【感想】イノセント・デイズ(新潮文庫)

早見和真 / 新潮文庫
(700件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
189
292
147
22
6

ブクログレビュー

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  • ゆう

    ゆう

    読了後に悲壮感や理不尽への憤り、主人公が救われてほしいという切なる思いが入り乱れ、何と表現すべきか悩みました。

    主人公の幸乃は元恋人の家を放火し、嫁と子供を殺害した罪として死刑宣告がされています。物語は彼女の死刑執行までの描写から始まります。その後、彼女の生まれてから犯行に至るまでの人生が語られていきます。
    章のタイトルは、ニュースでもあるような『いかにも犯行をしそうだな』という印象を与える表現となっています。印象操作をする際に使われる表現という感じでしょうか。
    しかし物語中の幸乃は誰かを信じて・誰かの罪をかばう他者を思いやり自己犠牲を厭わない人物像が垣間見えます。寧ろ彼女を取り巻く周囲の人達の方が彼女を利用しているようにも思え、幾分の嫌悪感を抱きました。

    読み進めていくと、彼女が信じていた人に裏切られる事を繰り返すことで生きることに絶望したのが痛いほど伝わります。死が彼女にとっての救済や苦しみからの解放だったのであれば、彼女はそれを自分の意志で選び取り、成し遂げた事になります。その姿を思い浮かべ、涙がにじみました。悲しみでもない、悔しさでもない、彼女の意志の強さに心が打たれ、感情を揺さぶられます。

    読了後に複雑な心境を抱くかと思いますが、好みと合うと感じられた際にじっくりと読む価値がある作品だと思います。
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    投稿日:2024.05.05

  • はる

    はる

    このレビューはネタバレを含みます

    文章は読みやすく、内容や構成も分かりやすいもので、さくさく読めて読み疲れにくいものでした。
    評価では内容は個人的に可も不可もなく、鬱系の表現はただ胸糞悪い感じで、最後の結末も幼なじみが弁護士になった時に、予想できてしまってたので、感動系での鬱もなく読み終えてしまいました。そして、作品の所々に書き込みが足りてないと思い、星2の評価にしました。

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    投稿日:2024.04.26

  • manndanana

    manndanana

    カプセルコーポレーションが作った宇宙船の重力装置の中かと錯覚しそうになる。

    一年前に読んだはずだけど、ブクログに残してなかった事とある事情があって再読したんだけど、これは再読して本当に良かったしまた号泣した。

    所詮当人の因果なんてものを他人が見るときには一部だけ切り取って演繹的に判断するんだからそこに乖離は生まれるし、それを本人がもっと私に興味持って私の事を調べて!とか…おこがましく言えた所で他人がその人にそこまで興味持たないからその乖離はずっと埋まることがない。
    けどそれを「しょうがない」と一刀両断することでモヤモヤがまた生まれるみたいな悪循環。
    よく「ずるい言葉」として挙げられる、親が子に、上司が部下に「お前のためを思って言ってるんだ」って言われた時みたいな、どうしようもないし、どう表現したら、どう反論したら良いのか分からないモヤっとした感情を終始漂わせてる物語でした。

    物語自体はわかりやすく感情移入しやすい文体です。
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    投稿日:2024.04.22

  • ぞな

    ぞな

    このレビューはネタバレを含みます

    何を考えているのかよくわからない悪人が多数出現し、人間味も感じられず、ただ用意された嫌な展開をなぞっているような印象だった。
    本人に生きる気力がないならそうなるしかないだろうという妥当なラストだと感じた。
    彼女は読者目線では決して幸せではなかったが、関わった人の人生を直接的にも間接的にも救ったと思う。彼女は様々な人にとって必要な存在だったけど、当の本人はそれを知らずに死んでいってやるせない。実在しない聖母という感じ。

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    投稿日:2024.04.22

  • ががーりん

    ががーりん

    このレビューはネタバレを含みます

    何気なく読んだ本でしたが、世界観に一気に引き込まれてしまいました。死を望んでいた幸乃にとって、死刑は救済だったのでしょうか…多くの人が語る彼女の過去を見ると、誰に見捨てられても見捨てられても生にしがみつく、そういった生き方はかなり痛みを伴うものだったのだと感じます。誰にでも無垢で気優しかった彼女の人生は、翔や慎一の存在によって最期は救われ生涯に幕を下ろした、そういう結末を願いたいです。

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    投稿日:2024.04.18

  • mikazuki0630

    mikazuki0630

    同じ作者の「八月の母」がよかったので、読んでみた。
    後半はちょっと「ダルさ」があったかな。最後の方は、幸乃が助かるのかどうかが気になり、一気に読むことができたが。

    悪い作品ではないが、「八月の母」ほどのインパクトはない。
    良い本を読むと人に薦めたくなるが、この本はそういう気にならない。
    星3つに近い4つ。
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    投稿日:2024.04.14

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