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梨屋アリエ, またよし / ポプラ文庫ピュアフル (4件のレビュー)
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大吉堂
君枝の周りでは不思議なことが起こる。トルソーがしゃべり、大人の傘で空を飛び、誰にも見えないものが見え、ありえないことを体験する。しかしそんな君枝のことを誰も理解してくれない。 不思議な体験に巻き込ま…れて七転八倒あらたいへん、でも面白かった! てな話かと思いきや、そうではなかったのです。 君枝にとって不思議は日常。小さな頃はそんなものだと思っていたが、成長するにつれ周りの人には不思議は感じられないと知る。不思議体験は楽しいことばかりでなく困ったことも多い。それなにの君枝の困っていることを、周りは怠けているふざけている嘘つき虚言と理解してくれない。 「変わった子」として「私たち」とは違うものにされる。しかも「私たち」の理解の及ぶ枠内の「変わった子」。それ以外の解釈はなし。 ああ、これは理解してもらえない気持ちを描いた物語なのだと気付いた時、君枝の寂しさがぶわりと覆い被さってきました。 幼なじみの陸は君枝の不思議体質を受け止めてくれる。共に体験したことをそのまま不思議と受け取ってくれた。そのことによって君枝は不思議をもひっくるめて君枝となる。 陸は君枝の不思議体質も君枝であることなのだから、君枝の魅力だととらえてくれる。でも君枝にとってそれは本当の理解だったのか。だって君枝は困っていたのだもの。不思議を共に笑える相手を求めていたのか。それとも。 そのズレがふたりの気持ちのズレとなり、ふたりの関係性のズレになったのだとしたら、やはり寂しい。 不思議体質を暗喩ととらえると、現実社会に於ける様々な事象に重なるでしょう。不思議体質も個性? そんな風にとらえることが、果たして本人が求めているものなのかどうか。でもそれでも、不思議を不思議と認めてくれる人の存在が嬉しい。続きを読む
投稿日:2020.11.27
ふみ
このレビューはネタバレを含みます
不思議体質の君枝と、唯一それを受け入れている幼馴染の陸。高校生-小学生-二十歳、と場面が前後しながら、君枝の心情が丁寧に描かれていく。 最初、あらすじの不思議体質というのがピンとこなくて話に入れるかな?と思ったけど、読んでいると普通に受け入れてしまう。 ほっこりファンタジーになるのかと思いきや、設定は不思議だけれど、描かれている人のこころがめちゃくちゃリアルで、時々苦しかった。全部自分に当てはまるわけででもないけれど、どうしてもうまく行かない泣きたさみたいなものに覚えがあった。 この先ネタバレかな? 君枝の小学生時代にウワスミドリというひたすら純粋で高慢な生き物を見かけて、それは周りの女の子達を象徴しているのかと思ったんだけど、読み進めて行くと実は君枝自身だったんじゃないか、と。 それがなんだかすごく心に刺さった。
投稿日:2018.05.25
koto070128
梨屋アリエさんてことで、あらすじと合わせて高校生の男女の児童向け恋愛ものなのかと思って読み始めたらそんなことなかった! 不思議体質をもつ主人公の、人と違うことを理解されたい、してほしくない、そもそも私…は変わり者じゃない、って自分でも理解できないジレンマと、自分を変わり者だと遠ざけない人、不思議体質なだけでしょ、と軽い気持ちにしてくれる人が居てくれたことの大きさ、それをもっと近くで大事にできなかった後悔と…読んでいてこちらもウズウズもやもやしてくるようだった。 あとがきにあったように、キミエと遊農民たちのその後が読みたい!続きを読む
投稿日:2017.06.04
poplarbooks1
君枝には日常的に不思議なことが起こる。トルソーがしゃべる。大人の傘で宙に浮く。植物の家族と暮らす。高校の教室が海になってあふれだす…。誰にも見えないものが見え、ありえないことを体験してしまう彼女を「不…思議体質」と呼んだのは、幼なじみの陸。君枝を理解していたのは陸だけだった。でも、あの頃の二人は、お互いの大切さに気づくことができなくて―。恋と孤独と清冽な願いがアドレッセンスな心を揺さぶる感動作!続きを読む
投稿日:2017.01.16
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