【感想】樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外

川上未映子, 夏目漱石, 森鴎外 / 河出書房新社
(16件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
4
7
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ブクログレビュー

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  • aya

    aya

    230818*読了
    今巻は明治時代の文学。
    三人ともあまりにも名が知られている。
    けれど、教科書に載ってる作品しか知らないという事実…。
    樋口一葉にいたっては読んだこともなかった。

    「たけくらべ」は川上未映子さん訳の独特な感じがいい。恋と名付けられるようで、なんとも面映い男女の距離感。
    これが思春期ってやつか…甘酸っぺー。
    樋口一葉はあまりにも短命で。
    二十代前半でこれを書いたと思うと、才能がずば抜けているな。

    漱石の「三四郎」と、森鴎外の「青年」はとても似ている。
    「青年」が後に出ているので、森鴎外が意識しているとのこと。
    上京してきた真面目でうぶな青年が恋に破れる。
    百年ほど前でも恋愛、結婚がこんなにも違っていて、現代に生まれて自由に恋愛できてよかったと思わずにはいられない。
    今みたいに男女平等の精神なんてのはなく、女性が社会に進出しつつはあったけれど、とはいえ、やっぱり女性は早々と嫁いで子どもを生み育てる役割を担わざるを得ないところがあった。
    男性主人公ではあるのだけれど、わたしは出てくる魅力的な女性たちの方に惹かれたなぁ。

    三作とも恋がふくまれている。そして、舞台は東京。
    三人の作者が生きた時代も近いし、暮らしていたところも近い。
    都会ならではの出来事も小説内に散りばめられていたり、どこか賑やかな調子がある。
    そんな共通点の多い三作を味わえて、心がいっぱいになっている。
    続きを読む

    投稿日:2023.08.18

  • りの

    りの

    現在社会と作品の時代とを比べながら、いろいろ考えて読んでました。昔の人と現代人を比べると追求心や学問に対する姿勢、人付き合いというものが全く異なると感じた。文章中に所々読みづらい箇所があったが、深みもあって勉強になった。青年はもう少し時間が経ってから読み直してみます。続きを読む

    投稿日:2022.11.22

  • クマオ

    クマオ

    たけくらべ読み終えたところ。樋口一葉を読んでいなかった(日本文学をなんとなく敬遠していた)自分の愚かさを呪う。なんだこの瑞々しさ。おっとりした、それでいて景色のわかる気持ちの持っていかれる文運びと表現(これは現代語訳の賜物かもしれないが)。あー、、、、とにかく今日読めてよかった。

    三四郎読み終えた。NHKの100分de名著の漱石特集を観てうっすら冒頭は知っていたけども、そこからの印象とは違くなっていって。とても良かった。これも繰り返し読みたい。三谷幸喜さん演出の漱石を題材にした演劇、ベッジ・パードン(野村萬斎さん主演)を思い出しつつ、漱石自身の思想はどこかと想いつつ。

    青年、終えた。森鷗外という人は頭のいい人だったんだなあ。初めて読んだ。いやあ、よかったな。ちょっとお風呂にでも入ってゆっくり考えてみたい。話の筋そのものではなくて(失礼)、何に惹きつけられるのかについて。

    夏目漱石にしてもまあみんなそうなのだかもしれないが、この時代の若者はよくモノを吸収し、考え、悩み、自分なりの答えを出していることに改めて感服させられる。一言が、一単語が、自身から出てきていて、深く読んでも私などが自分の言葉で表現しえないだろうことを含んでいる。

    続きを読む

    投稿日:2021.02.12

  • フラニー

    フラニー

    いやはや、これは。
    はぁぁあ。
    なんとも。

    いいっ!

    カーソン・マッカラーズの「結婚式のメンバー」のあとがきで、「たけくらべ」を思い出した。だなんて村上さんが書いてたもんだから、気になって気になって文庫をペラペラとめくってみたんですが、原文はもとより、口語訳でさえなんだかちんぷんかんぷんと思ってたところ、池澤夏樹編の日本文学全集で、川上未映子が訳してるって聞いて、そりゃぁ好きだわきっとと思い、このかわいいピンクの全集を手にしました。
    それがほんとに私にしっくりピッタリ!だって川上未映子の「乳と卵」も、「先端で、さすはさされるわ…」も面白いねと思ってたから、そりゃもう楽しめたし、好きだったし、これ読む前に川上未映子の普通の小説も読んでおこうと思って「ヘヴン」も読んだとこだしで、しっくりハマりすぎました。

    なんて繊細で、生き生きとした物語がえっといつの時代ですか?これは江戸ですかね?一葉が書いたのは明治ですかね?まぁとにかく大昔に、私の大好きな青春文学の世界が繰り広げられていたとは…

    大黒屋の軒先で信の鼻緒が切れて、声もかけられない切ない美登利のあの姿、あれを知っているのはやはり「ガラスの仮面」で読んだからですけどもww

    いやぁ、美登利は、「悲しみよこんにちは」のセシルだったー!!
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    投稿日:2018.08.19

  • yukimi516

    yukimi516

    2016/10/22
    たけくらべ

    これまで、樋口一葉がなぜお札に載っているのか不思議だった、という以前に気にもとめてこなかったのだけれど、たけくらべ、面白すぎて一気読み。文体が軽快でリズミカル。読んでて気持ちがいい。そして何より、思春期の登場人物の心の内を表す文章は秀逸で、それはもうかゆくてかゆくてたまらない背中をピンポイントでさすってもらったかのように、私の胸にストンと落ちた。今回は川上未映子さん訳で楽しんだが、また違う翻訳でも読んでみたい。続きを読む

    投稿日:2016.10.22

  • yasu2411

    yasu2411

    「たけくらべ」の川上三映子の現代語訳がアマゾンなどで酷評されているけれど、僕は悪くないと思った。全編にわたってリズム感があり読みやすい。さすがに散文作家でありミュージシャンであると。ただ、あまりに「現代語」にこだわり過ぎたのではないか。確かに「まんもす校」はいただけない。一葉の文語調に対して口語訳であればよかったのではないだろうか。舞台は僕の家の近所だが、江戸の雰囲気がまだ強く残る明治の色彩を表現して欲しかった。
    「三四郎」は高校の時いらい。これが漱石の最高傑作というわけではないと思うが、いきなり「それから」でもないだろうし、良い選択だと思う。今読み返すと長年の記憶違いも多く、楽しく読める。
    「青年」も面白い。鷗外は多くの傑作があるにもかかわらず、いまだに高校の教科書には「舞姫」が収録されているそうだ。これでは鷗外を読まなくなる人を増やすだけでしかないのではないか。
    続きを読む

    投稿日:2016.04.28

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