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平川克美 / 大和書房 (2件のレビュー)
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tokosan
『言葉が鍛えられる場所』の続編。「なんの役にも立たないエッセイ集」「読みたい人がいるのだろうか?」とまえがきで著者は謙遜されるのだけれど、楽しく書かれた本は読むのも楽しい。個人的事柄ですが、著者と長兄…とは(学年こそ違うけれど)同い年で同大学、同じ学部出身、私は同時期に親の介護と看取りを経験したので、それがシンパシーと記憶を呼び起こし格別な読後感に繋がっている。 「妻を娶り、養子に行かなかったので自分の姓が変わることについて想像がつかない」には、「え?そこから?」と驚き、「川津」は「河津」なんだけどな…とか。まるで実の兄に対するように所々ツッコミを入れつつ今回も紹介される文学作品に胸を打たれ初めて知る作品や作家の名をメモしながらゆっくり読了。移転した隣町珈琲にもお伺いしたいです。 続きを読む
投稿日:2021.10.25
spica2015
読み終わった時、この本がこれほど自分の中に滲み入ることになるとは、読み初めにはわからなかった。 最初の方は、すでにどこかで読んだことがある内容のような気がして、平川さんのお書きになったものもわりと私普…段から読んでいるんだなぁ(内田樹先生同様に)と思っていた。 詩がたくさん引用されているのだが、私はこんなに最近詩を読んだことがなかった。もちろん今まで個人の「〜詩集」というようなものは何冊も読んだことはあるが、それっていつの話?というくらい過去のこと。 「詩って、こんなんだったっけ?」みたいに、もう「詩」自体が再発見されたような感じがした。 どの詩も平川さんの文章のおかげで、グッと近くに迫ってくるものがあった。 谷川俊太郎の「ネロ」を読んだ時、もうこれは18歳 にしか書けない詩で、なんて若いっていいのだろう、いくら私が冗談で「年はとっても心はハタチ」みたいなことを言っても、全然ハタチの心ではないというとこがわかって、すごくショックだった。男性が女性「私」を主人公にしたり、その逆だったり、若者が老人の「私」を主人公にしたり、また逆だったり、そういう小説はいくらでもあるだろう。だから詩だって、そういうのもあるかもしれない。でもこの「ネロ」は18歳にしか書けない!と私は思ったのだ。同じ谷川俊太郎の「くりかえす」も体感⁉︎として「くりかえす」をわからせてくれて、これも詩ならではなのかなと思わされた。 同じ「くりかえし」の茨木のり子「くりかえしのうた」もすごい。この詩、つい最近誰かの文章で引用されていたと思ったら、同じ平川さんの「街場の日韓論」の中の文だった。その文章の中にも詩が3つ紹介されていて、私は一気に何年分かの詩を読ませてもらった感じである。 染み入ったもう一つの理由は、私自身わりと近所に住んでいるということだと思う。長く住んでいるわけではないのだが、もうあまりにも身近な地名が次々と出てきて、平川さんと関わりの度合いは全く違うのだが、その土地に身体を今おいているわけだから、直接身体に入ってくるような感じがするのだ。 うまく書けないのだが、詩の力と土地の力が平川さんの文章によってグッと私にのしかかってきた、いや、平川さんの詩や土地への思いが私にかかってきた⁉︎ こんなに長々書いてしまったのは… 続きを読む
投稿日:2020.06.08
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