    kkc06173

    このレビューはネタバレを含みます

    感心のない人には、★は低いかもしれませんが、古代オリエント世界を統一した帝国の話を、誰かまとめて書いてくれないかなとずっと思っていたので、個人的にはヒットです。

    ギリシャ側の視点(主にヘロドトス)で描かれることが多いので、ペルシアそのものに焦点が当たっていることも珍しく貴重な研究の本と言えます。

    巨大な官僚機構を備えた現実主義の国が、どうして、なぜこんな時代に出来たのか、本当に不思議でしょうがない。
    その後に出来た、同じ“ペルシア地域に出来た国”は幻想的な雰囲気の神秘主義ですから、突然変異だったのか、古代のペルシア人とその後のペルシア人は、きっと違う民族なんだろうなと想像しました。


    世界史の教科書では、アレキサンダー大王にダリウス3世が敗れたガウガメラの戦いしかテストにでないと思います(ダリウス1世は出るかな)けど、建国の父のキュロス2世とかかっこいいと思うんですけどね。

    本書は古代ペルシア語表記のため、読むのに難渋しますが、個人的興味が満たされた本でした。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.06.05

  • 月猫夕霧

    月猫夕霧

    (本書ではペルシャ語表記にこだわって違う表記をしているけど、ここでは判りやすくギリシャ語表記で)アケメネス朝とササン朝ペルシャの通史。最初は慣れないペルシャ語表記に戸惑うものの、ササン朝になると筆者の筆が滑らかすぎて一気に読めてしまいます。宗教的にはゾロアスターのみということは無く、結構込み入っていたのだなと。続きを読む

    投稿日:2021.02.22

  • his360

    his360

    ゾロアスター教、イラン・イスラーム思想を専門とする著者によるペルシアから勃興した2つの帝国史の概説書。人名・地名表記に慣れるのに少し時間がかかったが、徹底したペルシア視点からの記述が新鮮で面白い。

    投稿日:2020.11.21

  • tomohix

    tomohix

    大部分は読み進めるのが大変だったが、ホスロー二世の治世になって、がぜん面白くなった(当時の人にとっては、堪ったものではないが)。
    ビザンティン帝国と戦端を開き、相手の首都をお互いが同時に攻撃するという、聞いたことがない状況。「どうなっちゃうの、これ!?」というドキドキ感。
    4軍すべて投入し、よく他から攻められなかったと思う。まあ、他にいなかったから投入できたのだろう。

    全体を通して、名前と地名が覚えられなくて苦しんだ。同じ名前の人が何度も出てくる。当時は「二世」「三世」が付かなかったとのことで、もっと大変だったのだろう。
    欧米の名前では入らないようなところに長音が入るのも要因かしら。

    王の後継者争いは、常に血なまぐさい。協力するということがなかったのかと思う。親兄弟で切った切られたをやっている。マキャベリを地で行っている。古代ローマ帝国より酷い。

    王の配偶者は近親婚が主のように感じた。酷いのは父娘婚まである。これでよく健康上で問題にならなかったと思う。

    意外と言っては失礼かもしれないが、都市構築の能力はとても高かったというのに驚いた。単にチグリス・ユーフラテス川の恩恵だけではなかった。

    本書に出てきた古代ローマ共和国・帝国では次の人々。『ローマ人の物語』で読んだのが懐かしい。
    可哀想なクラッスス(敗死)
    ゴルディアヌス3世(戦死)
    フィリップス(撤退)
    ヴァレリアヌス(捕虜)
    ディオクレティアヌス(ナルセフ一世の敗退)
    コンスタンティヌス大帝(内戦で忙しい)
    ユリアヌス(戦死)

    序盤で偽造された碑文の話が出てくる。
    ペルシアの各帝国では全体的にほとんど文献が残っていない。3世紀までは、岩に刻んだレリーフと墓、碑文、あとギリシャの文献くらい。4世紀からは碑文もなくなる。なので、ねつ造が比較的やりやすそう(真贋のチェックがしづらい)。炭素同位体年代測定が重要だと思う。

    貨幣考古学というものをしった。一時期に貨幣を鋳造していなかったら、その地域はその期間は他国に占領されていた、など、面白い。
    続きを読む

    投稿日:2020.10.24

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