【感想】跡を消す 特殊清掃専門会社デッドモーニング

前川ほまれ, 山中ヒコ / ポプラ文庫
(24件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
5
8
8
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ブクログレビュー

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  • kazubook21613

    kazubook21613

    思わぬ拾い物。と言ったら失礼かもしれないが、読み進むにつれて心温まり、主人公の航を応援しその成長に感動する自分がいた。

    ひょんなことから特殊清掃専門の会社で働くことになった航だが、最初はその凄惨な現場にたじろぐ。その現場はまさにスプラッター。しかし経験を積むうちに、他人の死を通して自分に近しい人に本当に向き合い、人と関わる事ができる様になる。まさに成長小説。

    この特殊な状況を作品に取り込む事を思いついた時点で、作者は宝の山を引き当てたかもしれない。

    まだまだ、この先どう展開するのかと分からなかったり、過去が気になる人物もいるので、是非続編を期待したい。
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    投稿日:2024.04.21

  • rieko

    rieko

    特殊清掃という仕事があることは、なんとなく知っていた。最初のうちは主人公と同様、その惨状に吐き気をもよおし、読むのがしんどかった。

    もしかしたら自分もこんな業者さんにお世話になることもあるのかしら、できたら死んでからまで迷惑かけたくないなと考えたり。

    彼らの仕事は死の跡を消すこと。まるで何もなかったかのように綺麗に磨き上げる。
    遺品整理しかり個人の痕跡を消すことは悲しく辛いことのように思えたけれど、死をテーマにして、どのように生きるかを考えさせられた。
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    投稿日:2024.02.20

  • kemechanyo

    kemechanyo

    特殊清掃…亡くなった跡を消す仕事。
    人が亡くなったら腐ってくるということはんかっていたが、腐敗液になるということや、死後に残された部屋がどうなるもんなのかはあまり想像したこともなかった。
    知らない世界を覗いたような感覚と、その仕事をしている人たちの話もよかった。

    個人的には楓ちゃんとの恋花とか、友人A武田の就活のその後とかをスピンオフで読んでみたいと思った。
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    投稿日:2023.12.16

  • mumuchan

    mumuchan

    特殊清掃専門っていう仕事知らなかった
    でも ないと困る職種だなぁと
    自分がもし急に倒れたりして…
    仕事が休みで…
    連休だったら?夏だったら?
    その時猫たちは?
    とか死について色々考えさせられた

    投稿日:2023.12.15

  • Funya

    Funya

     特殊清掃。
     自殺のほか、孤独死などで汚れた部屋や現場を片付けることを専門とする仕事だ。

     東北から上京したものの、将来への展望も持てないままフリーターとして生活していた青年が、特殊清掃の仕事を通して成長していくさまを描いたヒューマンドラマ。
     第7回ポプラ社小説新人賞受賞作。
             ◇
     喪服姿の浅井航は疲れていた。故郷で孤独死した祖母の葬儀に参列し、東京に帰ってきたばかりだ。遅くに東京駅に着いた航は祖母を偲んで献杯すべく、以前から気になっていた小料理屋に入った。

     カウンター奥にいた喪服姿の先客に声をかけられ一緒に飲むことになった航だが、その先客こそ、特殊清掃専門会社デッドモーニング社長の笹川啓介だった。

     5章とエピローグからなる。

         * * * * *

     特殊清掃や遺品整理と書かれた広告や看板を時々目にするので、そういう仕事があるというのは知っていました。
     でも、これまでは地味な仕事だぐらいにしか認識していませんでした。たとえ自殺や孤独死があったとしても、警察や鑑識がある程度片付けるものだと思っていたからです。

     だから、この仕事がここまで悲惨を極めると知って驚きました。
     死体はないにしても、その痕跡ははっきり残っているはずです。何より腐臭がキツい。それが外に漏れないように戸も窓も閉め切っての作業。真夏であってもです。
     残骸の感触もきっと怖気を振るうものでしょう。死体が溶け粘液化したものが床に溜まっている。それを拭き取る。おまけに大発生したハエやウジの残りがまだ蠢いていたりする。

     自分ならとても耐えられません。こんな現場でも平気なのは赤堀涼子ぐらいでしょう。航はよく踏みとどまれたものだと思います。

     先の見えない行き当たりばったりな生活をしていた航。波に従って揺らめくクラゲのように適当に生きるのが理想だと嘯いていたけれど、内心ではそんな自分を不本意に感じていたのだと思います。いい加減に生きることは自分を粗末に扱っているのと同じだからです。電子手帳の読み上げ機能に背中を押してもらうしかない寂寥感。

     我々は普段、生きているということを意識していません。だから「生」についても深く考えることはありません。
     けれど、さまざまな「死」と向き合うことで「生」を自分なりにきちんと考えられるようになることに、航は気づいたのでしょう。

     新生・浅井航を描く終盤。清掃会社社長の笹川の人生観を変えさせ、楓さんといい雰囲気になっていきそうな変わりようは出来すぎに思うけれど、「生」を見つめ、自身の生き方を模索し始めた航の姿にはエールを贈りたくなりました。

     そして、航が電子手帳を必要としなくなったエピローグが実に印象的でした。
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    投稿日:2023.08.18

  • masajichan

    masajichan

    このレビューはネタバレを含みます

    俺が飛び込んだのは、
    わけありの死に方をした人達の部屋を片付ける会社だった――
    選考委員の満場一致で選ばれた、
    第7回ポプラ社小説新人賞受賞作!

    良い内容だった・・・悲しい死報われない死・・・それを取り巻く人たちが少しずついい人で救われた。バイト君は少々生意気だけど(笑)

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    投稿日:2023.08.01

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