【感想】障害者差別を問いなおす

荒井裕樹 / ちくま新書
(14件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
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ブクログレビュー

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  • はんな

    はんな

    自分の家族の中での差別をも表に出して訴えたり、親による障害のある子の子殺しに対する減刑を求める動きに反対運動を行ったり、過激と見られるほどの主義主張を繰り返す著者の障害者当事者活動に、圧倒させられましたが、そこまでしないと現状は変わらないという事実がある以上、声高にならざるを得ないのだと感じました。

    「バス闘争」のように、バスで脳性マヒ者を見かけたら、自然に手を差し伸べられて、介護者の役割を果たせる自分でありたいと思いました。
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    投稿日:2024.01.31

  • ざっは

    ざっは

    自分の中の差別を痛快に指摘されました。
    生きる意味の証明、障害児を殺してしまう親への批判、愛と正義の否定を書いた行動網領の趣旨、とても新鮮であり、特に青い芝の会の弁論は昔のものであるはずなのに新鮮で現代の世論はそれを議論するのに追いつけてないと私は思っているので残念に感じました。
    車椅子の優先利用や名古屋城のエレベーターをつけるかつけないかで揉めてますがこの本を読んでから議論のスタートラインに立てる気がします。
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    投稿日:2023.07.30

  • りへまる

    りへまる

    正直バスの問題では、過激だなぁ…とばかり思ってしまったが、「過激にならざるをえない」という社会の実際がある。「他人が他人を決めつけてはならない」当たり前のことなのに、守られない。
    障害者、ほかマイノリティに向ける「優しさ・愛情」自体が差別感情であることが、広く認識されるといいと思う。続きを読む

    投稿日:2022.07.29

  • ディオクレティアヌス

    ディオクレティアヌス

    このレビューはネタバレを含みます

    一言で言うとめちゃめちゃ考えさせられる本です。
    健常者の意見を聞いたあとに反発した障がい者の意見を聞くと納得する反面、頭がぐちゃぐちゃになります。
    あとがきで作者が述べていましたが、この本に障がい者差別にどう対応していくべきなのか答えは無いので結局自分で考えなければならない問題になります。
    正直しんどいです。3日くらいこの問題について考えふけってしまいそう。

    このような障がい者差別等の問題は様々な視点からの意見があり、一概に自分の個人的な意見や感想をこの場で安易に発言することはできないので興味ある人は是非ご自身で読んで欲しいと思います。

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    投稿日:2021.12.09

  • neue

    neue

    このレビューはネタバレを含みます

    ※このレビューでは「障害」を「社会構造の側にある問題」と捉える考え方に沿い、「障害者」という表記をしています。


    昨今の社会的なトピックを目にするうちに個人的に学ぶ必要性を感じたことがあり手に取った本。

    障害者差別を問い直す、というタイトルだけれど、この本では「日本脳性マヒ者協会 青い芝の会」の活動が中心となっている。
    どれだけ差別問題に関心がある「つもり」で、自分は差別に加担しないように心がけている「つもり」でいても、彼らの語る「健全者」としてこれまでの人生を過ごしてきた私は、これまで無自覚に彼らに向けていた眼差しを彼ら自身の言葉によって自覚させられ突き返される。彼らの眼差しによって自分自身が障害者差別の当事者なのだと思い知らされる。背筋がひやりとする。「健全者」とは〈マイノリティの側からレッテルを貼り返すための言葉〉とは実に的確な表現だと思う…。

    正直彼らの活動や発言の全てに賛同することは難しい(特にジェンダー観と生殖に対する意識のあたりには全く同意しない)。けれど彼らの活動がなければ変わらなかったものも多かろうと思う。主張の根底にあるものは理解できる、という部分についても、そこまで極端な言葉、強硬な手段に訴えることはないじゃないかと思ってしまう面がある。ただそれはトーンポリシングにあたるのかも知れなくて、彼らだけの問題ではなく、そこまでさせた社会の側の問題とも言える。それでもなおやり方……という感情がつきまとう。難しい。

    一度目を通しただけでは明確に言葉にしてまとめられる気がしないので、マーカーを引いた場所から幾つか抜粋して並べておく。

    ・「マイノリティ」「マジョリティ」とは、その社会や共同体への帰属意識と違和感の濃淡の差を示す言葉
    ・「マジョリティ」とは「葛藤を伴うことなく、自分のことを『大きい主語』で語れる人」
    ・「マジョリティ」は、自分自身の価値観や考え方といった「個人的な見解」を「大きな主語」に溶かし込むことができてしまう。そうすることで、あたかも「一般的な見解」であるかのように語ることができる

    ↑上記3項はあらゆる差別に対して言えることだなと。

    ・障害者への「優しさ」や「思いやり」といった感情それ自体が「差別」
    ・あるいはこうした感情が「差別」を助長したり見えにくくしたりする
    ・青い芝の会は障害のある人とない人とが「仲良くする」「互いにわかり合う」といった考え方も拒絶した
    ・現状の社会において、両者の関係性が決して対等なものでない以上、障害者の側に「わかってもらうように努力すべき」「歩み寄って仲良くしてもらうために我慢すべき」といった圧力がかかることが明白だから

    ↑同時期に読んだ「いのちを選ばないで」の中に知的障害を持つ方に対する支援について「哀れみの政策ではなく彼らが生まれながらにして持っている人格発達の権利を徹底的に保障しなければならない(要約)」という言葉があって、通ずる部分があるなと思った。
    (本書の中にも〈恩恵を施す慈善的態度〉を批判するくだりがある)

    ・誰かに対し、「生きる意味」の証明作業を求めたり、そうした努力を課すこと自体、深刻な暴力である
    ・割り切れない事情を力任せに割り切って「解決」させるような発想は、弱い立場の人に我慢や沈黙を強いたり、そうした「解決」に馴染めない人たちを排除したりする方向へと進みかねない

    ↑差別が根強く残る現代社会を生きる当事者として、強く意識したい言葉

    立ち返って序章から
    ・私たちの社会は「障害者差別」を「解消」することを法律として掲げた
    ・議論し続けることを社会の約束事として共有した

    現代を生きるひとりひとりが当事者として考え、議論し続けるしかないのだと思う。その手がかりとして考えるヒントが本書には多くちりばめられている。

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    投稿日:2021.06.15

  • Hal

    Hal

    障害を持つ親族に囲まれて育ったため、半ば義務のように読み始めた。 

    障害者差別を中心に扱った本を読んだのは初めてだったが、入門書としてよかったと感じる。
    差別に対して当事者がどう捉え、抗議してきたのか整理することができるし、本書で引用される彼らの言葉を知ることで、私自身も今まで言葉にできなかった違和感を自覚することができた。

    読んで良かったと思う。
    続きを読む

    投稿日:2021.06.09

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