【感想】進撃の相談室 13歳からの「戦略論」

工藤拓真, 諫山創 / KCデラックス
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    工藤拓真
    大分県大分市生まれ。早稲田大学法学部卒。電通で広告制作・PRに従事した後、クリエーティブ・ブティックに移籍。グローバル企業のブランド開発、老舗企業の事業再生戦略、官民協働の街づくり事業、スタートアップ上場前後のブランディング支援などを担当。18年11月より電通に帰任し、「クリエーティブ・ストラテジスト」として活動。大学非常勤講師、日本広告学会クリエーティブ委員会委員、NewsPicksアカデミアプロフェッサーなど兼任。自著に『勇者に学ぶ「戦略思考」(日本経済新聞出版社)』がある。


    諫山創
    漫画家。大分県出身。2008年、第81回週刊少年マガジン新人漫画賞入選作にてデビュー。2009年、「別冊少年マガジン」創刊号より『進撃の巨人』連載開始。2011年、『進撃の巨人』で第35回講談社漫画賞(少年部門)受賞。

    サブタイトルを「13歳からの『戦略論』」としたのは、私自身、中学時代が一番悩 みの多い時期だったからだ。 いまのようにスクールカーストという言葉は一般的ではなかったが、クラスで浮くことが怖くて、周囲の顔色をうかがってばかりいた。クラスで笑いが起こるたび、白 分も笑うべきか、頭の中で、瞬考えてしまって、螂の筋肉が引きつった。楽しいから 笑うのではなく、浮かないために笑う。そこで試されたのは、周囲に合わせる力だけだった。気がつけば、本音を押し殺すのが、妙に上手くなっていた。その代わり、悩みは尽きず、もはやなにに悩んでいるかすら、わからなくなっていた。 もし、あのころの私が、戦略論を知っていたら、もっと自分らしくいられたのではないか。自分のやりたいことを見つけ、挑戦することができたのではないかと思う。 そのため、本書のメインターゲットを、かつての悩める自分と同じ、中学生とした。

    それでも、具体的な問いによって、大半の悩みを、解決できる問題にスイッチできることの意義は大きい。 「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という言葉があるが、わからないものは怖い。形がないものはおそろしい。 でも、正体を知るとなんでもなくなる。 きちんと形が与えられることで、向き合いやすくなるはずだ。

    『進撃の巨人』で調査兵団が巨人と戦うとき、そこにだれかが用意した答えなどな い。もしあったとしても、刻々と変わる戦況の中で、そんなもの、すぐに使いものに ならなくなってしまう。

    平気で人を傷つける「友達という名の巨人」や、息苦しい「教室という名の壁」に苦しんでいる人。そんな全ての人の味方となるのが、【戦略スイッチ】である。

    このように、どんな悩みにも、必ずターゲットが存在する。 きちんと日的を持っていても、ターゲットを外したら、悩みを解決できない。うなじ以外をいくら斬りおとしても巨人を倒せないのと同じで、どんな強力な武器を使っても、的外れの前では無力なのだ。

    たとえば、お金がなくて悩んでいるとしよう。 それ自体は、単なる「お金というモノについての悩み」のように思える。しかし、じつは「お金がないことで、他人と関係が築けない」もしくは「他人に迷惑をかけてしまう」といったストレスが引き金となって、悩みを抱いてしまっているだけかもしれない。つまり、お金がないという悩みは、人間関係の悩みだということもできる。

    私が高校生のとき、いつも遊んでいるように見えるのに、常に成績上位をキープしている友人がいた。 受験勉強が本格化し、模擬試験を受けるようになったころ、彼の勉強法が知りたくて、通学カバンの中身を見せてもらったことがある。 持った瞬間、驚いた。異常に「軽い」のである。クラスのみんなは、参考書や問題集でパンパンにふくれたカバンで通っているというのに、彼は教科書しか持ち歩いていなかったのだ。 その教科書を開いてみて、さらに驚いた。余白部分に、びっしりと書きこみがあったのである。彼目く、「教科書と過去問さえやっていれば、他はいらない」のだそうだ受験の指南書を開いてみると、たしかに「基本に忠実に」「まずは一冊をしっかり と」と書かれている。 しかし実際には、不安になって、あれこれ参考書に手を出し、それでも不安でさら に別の問題集に手を出し⋯⋯。結局、一冊も終えることなく、受験自体が終わってしまうという人が後を絶たない。選択肢を総りきることができずに、選択肢に溺れてしまうのだ。 友人の凄かったところは、選接数を太膨に絞りこんで、自分が必要と思うアクションだけに集中したことだ。
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    投稿日:2023.11.16

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