【感想】孤高を恐れず 石橋湛山の志

佐高信 / 講談社文庫
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  • sasha89

    sasha89

    吉田茂の自由党からは除名処分、戦中は反軍を貫いたのにGHQからは
    公職追放される。しかし、元々は言論人の湛山には筆という武器がある。

    公職追放が解除されたら総裁の座は鳩山一郎に返すと約束しながら、
    それを保護にした吉田茂を正面から批判し、マッカーサーにさえその
    批判は向けられる。

    自身の次男を先の大戦で亡くしながらも靖国神社のあり様に疑問を呈し、
    アメリカのみとの講和ではなく、日本政府は中国・ソ連にも顔を向ける
    げきだと提言する。

    アメリカに追従しようとする岸信介が自民党総裁選に立候補したのを受け、
    対抗馬として立った湛山は、決選投票で岸を破り総理大臣に就任する。

    しかし、冬季の遊説が湛山の体には堪えた。湛山は病床に臥す。休養して
    復帰すればいいと願う側近や、後にテロリストの凶刃に倒れる社会党・
    浅沼稲次郎委員長の「予算員会に1度でも出てくれればいい」との説得にも
    応じない。潔く総辞職を決断する。

    以前にも日記に書いたt思う。もし、湛山が病に倒れることなく内閣を維持
    してたなら、今のようなアメリカ寄りの日本はなかったのではないか。

    「元来官僚が国民を指導するというが如きは、革命時代の一時的変態に
    過ぎない。国民一般が一人前に発達したる後においては、政治は必然に
    よって行われるべきであり、役人は国民の公僕に帰るべきである。而して、
    政治が国民自らの手に帰するとは、一はかくして最もよくその要求を達成し
    得る政治を行い、一はかくして最もよくその政治を監督し得る意味にほか
    ならない。このためには、政治は出来るだけ地方分権でなくてはならぬ。
    出来るだけその地方地方の要求に応じ得るものでなくてはならぬ。現に
    活社会に敏腕を振るいつつある最も優秀の人才を自由に行政の中心に
    立たしめ得る制度でなくてはならぬ。ここに勢い、これまでの官僚的政治
    につきものの中央集権、画一主義、官僚万能主義(特に文官任用令の如き)
    というが如き行政制度は、根本的改革の必要に迫られざるを得ない。今日の
    我が国民が真に要求する行政整理は即ちかくの如きものでなければならぬ」

    86年前に小日本主義を提唱した湛山の筆だ。現在の政治家センセイたちは、
    今一度、湛山の政治理念・政治姿勢に学んではどうか。
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    投稿日:2010.07.25

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