【感想】最後の社主 朝日新聞が秘封した「御影の令嬢」へのレクイエム

樋田毅 / 講談社
(16件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • kanamyk

    kanamyk

    「異色の潜入ルポ」と評していた方がいらしたけれども、同感。当事者でありながらジャーナリストとしての冷静な目線も失っていない。

    投稿日:2023.03.02

  • 三鷹牛蔵

    三鷹牛蔵

    本当ならクラシック音楽に関心のある人が読むとよいのだけど。
    3代目の社主が日本のクラシック音楽にもたらした功績が描かれている。朝日新聞社の社主だからできたことだと思われていたようだが、欧米の音楽家を日本に招いて満足のいく演奏をしてもらうのは、目利きと経営能力と愛がなければできなかったことのようだ。

    そういう、音楽プロモーターとしての伝記であればよかったのだけど、朝日新聞社社主としての生涯も描かなければならない。
    圧倒的な株式を保有する創業家一族と経営陣の冷戦が描かれる。
    朝日経営陣は陰に陽に社主(や創業家)の力を削ごうと働きかけており、著者はそれに対してネガティブである。まあ確かに、株主がうるさいのはわかるが、経営陣に対して牽制する勢力が事実上なくなってしまうようなやり方はいかがなものか、と私も思う。

    なお、樋田記者は赤報隊事件を追うのがライフワークじゃなかったっけ? と思ったが、社主のお世話係になった経緯と理由も書かれている。
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    投稿日:2022.11.23

  • raga-movie

    raga-movie

    運命に逆らえないが信念を貫く村山美知子さんは周囲からの翻弄に対峙していく。資本と経営の問題は、朝日新聞者の創業者から筆頭株主へと移りゆく村山家に様々な苦難を強いられていく。その渦中に美知子さんは大阪国際フェスティバルをスタートさせて世界からの喝采を浴びる功績を残したことは偉大である。どこぞの連中がすぐさまレガシーとほざく為体とは格が違う。大体そんなレガシーってすぐにケチが付いてる、あー胡散臭い。続きを読む

    投稿日:2022.09.27

  • OGwess

    OGwess

    津田大介さんのポリタスTV で樋田さんのお話を聞いて大変感銘を受け本書を知った。
    ものすごいルポルタージュだ。ルポルタージュの意味は本来のフランス語で探訪と聞いたことがある。
    ニホンというクニの近現代史、ジャーナリズム、メディアのみならず文化という観点からもまさに社主美知子さんその父母や祖父母が、生き、世の中に還元されてきたこと、普遍的な愛のようなものが、気鋭のジャーナリストの鋭い眼差し、公平であろうと自らを追い込むような目線で語られており、感動した。
    大阪国際フェスティバルとかフェスティバルホールとかそんなことも全く知らないことばかりで大変勉強になった。
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    投稿日:2022.09.04

  • shimu2

    shimu2

    【まるで奇跡のような、素敵なおばあちゃんだった、と何度も思い返している】(文中より引用)

    朝日新聞創業者の孫にして最後の「社主」となった村山美知子。芸術活動にも身を捧げた数奇な人生を追いながら、経営陣との長年にわたる複雑な関係を描いた一冊です。著者は、自身も朝日新聞社で活躍した樋田毅。

    村山美知子という一人の人物を丹念に取材したノンフィクションとしての価値はもちろんのこと、「経営と資本」の関係を考える上でも大変に示唆に富む一冊でした。企業にチェック・アンド・バランスをもたらす機能としての経営者一族の役割は改めて見直されても良いのかもしれないと感じた次第です。

    「そういえばあの時・・・」と振り返る作品になりそう☆5つ
    続きを読む

    投稿日:2021.08.05

  • hideyoshi

    hideyoshi

    元朝日新聞記者で、阪神支局襲撃事件を長年取材している著者。社主担当の「大阪秘書役」で、最後の社主、村山美知子さんの側で見聞きしていたことを記録したのが本書だ。神戸の高級住宅地、御影に香雪美術館を抱える大邸宅に一人暮らし。著者が「最後の令嬢」と称する通り、有馬や麻布などに別荘も抱え、昭和初期の上流階級の暮らしぶりを興味深く読んだ。甲南小から甲南高等女学校、東京の自由学園に通い、終戦直後に元海軍大尉、武田光雄氏と結婚するが、お家柄の違いですぐに離婚してからは、子供もいない。父の村山長挙は、旧岸和田藩主の華族岡部家の家系で、京大卒業後に村山龍平の娘於藤の婿養子となる。兄弟には、終戦時の侍従で、玉音放送の録音盤を守った岡部長章もいる。
    日本で音楽祭が珍しかったころから、カラヤンら一流の演奏家を招いた大阪国際フェスティバルを育ててきた。後半は社主家と経営側の長年の争いがテーマ。於藤さんが朝日主催のエジプト展の開会式で、昭和天皇に近寄ろうとして宮内庁職員に制止され、けがをした騒動などで、経営側と対立する話などが出てくる。結局、美知子氏の加齢に伴い、保有株式を手放すことになり、社主家と経営側の対立は終焉する。養子探しなども模索されるが、2020年3月に99歳で亡くなる。おいの村山恭平氏(洛星→名古屋大)が社主への色気を見せるお騒がせキャラとして登場するのも面白い。
    この本はどうも朝日新聞には都合が悪いことが書いているらしく、同社は抗議文をネットに掲載したりしている。
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    投稿日:2021.05.21

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