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にかいどう青, モゲラッタ / 講談社青い鳥文庫 (1件のレビュー)
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自作映画の撮影のために廃ホテルへやってきた映画研究部。ホラー映画にする為、廃ホテルにまつわる曰く話を披露する部員たち。しかし、厳かな口調で語られるそれらは、部員達が作り出した設定に過ぎなかった。そう、そのはずだったのだ。 *** 先月になぜか2巻から読んでしまった「恐怖のむかし遊び」シリーズ。やっと1巻を手に入れ、読了。シリーズ物は回を追う事にパワーアップしていく印象だが、個人的にはこちらの方が怖かった。 こちらの本もストーリー自体も怖かったが、登場人物がとにかく怖い。 特に、「***さんが転んだ」に出てくる主人公が怖すぎて仕方がない。 この話は校内の特定の場所で、真夜中に嫌いな相手の名前をだるまさんの名前に置き換えてだるまさんが転んだをすると、その名前の人物が呪われるという七不思議にのっとった話なのだが、主人公の一人称視点で物語が進んでいく。 主人公の置かれている状況、考えていることなどが延々綴られている。主人公が内面で考えていることなので、何のぼかしもなくストレートに語られている。これがまた、この主人公の根性がすごい悪い。(自分でも性格の悪さは自覚している様子)。 大人でもこんなに世間に対して冷めてて、打算的で、謀略家で、妬みや嫉みの感情が強い人間いる??というぐらいすごい。人間が持ってるよくない部分を一個ずつどこからか持ってきて寄せ混ぜにしたみたいな性格。損得勘定でしか動けないのは逆にすごい! 呪いが成功した後も、恐怖より邪魔者が排除できたことに喜びを覚えていて、状況は一足飛びにエスカレートしていく。 この話は十分に怪奇現象が怖かったのだけど、それ以上にこの主人公が怖すぎて、そっちがおまけみたいだったのでそこは残念だったかも。 逆に怪奇現象が色濃く出ていた話が「影を踏む少女」。映画研究部の自主映画撮影のために廃ホテルに撮影にやってきた研究部一行。モニュメンタリー調ホラー短編映画にするために、曰く付きの廃ホテルで影ふみ鬼を利用した交霊術を行ってしまったが為に起こる怪奇現象……。という設定で撮影を始めた。 設定、という事なので廃ホテルの曰くも、影ふみ鬼を利用した交霊術もすべて作品にリアリティを持たせ、面白くするための創作でしかない。 ホラー映画なので視聴者を怖がらせるような解説を交えたりリアクションを撮ったりはするが、影ふみ鬼自体が白熱して楽しくなってくる。 いつも通り行われる部活動の一環であったはずなのだが、徐々に身の回りで本当の怪奇現象が起きていく……。 非常に緊迫感のある話だった。最初は和気あいあいと楽し気な雰囲気が満ち満ちていたのだが、撮影終了時間に近づくにつれて不穏な影が忍び寄る。 登場人物たちの恐怖、絶望が伝染してきて、私の大好きなモニュメンタリーホラー動画を本当に見ているような気分になった。 実際に動画にしたらかなり面白いかも。 最後のオチも絶望的で、もう誰もどこにも逃げられない。雰囲気としては韓国で作られたホラー映画「コンジアム」に似ている気がする。 日本の少し怪しげな遊びとホラーという取り合わせがかなりいい。第一作目からこの傑作ぞろいなので、第三作目も期待!
投稿日:2022.07.03
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