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少年アヤ / 講談社 (1件のレビュー)
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サマ
しょっぱなからフェミニズムへの讃美と共鳴から始まるので大分距離を置いて、物陰から覗くような気分で読み始める。 SNSでこういう「生きづらさ」と繊細な共感を語るようなゆるふわ世界観の人が急に左に目覚めて…、ゆるふわと同時に不寛容と拒絶と怨嗟のかたまりみたいな発言をしだすのってよくあるけど本当に怖い。それでフェミニズムって半ばアレルギーになってしまっている。 でも文章はかなり好みだった。やわらかくさりげなく詩的で、この人が好きな小さな宝物たちが文章の中で慎ましくかわいらしい光を放っている。ポーリーポケット、うさぎちゃんのついた付録。セボンスター。飽きずに握ってどこへも連れて行って、細かいところまで形をなぞって、大事に眺めていた記憶がよみがえってくる。 「夢の国のおにぎり」の魔法にかかってしまう夜のくだりとか、「秋のまどろみ」の秋のたのしさ、つめたい風にひそむ予感の話とかとても素敵だった。古いものを探すというのも、ああわかるなあと感じる。そうやってかわいくて物語を持っている素敵なもので自分の周りを満たして、包まれて生活したいという欲望は確実に私の中にもある。 おもしろいなあ、と物陰からそろそろ出つつ読んでいるといきなりフェミっぽい言葉が出てきて慌てて逃げたりという具合で読んで、思想的に分かり合えない人だけど、感覚的にはかなり近いのだな、と感じる。うーむ。他の本も読むかもしれない。続きを読む
投稿日:2020.05.30
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