【感想】社会学史

大澤真幸 / 講談社現代新書
(28件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
15
6
3
1
0

ブクログレビュー

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  • tanaka

    tanaka

    このレビューはネタバレを含みます

    (編集中)

    社会学とは一体どのような学問で、どのように発展して来たか?と問われた時に、明確な答えを示せる者は決して多くないように思う。というのも、社会学という学問自体が学際的な学問であり、抽象的かつ広義の意味を含んでいるからである。そして本書では、そうした社会学の性質を認めた上で個別具体的な領域に留まらず、それを学際的なままとして評価している。
    本書における重要な点は、社会学が誕生してからの歴史を問いとしているのではなく、そもそも社会学はどこから来たのか?といったことから問いを始めている点である。
    社会学という語がコントによって用いられるようになったのは、19世紀のことである。人間を構成する最も重要な要素のひとつであるはずの社会というモチーフが学術的に取り扱われるようになるまでにそれほどまでの時間がかかったのは一体なぜか?
    このような問いに対し、大澤は古代ギリシャから中世における神の存在をめぐる問題と啓蒙の時代、そしてフランス革命へと繋げることで返答している。私見を述べれば、社会学を評価する上でこの啓蒙の時代とフランス革命の存在への言及は避けられるものではない。しかし、一般に知られる社会学の入門書においてそれらが包括されているかと言われたら疑問が残るのが現状である。そのような点で、本書のような態度は貴重であるとともに賞賛できるものである。

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    投稿日:2024.04.22

  • 1917557番目の読書家

    1917557番目の読書家

    社会学に興味があり購入。
    とても興味深く読めました。素人なので難解な言葉もあり、読むのに時間がかかりましたが時折「ふふふ」と笑える著者のセンスある表現に救われる完読できました。
    オススメです。

    投稿日:2024.01.18

  • dsukesan

    dsukesan

    非常に面白い。社会学の歴史を、それぞれの理論の生まれた背景を含めて、的確に提示してくれている。そして、各学問には、固有の問があることを教えてもらう。
    社会学においての基本命題は、社会秩序は、如何にして成り立つのか?である。
    社会学初学習者である私にとって、社会学の外観と、それぞれの位置付けを知ることができ、自分の興味のある事柄や、今現在生きている理論がなんなのかも合わせて知ることができた。これから勉強を進める上での地図が得られた。
    ルーマンの社会システム論を掘り下げつつ、社会学のアプローチと、地理学、システム論、法律、マーケティング、数理最適化などを合わせてみていく中で、土地利用の最適化や、認証系の有効性を検証して、自然環境保全に資する論理を立てられないだろうかと、夢想する。社会実装に向けたことわりを、探究したい。

    大澤先生の研究室を訪ねてみようか?


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    投稿日:2023.12.02

  • ケイケイ

    ケイケイ

    社会学の始まる前から、丁寧に解説している素晴らしい本。
    今まで社会学の流れを知るには、最適な一冊。

    紹介されている人物の、考えの本質を整理している。

    投稿日:2023.07.07

  • tanukitune1031

    tanukitune1031

     社会学がどのような学問であり、どのような思想を辿って発展してきたのかを主要な人物と学説を用いて紹介していく内容である。600ページ以上と長いが、微妙な解釈の違いや世界の動向を簡潔にまとめられていると思う。大きなテーマとして、社会学の誕生、社会の発見、システムと意味に分けている。根底にあるのは、「社会秩序はいかにして可能か」という問いであり、これを基に読み解いていくと分かりやすいと思う。

     社会学者は、一見何を考えるのか分かりにくい学問分野だと思う方にはぜひ読んでほしい。どの人物も社会が出来上がる方法、移り変わる法則、平和への方法を中心にあらゆる角度から物事を見ようとしていることが理解できるだろう。

     本書を読んで、社会学に大きな貢献をもたらしたのは、マルクス、ヴェーバー、パーソンズだと思う。マルクスは価値形態論、ヴェーバーは予定説やプロテスタントについて、パーソンズは構造-機能主義を用いて功利主義で解決できないホッブズ問題を説明しようとした人物である。

     本書以外にも様々な考えや現象について考察されていると考えると、人間同士の関わり方は数多の種類があり、それもフレームワークごとに異なるので、その複雑性に驚かされる。
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    投稿日:2023.06.20

  • ninjakame

    ninjakame

    「本書は、講談社の会議室で実際に行った講義を基にしている。」と「おわりに」であるように、いわゆる話し言葉に近い文章で、社会学の歴史について記述されている。
    各研究者の理論や著作を紹介するという入門書であるが、大澤自身の見解も述べつつ、研究者間の関係性についても解説している(たとえば、ホッブズの社会学における意味など)。
    新書であるということの意義としての読みやすさは高い。反面として、参考文献や注がないために、興味をもった著作については、本文を読みながらメモをしていくのがオススメ。
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    投稿日:2023.03.05

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