【感想】国境の南、太陽の西

村上春樹 / 講談社文庫
(589件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
137
195
159
31
2

ブクログレビュー

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  • たまる

    たまる

    結局どうなったんだろう、どういうことだったんだろうっていう自分なりの考察ができるほど入ってこなかった難しかった。もう少し大人になってから読んだら変わるのかな。

    投稿日:2024.05.18

  • あずき

    あずき

    うまくいっている仕事、素敵な奥さんと子どもといった形式的にはというか一般的な目線では(いい表現が見つからない)満足出来ているような状態でも、
    心のどこかで不安を感じたり、孤独を感じたりしてしまう様子がひしひしと伝わった。


    自分がそのような状態になったら主人公と同じように島本さんを別荘へ連れて行ってしまうのだろつか?明確に否と言える自信は正直ないかな。
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    投稿日:2024.05.06

  • Aya

    Aya

    世界的にも評価されてる日本人作家の村上春樹。すごいすごいといろんな人が言うけど、実際に読んだことがない自分にはその凄さが分からず、本屋にあった一番端の本を拝読。

    物語は主人公が小学生時代に出会った女性のことを思い続けて生きて、その女性に30代半ばで再開することで進んでいく。

    昭和の時代、一人っ子に生まれた主人公の小学生時代から物語は始まる。恋が何か、相手に惹かれてることは分かるけどどうしたらいいか分からん小学生時代の葛藤、そんな人がいる中で中学で離れて、会いに行けるけど行動に起こせない、でも自分の中にい続ける気持ち。

    高校になって別の好きな人ができて、より具体的にどういうことをしたいかクリアになった上での付き合い方。
    そんな時に相手に対して考えているずっとこの関係は続くだろうといった漠然とした自信。

    主人公の凄いところ、当時どこまで言語化をできていたかは分からないけど、自分の感じている思春期の感情に疑問を持ち続けたこと、そしてそれを求めるために行動してたこと。

    誰しもが抱いていた感情を思い出させてくれて、股その感情を繊細なタッチで描いてくれている。

    この主人公と自分がめちゃくちゃ似てて、この感情の繊細な動きを、主人公目線でずっと話が続いていく感じを持たせてくれるのがすごい。
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    投稿日:2024.04.28

  • ちひろ

    ちひろ

    このレビューはネタバレを含みます

    主人公は優しくて一歩先を歩んだ奥さんがいてよかったと思った。独身のまま島本さんを失っていたら、イズミみたいに表情を失った状態になったり、肉体までも死を迎えてしまっただろう。みんな誰かを一方通行に思って生きていて、真の両想いなんて無いんじゃないかって思える物語だった。それは辛いことだけど、私には現実味を帯びているように思える。だから皆、奥さんみたいに、たとえ結婚していてもそれぞれの想いを抱えて生きているのかもしれない。

    死に近い人(島本さん)と、生を努めている人(有紀子)の感じが、ノルウェイの森の直子と緑に似ていると思った。村上春樹の恋愛小説の大きなテーマなのかもしれない。どちらの話も最終的には生に向かって生きようとしていることが窺えるところは、小さな希望なのかな。

    たくさんの人を傷つけてしまったこと、もう誰も傷つけたくないこと、たくさんの物事が自分にも当てはまって、今までで一番共感し、心を打たれた小説だった。村上春樹さんの言葉は本当に信じられる。

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    投稿日:2024.04.16

  • 1935653番目の読書家

    1935653番目の読書家

    自分が20歳の時に1回読み、10年経った30歳の今もう1度開いてみました。
    スラスラと読める、本当に読みやすい小説だと思います。

    主人公の激しい感情の動きも共感できますが、お父さんとの関係も含めて全体的にリアルなんですよね。

    10年前に読んだ時は、鮮明に描かれた肉体的描写のイメージが強く残ってましたが、同じくらいふわりと儚い島本さんの印象と、ラストのスピード感が心に残っていました。

    また10年後読んだら変わるんだろなぁ。
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    投稿日:2024.04.12

  • ゆん

    ゆん

    このレビューはネタバレを含みます

    面白かった…。どれもわかる…というところがあって、おしゃれなジャズが流れるバーに行きたくて仕方がない。

    …もちろん僕はイズミを損なったのと同時に、自分自身をも損なうことになった。…その体験から僕が体得したのは、たったひとつの基本的な事実でしかなかった。それは、僕という人間が究極的には悪をなし得る人間であるという事実だった。僕は誰かに対して悪をなそうと考えたようなことは一度もなかった。でも動機や思いがどうであれ、僕は必要に応じて身勝手になり、残酷になることができた。(p.66)

    …だからお前がどこかで他の女と寝ていても、それは責めないよ。でもな、遊ぶのはいいが遊ぶ相手だけはきちんと選んだ方がいいぞ。うっかり選び方を間違えると、人生を踏み誤ることになる。…あまりつまらん女は相手に選ぶな。つまらん女と遊んでいると、そのうちに本人までつまらん人間になってしまう。馬鹿な女と遊んでいると、本人まで馬鹿になってしまう。でも、かといってあまりいい女とも遊ぶな。あまりいい女とは関わると、もとに戻れなくなってしまう。もとに戻れなくなると、行き迷うことになる。(p.184)
    …幾つかのことに気をつければそれでいいんだよ。まず女に家を世話しちゃいけない。これは命取りだ。それから何があっても午前二時までには家に変えれ。午前二時が疑われない限界点だ。もうひとつ、友だちを浮気の口実に使うな。浮気はばれるかもしれない。それはそれで仕方がない。でも友だちまでなくすことはない(p.185)
    相手を行き迷わせるような女になりたい。一方で、友だちをなくさないような行動をしたい…

    …明日の朝になって目がさめたら、世界はもっとすっきりとしたかたちを取っていて、いろんなことが今よりもっと楽になっているに違いないと。でもそんな風にうまくはいかない。明日になっても、おそらく事態はもっとややこしくなっているだけだろうと僕は思った。問題は僕が恋していることなのだ。そして僕にはこのように妻がいて、娘がいるのだ(p.194)
    わ~か~る~~

    「君はそこにいる」と僕は言った。「そこにいるように見える。でも君はそこにいないかもしれない。そこにいるのは君の影のようなものに過ぎないかもしれない。本当の君はどこか余所にいるのかもしれない。あるいはもうずっと昔に消えてなくなってしまっているのかもしれない。僕にはそれがだんだんわからなくなってくるんだ。…」(p.235)

    …たとえば何かの出来事が現実であることを証明する現実がある。何故なら僕らの記憶や感覚はあまりにも不確かであり、一面的なものだからだ。僕らが認識していると思っている事実がどこまでそのままの事実であって、どこからが「我々が事実であると認識している事実」なのかを識別することは多くの場合不可能であるようにさえ思える。だから僕らは現実を現実としてつなぎとめておくために、それを相対比するべつのもうひとつの現実を――隣接する現実を――必要としている。でもそのべつの隣接する現実もまた、それが現実であることを相対比するための根拠を必要としている。それが現実であることを証明するまたべつの隣接した現実があるわけだ。そのような連鎖が僕らの意識のなかでずっとどこまでも続いて、ある意味ではそれが続くことによって、それらの連鎖を維持することによって、僕という存在が成り立っていると言っても過言ではないだろう。でもどこかで、何かの拍子にその連鎖が途切れてしまう。すると途端に僕は途方に暮れてしまうことになる、中断の向こう側にあるものが本当の現実なのか、それとも中断のこちら側にあるものが本当の現実なのか。(p.280-281)
    わかりすぎる…。「それは眩暈にも似た奇妙な感覚」なときもあるし、夢のようにじわじわと思い出せなくなる感覚でもあるのだ。

    …でも僕がかつてその音楽の中に見いだしていた特別な何かは、すでにそこから消えてしまっていた。僕が長いあいだその音楽に託し続けてきたある種の心持ちのようなものはもう失われてしまっていた。それは相変わらず美しい音楽だった。でもそれだけだった。そして僕はもうその何かの亡骸のような美しいメロディーを、何度も何度も繰り返して聴きたいと思わなかった。(p.288)
    The Star-Crossed Lovers、ずっと聞き続けている。美しいメロディー。。
    私にもこの心が失われた先に、美しさを一緒に散らすような音楽があるのだろうか。

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    投稿日:2024.04.01

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