【感想】クオリティランド

マルク=ウヴェ・クリング, 森内薫 / 河出書房新社
(11件のレビュー)

総合評価:

平均 4.8
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ブクログレビュー

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  • ナナキ

    ナナキ

    今まで、こんなにポップで軽やかで楽しいディストピア小説は読んだことがなかった。
    表現のスタイルも独特だし、出てくる人はみんな個性的。ストーリーも面白くて、思わず吹き出してしまうくらいコミカルな場面もある。それでいて、描かれる未来の姿は奇想天外ではなく、今生きているこの世界から地続きの、妙に現実感のある世界で、恐ろしくもなる。
    アルゴリズムやらレベルやらスマホの中では勝手に行われているアレコレが、実際的に社会で作用し始めたらどうなるのか…それでもやっぱり、全ては愛に戻っていくのか…ほんとに面白い本!!
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    投稿日:2023.11.08

  • 茶山

    茶山

    ただ、間違って配送されたイルカ型のバイブレーターを返したかっただけなのに・・・。
    AIが算出するアルゴリズムによって人間の生活すべてが格付けされた社会で、全く唐突に心当たりもなく自宅にバイブレーターを配達され、これってどう考えても自分の格付けは間違ってるよなぁ...と疑問を感じたスクラップ屋を営む青年が、格付け元のテック企業に、それを正してもらおうとしつこく奮闘する物語。
    爆笑につぐ爆笑。何度もコーヒーを吹き出しそうになりました。本を読んでこれほど笑ったのって、ちょっと記憶にないです。

    ただこれ、ドイツ発のSF小説ということですが、扱っている内容のほとんどはアメリカンカルチャーの風刺で、ドイツらしさというか、そんなローカルな雰囲気は感じられず、結局、現在も未来も、アメリカの生み出すカルチャーが世界を覆い尽くすことになりそうだな...、となんだか少し複雑な気分の読後感でもありました。まぁ、意図的にアメリカ人読者をターゲットに狙っていたのなら、余計なお世話なのかもしれませんが。

    で、案の定、HBOが小説のドラマ化の権利を獲得したらしい。ただし、実際ドラマ化が実現するのか、その後の進展は不明。

    で、この小説って、ちょうど2016年に発売された「VA-11 Hall-A」にもインスパイアされたんじゃないかと。本の体裁、テイストがなんか似ているので。
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    投稿日:2023.03.07

  • bookaholic

    bookaholic

    ドイツ発の愉快・痛快・爽快ディストピア小説。
    ディストピアというジャンルでこんなに明るくてポップなコメディ小説は初めて読んだ。非常に読み易くて設定にどんどんハマっていった。
    GoogleやYouTubeのおすすめニュースフィードを見ていると僕らの生きるこの世界もクオリティランドまであと数歩といったところかもしれない。
    やっぱり我らがジョンが最高なんだけど、最後はどっちだったんだろうか。彼は全てを見通した上で受け入れていたのか?
    そしてプレゼントの中身はイルカ型バイブレーターなのか、それともそうでないのか?非常に興味が尽きないラストだった。
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    投稿日:2022.05.04

  • ikezawa

    ikezawa

    クオリティランドでは、全ての人が自動的にレベル付けされて、収入や社会貢献などのステータスに直結している。(一桁台だと社会のお荷物扱いをされてしまう)
    また、日用品、食事、各種サービス、結婚相手まで様々モノがレコメンド(ユーザーの身体、思考を読み取り、好みに合わせておススメ商品を紹介される世界。偶然などはもはや存在せず、ユーザーが欲しいと思った次の瞬間には商品を持ったドローンが近くに到着している。

    スクラップ工のピーターは、あることがきっかけでレベルが一桁台になってしまう。
    ある日届いた品物は全く自分の欲しいものとかけ離れていたため、販売業者に返品しようと奮闘するが…

    もう一方では、史上初のAI大統領誕生に向けてインデペンデンス・デイの大統領に似てるロボット候補者ジョンの大統領選の活動が描かれる。

    合間に黒地に白文字のページで、クオリティランド内で流れているテレビ番組やCMが入りつつ2人の物語が進んでいく。
    アメリカ内の政治動向や歴史に精通してると更に楽しめるネタもあり、どこまで理解出来てたか自信がない。
    ネタはネットゲームやドラマ、名作など幅が広く全ては追えなかった。

    「支配されている感覚がない」「誰も不満を抱いてない」ディストピア
    監視カメラとSNSが揃えば「1984年」な風味も出てくる。

    ディストピア小説でありながら暗くなく風刺やブラックな笑い要素が多くて楽しく読めた(その分、書かれてる内容は身近で笑ってられない要素も多かった)

    世界で販売されてる物語はほとんどカスタマイズされたモノだったり、自分の好きな傾向に合わせさせることは普段SNSを使ってても、嫌なことをミュートしたり、似たような行為をしている。

    SNSや通販サイトを見ても「あなたへのオススメ」は頻繁に画面に現れる。
    「試してみよう」と思うものもあれば、オススメで何度も目にすることによって鬱陶しくなり避けてしまうモノもある。自分の傾向にあったモノがオススメされているはず、とまでは思わないけれど「本当にそれを自分が欲しいと感じているか?」は意識させられた。
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    投稿日:2021.10.28

  • NOBUTARO

    NOBUTARO

    ジョークと下ネタとアイロニーとテクノロジーとネット社会の現状をとらえた秀作!
    産業界のネットの巨人達によりがんじがらめになった世の中とAIロボット大統領による世直しの格闘を続編として期待したいなぁと。

    投稿日:2021.09.27

  • アリー

    アリー

    ・「ペーター問題」
    全てはペーター問題に集約される。
    人間がアルゴリズムに追従するようになった未来。鏡の世界。
    もう来ているのかもしれない。
    ゾッとする文章だった。

    ・フェザツ
    油と塩と砂糖だけで出来ている食べ物。
    ちょうどこの本を読んでいた時にグミを食べまくっていたのでびくっとした。
    だってグミ美味しいんだもの

    ・全体的に
    一章一章が短くて読みやすい。全部数ページくらい。
    でもそれぞれ厚みを失っていないし、
    全体としても読みやすい。交錯するストーリーがすっと頭に入ってくる。

    ・皮肉や下ネタが現実感ありありで飽きない。
    Twitterから引っ張ってきたようなネタばかり。リアル。
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    投稿日:2020.01.28

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