【感想】増補版 放浪探偵と七つの殺人

歌野晶午 / 講談社文庫
(22件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
2
8
8
1
0

ブクログレビュー

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  • じゅう

    じゅう

    歌野晶午の短篇ミステリ作品集『増補版 放浪探偵と七つの殺人』を読みました。
    歌野晶午の作品は昨年4月に読んだ『さらわれたい女』以来なので、ちょうど1年振りですね。

    -----story-------------
    『葉桜の季節に君を想うということ』『密室殺人ゲーム2.0』で本格ミステリ大賞史上初、二度受賞作家による短編集
    破格のミステリ趣向の凝集が、異様な、熱く冷たい高揚の中で多面的にきらめく傑作群です。
    ――柄刀一氏<「解説」より>

    なぜ死体は動いたのか? 殺人者が犯した、たった一つの過ちとは? 「家シリーズ」の名探偵・信濃譲二が奇想天外な難事件の謎を見事な推理で解決する七つの短編に、幻の未収録作品「マルムシ」を加えた試みと驚きに満ちた傑作ミステリー八編。
    これは、本格ミステリーの雄・歌野晶午からあなたへの挑戦状だ!
    -----------------------

    名探偵・信濃譲二シリーズ7篇を収録して1999年(平成11年)に刊行された作品に、『マルムシ』を加えて2011年(平成23年)に増補版として以下の8篇を収録して刊行された作品です。

     ■ドア→←ドア
     ■幽霊病棟
     ■烏勧請
     ■有罪としての不在
     ■水難の夜
     ■W=mgh
     ■阿闍梨天空死譚
     ■マルムシ
     ■増補版刊行にあたって
     ■解説 柄刀一

    7つの小説すべてが読者を驚愕させる挑戦状―― あの名探偵・信濃譲二が帰ってきた… 周到極まりない殺人者が犯した、たった一つの過ちとは?

    大学の男子寮で殺人事件が発生… 犯行時刻に外部からの侵入者はいなく、すべての寮生にはアリバイがあった―『有罪としての不在』や、“水難”とは何を示すか見きわめると、犯人がわかる?『水難の夜』など、さすらいの名探偵・信濃譲二が奇想天外な難事件の謎を見事な推理で解決する8つの短篇を収録した、著者の面目躍如の傑作集。

    季節問わず黄色のタンクトップに、ビーチサンダル姿の放浪の名探偵・信濃譲二が、ある時は学生、ある時は清掃員、またある時はマンション管理人として事件を解決する展開、、、

    思わず刺し殺してしまった… 下宿のドアの入れ替えたことが犯人にとって致命的となる倒叙モノの『ドア→←ドア』、

    廃病院に隠した死体が消えた!? 建物の構造によりフロアを誤解したことが犯人にとって致命的となる『幽霊病棟』、

    ゴミ屋敷での密室(蜜ベランダ?)殺人の謎… 烏の生態と庭がゴミ山となっている理由がユニークで印象的だった『烏勧請』、

    学生寮での密室殺人… 難易度の高い読者への挑戦状だったなー 密室トリックと動機を解くだけじゃ足りない『有罪としての不在』、

    悪徳商法の女社長が殺害され、ピザ配達員が第一発見者に… まさかもう一人の被害者が―― 叙述トリックに心地良く騙された『水難の夜』、

    ゾンビの正体は… 米国製で総革張りのビジネス用高級椅子が捨てられていた理由が伏線になっていた『W=mgh』、

    新興宗教の象徴である降臨塔に磔された遺体の謎… 被害者の靴が投げられた理由までは当たらなかった『阿闍梨天空死譚』、

    教授と間違って殺された!? ダイイングメッセージが愉しめる『マルムシ』、

    いやぁー どの作品も愉しめた! ミステリを堪能できる一冊でした。

    読みやすかったし、面白かったのですが、本作品でシリーズは完結とのこと… 残念、、、

    本作品の前に「家」シリーズとして3作品が刊行されているので、ぜひ、読んでみたいですね。
    続きを読む

    投稿日:2023.04.06

  • Kurashina

    Kurashina

    このレビューはネタバレを含みます

    倒叙だったり、暗号モノだったり、怪しげな宗教が絡んだりとどれも一風変わってはいるが、根源にあるのはれっきとした本格。

    個人的に好きなのは下の三編

    『有罪という名の不在』
    かなり捻られた挑戦モノ。まずは犯人は「おばちゃん」というのに驚き。全く見えていなかった。
    そしてそれで終わりかと思いきや、その裏にはもう一つの事件が。攻略法を読めばなるほど!となるが、難易度は鬼。

    『水難の夜』
    個人的ベスト。本物の篠崎が来たとき、犯人は死んだふりをしていたが、警察が来たため篠崎を殺して入れ替わった。偽篠崎を「篠崎」と呼ぶのは、まぁ視点人物がそう思い込んでいるから良し。短い中でも綺麗に驚かされるし、手がかりも見事。タイトルも上手い。

    『阿闍黎天空死譚』
    屋上に放り出され、脱出しようとしたら磔になってしまったというのも面白いが、とにかく冒頭が巧い。(塔が叫んで殴ってくる...)

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.05.27

  • 花嵐

    花嵐

    短編集。あの信濃譲二が探偵役。短編集ということで事件も謎解きもそこまで奇抜で意外性のあるものは少なかったけれど「ドア⇄ドア」の犯人の機転とそれ故の失敗の顛末は面白く読めた。他にも「W=mgh」の遺体の状態をリアルに考えるとちょっと笑ってしまうかもしれない。一番気に入ったのは読者への挑戦がいい味出してる「有罪としての不在」かな。続きを読む

    投稿日:2020.01.24

  • herbtea

    herbtea

    ジョージの関わった過去の事件を扱った短編集。昔もジョージはジョージらしくてよかったです。増補版となったことで収録されたマルムシに関する作者の書かれた説明が、トリックってこんな身近なところから生まれるのかと、とても興味深かったです。有罪としての不在は狡いけどヤラレタ、という感じで好きです。水難の夜のようなテンポの良さも好き。阿闍梨天空死譚は脱帽です。続きを読む

    投稿日:2019.06.14

  • あぴ

    あぴ

    トリックや犯人が分かってもまた読みたくなる短編集だなあ、と思った。
    信濃譲二という存在がやけに懐かしく感じる。もう2度とその姿を見ることはないのか…という哀愁かな。

    投稿日:2018.02.25

  • 繭

    どのお話もひとひねりあって悪くはなかったのですが、私はあまり好きじゃないかなぁ…

    安楽椅子探偵的な、上から物を見ている雰囲気も好きじゃないし、発言や人となりもちょっぴり鼻に付く。
    やっぱり、私は探偵役の人柄が好きになれなかった感じです。

    話の中身も、短編の中で奇をてらっているので、他の要素がなおざりになっている感じ…
    あと、一点集中型なので、その謎やトリックが読めてしまうと、あとはとにかく冗長に感じてしまうのも弊害かもです。

    唯一、「水難の夜」は面白かった!
    嬉しいびっくりで、私が歌野作品を好きになったのはこういうところ!という感じです。

    ひとつひとつの仕掛けやトリックは面白そうな気もしたので、残念です。
    続きを読む

    投稿日:2015.12.15

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