【感想】原子力時代における哲学

國分功一郎 / 晶文社
(15件のレビュー)

総合評価:

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  • あぱっち

    あぱっち

    ハイデガーが原子力を兼ねてから批判的だっとことは知らなかった。”放下"という概念を用いて、物事に対してある種放置し、開かれた状態でいることが重要であるということが述べられている。しかし、用いられる要素がある種現実の議論から浮遊した机上の空論のようにも感じられた。また結論に向かうところでのフロイトを援用して原発支持者はナルシシズムに苛まれているというのはレッテル貼りのようにも感じられてしまった。原発を取り巻く状況が変化した現在の著者の考えも知りたいと思った。続きを読む

    投稿日:2022.11.23

  • 中尾

    中尾

    原子力に関する問題を哲学の視点から考察する。戦後間もなく、核兵器反対の風潮は高まったが、核技術そのものへの問いかけはなされてこなかった。そんな中で1950年代といち早くそれに言及したのがハイデッガー。ハイデッガーの思想を応用し、原発や核技術管理について考える。続きを読む

    投稿日:2021.11.14

  • 一K

    一K

    原子力に関する哲学講義録。

    1950年代に原子力(原爆ではなく)に対する危険性を指摘していた、唯一の哲学者ハイデガー(本書ではハイデッガー)に焦点を当てる。
    彼が著した数少ない単行本のなかで、原子力の問題を指摘しているが、その著作の最終的な答えが「考える」。何とまぁシンプルかつ深い。が、本書は哲学講義録だけあって、読み進めていけば、自分も考えさせられる。
    「科学は考えない」(ハイデガー)とはまた刺激的(^^;

    第四講(終講)では、フクシマ後、明らかに非合理な原発推進が何故行われるかを、哲学の義務として考え、それは太陽の贈与を受けない自立したエネルギーを欲望するナルシズムだ、と説明。
    うーん、分からんでもないけれど、現実は、ムラの掟に逆らえないとか、飯のタネとかもっと単純な理由の気がする。まぁ「考えて」いない、ということかな?
    続きを読む

    投稿日:2021.08.30

  • レレレ

    レレレ

    原子力について、こうなったらこうなるという実践的な話ではない。どちらからというとハイデガーについての実践記録。原子力の問題がうまれる土壌を巡り考察を縦にいれるがかなり深い事がわかる。

    投稿日:2021.08.29

  • sin

    sin

    国分先生の著作を数冊読んだけど、これだけ毛色が違うので躊躇ってましたが、原発事故10年かぁ、いい加減考えないとなぁと思ってようやく読みました。
     内容は思っていたほど難しくなくて、講義録なのもあって非常に読みやすかったです。途中のハイデッカーの引用は難しかったですが、要は結論を述べるんじゃなくて、対話の中から自然と結論に至ること、その過程が大事ということかな?
     これに似たこと安部公房が言っていて、「小説の要点が書けたら僕だってこんな長い文章書かないよ、書けないから読者に体験してもらう、そのために無限に読み込める航空写真のような小説を書くことになるんだけど、それを読者は迷路って思うみたい、要点や結論はなくていいんです、その人が感じ取ったものが大事」みたいなことをインタビューで言うてたのを思い出しました。
     話が飛びましたが、この本によると、そもそも戦後原子力爆弾はみんな反対したのに原子力発電は肯定してしまったのは、人間の根底に何ものにも頼らずに制限されずに生きたい、という願望があるからだ、その誘惑に勝てなかったのだ、と推察されていて、なるほどなと思いました。そういう悪魔的魅力が確かに原子力には当時あったのだろう、今だとAIかな?
     私も日々、誰かと接触せず一人で承認欲求を満たして孤独を感じずに生きていくことができたら最強なのになぁできない自分はまだまだだな、、とか思っていたのですが、そもそも人間という存在がそう孤独や自立に耐えうるデザインをされていないのなら、無理な望みなのかもなぁ。。
     問題山積み&リスク高すぎの原子力発電を使い続けるという選択は、自分の中ではないなぁとこの本を読んで改めて思いました。
    しかし国分先生の本はいつもすごく丁寧に書いてあって哲学素人でも読みやすくて本当にいいわぁ。
    続きを読む

    投稿日:2021.05.07

  • 勇気の花

    勇気の花

    この国分功一郎さんという人の本は、言いたいことがかなり明確に掴むことができるので好きなんだが、そしてこの本も自分自身、原子力というものに対して態度が明確でないというか、そもそもそんなに考えたことがないから、テーマに惹かれたというのではなく、国分功一郎さんの本だから読んでみようと思ったのだと思う。
    読み終えた結果、なるほど原子力推進も反原発も、ドクトリンのようなものがあって、それに迎合して、つまり自分で考えることなしに依っているのでは解決にならないのだという趣旨で書かれたものだということがよくわかって面白かった。
    つまるとこるハイデッガーもスピノザも、それこそソクラテスもプラトンも、テーマは何であれ、自分の行く道、拠り所を決めるのは「考える力」なのだということを、色々なやり方で教えてくれているということなのだろうか。
    哲学書について、ここ三年位、興味の向くものを手当たり次第に、無論経済的に許す範囲で、手に入れ、または借りて読んで来たが(読んでないものも沢山ある、というよりまだほとんど読めていない)、自分が考えたいというものを、どういう考え方、論理で考え抜いて一つの自分の結論を出すかという方法論を学ぶというスタンスで読んでいくことが一つのやり方なんだろうなというのを、この国分さんのこの本は教えてくれたような気がする。
    続きを読む

    投稿日:2021.03.20

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