【感想】セックスボランティア(新潮文庫)

河合香織 / 新潮文庫
(124件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
12
45
41
11
0

ブクログレビュー

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  • さち

    さち

    「性」とは生きる根源。
    障害者の性について、著者がさまざまな角度から取材を行い続け、性とは、生きるとは何かを考え続けている。
    初めて知ることが多すぎて、正直読み終わった後はどっと疲れた。障害者のための性サービス、性教育、ボランティアでセックスをする人たち、オランダの障害者のための性サービス派遣団体「SAR」、障害がありながら風俗嬢として働く女性、生涯同士で結婚してセックスレス問題にぶちあたる夫婦。
    ちょっと消化しきれてない感があるかなあ。
    こういう世界がある、ということをまず自分が知った段階だと思う。これに対して、賛成とか反対とかは今のところない。
    発達障害がある親に育てられる子供を職業柄たくさん見てきている。手放しに、産んでいいとは私は言えない。だからこそ、性的な教育や、子供を産み育てることなく大変さや責任を周りが教えていかなければいけない。そのシステムや制度が導入されるなら、知的障害者も子供を産んでいいのでは…。でもすごく上からの意見になってしまう、嫌だな。でも正直な気持ちだな。
    障害者に人権がないとな、性欲を持つなとかが言いたいんじゃない。正しい知識と、正しい責任感を持って、セックスすればいいと思う。
    ガスボンベを背負って風俗店に行き、命綱のガスボンベを外して、命の危機にさらされながらも、その数十分を年に一回の楽しみにとしている障害者。それはこの世の中を生きていく上でとても大切なエネルギー源だと、忖度なしに思う。
    健常者だって障害者だって関係ない。変わらない。ただ生きているから、ただ性欲が生まれるだけ。それをきっかけに人を好きになったり結婚したり、うまくいったりいかなかったり。障害者、ではなく、人間の営みを目撃した気がする。


    SARの理念は、「私たちは石ではない。どんな思い障害者でも性的欲求がある」でした。

    障害者について、世間全般がもっと自分のこととして切実に感じてくれないと変わるのは難しいでしょう。障害者自分はならないだろうってそう思っている限り、障害者が抱えている問題は自身のこととしては感じられない。ぜて想像くらいはして欲しいのです。

    確かに、葵を抱えたり、おしっこさせたりすることもあるけど、でも、それはたいしたことではないし、特別なことでもありません。私は機械に弱く、ビデオの操作ができないんだけど、彼がしてくれる。それとおんなじです。

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    投稿日:2023.12.04

  • muffin

    muffin

    一言でとても感想は書けない

    インタビューの対象が障がいを持っている方達ということもあり内容にしても聞きにくいことばかりで苦労したのが想像できる

    日本では優生保護法なんていう時代があって
    障がいがある人は強制的に子供を持てなくさせられていた 酷いことだ

    障がいのある子を持つ親にとっても切実な問題だ
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    投稿日:2022.12.27

  • ぶらっくほーる

    ぶらっくほーる

    性は生きる根本。
    考えさせられる本だった。
    少し読んでいて苦しくなった。

    同情とか何かしたいなんて思うこともおこがましいので、私は五体満足に生まれて、不自由なくセックスができて、セックスの愉しさをしれたことに、ただ安堵して感謝した。続きを読む

    投稿日:2022.09.18

  • nksntks0922

    nksntks0922

    読了。文庫を読んだ。ブックオフで見つけて、長いこと積読状態であった。タイトルはドキリとするが、中身は障害者の性について書かれていた。自分には障害はないので、関係ないと思っていた。しかし、年をとると、関係はしてくると感じる。セックスとボランティアは、一緒に並べることはできない言葉ではと思った。最後の高山文彦氏の解説も良かった。


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    投稿日:2021.01.28

  • なな

    なな

    あのカップルが良いなぁと思った。性のテーマは障害のあるなしに関わらず、向き合うのが難しいタブー視されがちなこと。ひとりひとりの背景、モラル、育った環境や歴史がすべて詰め込まれる。わかりやすい切り口で社会に切り込めるテーマだなと思った。
    ただそれ以上に深入りの仕方が難しい、テーマそのものの力が強く、作者そのものの課題が隠れてしまっているようには思った。もう一歩考えさせられる切り口があったらもう少し印象の強い本になっていたかもしれない。
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    投稿日:2020.11.04

  • E

    E

    当時、大学卒業後だった著者が書いた取材をもとにしたルポルタージュ(デビュー作)。障害者にとって”無かった”ことにされる性の問題について切り込んだ内容。
    河合香織さんの本を読むのは「選べなかった命」に続いて2作目となります。

    時系列的にはこちらの方が「選べなかった命」より前になりますが、既に2018年「選べなかった命」を出版した彼女が、なるべくしてなった形だということがその文面から伝わってきます。
    取材に際して葛藤する初々しさはありつつも、どこか真剣でひた向きな取材姿勢が伝わってくるようでもありました。

    少し障害者について接点があったこともあり、私自身では「障害者=特別な人ではない」ということは明確なことだったのですが、皆さんのレビューを見る限り、そしてこの本を読む限り(少なくとも当時は)それが「当然ではなかった」ということが見て取れます。

    障害者の歴史(というと語弊がありそうですが)について詳しく知らないのですが、この「障害者は性欲なんてないし、セックスだってしない。そもそもしたいとも思わないだろう」という考え方が一般的なこと自体、日本の「座敷牢」などの影響が色濃いのではと読みながら考えていました。障害者を人目に晒さない時代風景の中で、健常者と障害者の接点が限りなく少ない生活の中にあっては、「障害がある=我々とは違う特別な存在」として認識されやすかったのではないかと想像しました。

    この本の著者(つまり取材者)が障害を持つ人々(取材される側)にとって「まだ純粋で学生を出たばかりの女性」だからこの内容を緻密に話してくれたのではないか、と考えたのは私だけでしょうか。
    恐らく障害を持つ人々にとっては数えきれない差別の歴史が人生でしょうし、ある意味では「またそれ?」と思わざるを得ないような(著者からの)質問に対して、真摯に答えてくれたというのは一つにその取材者が親切だったというだけではなく、この取材者(著者)に対して彼らが「我々の気持ちをこの人ならわかってくれるかもしれない。だから何度も何度も話しては誤解を受けたり笑われたり軽蔑されたりもしたけれど、もう一度話してみよう」と考えた結果ではないかと思うのです。

    「健常者だから大抵のことはできる」と、我々は恐らく殆ど全員が思っていると思いますし、その気持ちがないことには生きていけない心理的側面もあると思います。
    しかし一方で「できるかどうかに健常者かどうか、は関係のない事柄」についても今一度深く考えてみても良いのではないだろうか。
    そんな風に思った本でした。
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    投稿日:2019.11.18

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