【感想】雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―

村上春樹 / 新潮文庫
(93件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
13
32
34
1
0

ブクログレビュー

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  • emy

    emy

    このレビューはネタバレを含みます

    ギリシャにトルコ。【ギリシャ編】僕は本でアトスのことを読んで以来、どうしてもこの地を一度訪れてみたかった。そこにどんな人がいて、どんな生活をしているのか、この目で実際に見てみたかったのだ。-そこでは、人々は貧しいなりに、静かで濃密な確信を持って生きていた。 【トルコ編】トルコは兵隊の多い国。ギリシャ編とうって変わって、まあ、なかなか手強い。読んでいても、とてもとても手強い。世界は本当に広い。タフでハードな読書時間だった。ああ、面白かった。

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    投稿日:2024.05.07

  • Limei

    Limei

    本当に村上春樹さんの紀行文は最高。
    好奇心も心も満たされる

    ちょうど読んでいたとろに、ロシアのウクライナ侵攻のことで、息子に「日本はどこの国とも地続きで国境を接していないから感覚としてわからないけれど、地続きで隣り合う国があるってどんな気持ちなんだろう」というようなことを話しかけられました。
    村上春樹さんの旅当時はソ連(現在はジョージアとアゼルバイジャン)、イラン、イラク、シリア、ギリシャ、ブルガリアと接しているトルコの地図を2人で眺めながら「日本で生きていると他国と接している緊張感てないよね」と話し、村上さんの波瀾万丈の旅の訳がよくわかったし、接している国との関係もあるだろうから「その地域ごとの差の大きさに驚かされることになる。」「その地域地域によって、風景も気候も人々の生活も、あるいは人種さえもがらりと違ってくるのだ。」というのも納得。
    日本で生活している時には考えもしないようなことが、普通の生活の中にあるのだろうな。
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    投稿日:2024.03.13

  • kaname15

    kaname15

    ギリシャ編とトルコ編からなる紀行文。
    ギリシャ編はギリシャ国内に存在するアトスという宗教国家のルポ。ギリシャ正教会の聖地にして修行の地であり、正教会の信者以外の入国は難しい。また、女人禁制のため信者であっても女性は入れない。
    トルコ編は黒海沿岸やロシア(当時)、イラン、イラク、シリアとの国境地帯とのルポ。クルド問題や隣国との問題を抱えており、ガイドブックには「行くな」と書かれている紛争地域だ。
    これらの地域に村上春樹がカメラマンと共に乗り込む。かなりの緊迫した場面も淡々と書き綴る。辺境の人々の暮らしを記述していても、そこここに村上春樹節が染み出している。切り取り方が村上春樹なのだなと感じた。
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    投稿日:2023.11.11

  • なんくるない

    なんくるない

    ギリシャ・アトスには行きたくなり、トルコには行きたくない(読むだけで十分)という読後。
    残念、アトスは女人禁制の島なんだった…
    状況としては深刻で冗談も通じないようなシリアスな場面でも村上春樹の描く文章は何か状況を滑稽に伝える。

    2023.3.2
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    投稿日:2023.03.02

  • みんみん

    みんみん

    村上春樹の紀行文、いくつか読みましたが
    こちらがいちばんハード(かつタフ)な印象を受けました。

    日本に住んでいて想像できうる「ハードな旅行」を遥かに超越した別世界を見せてくれます。
    ギリシャ編はまだ楽しむ余裕があるのですが、トルコ編は「おお…」とちょっと引かざるを得ないような描写があります。(1988年の事なのでだいぶ違いはあることを差し引いても…)

    自然の美しい描写と、なんと言っても現地の人々の描写が生き生きしていて読み応えがあります。写真も、現地の空気が伝わってくるようなものばかりで見応えがありました。
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    投稿日:2023.02.14

  • じゅう

    じゅう

    「村上春樹」の紀行『雨天炎天 ―ギリシャ・トルコ辺境紀行―』を読みました。

    「坂本達」の自転車紀行エッセイ『やった。―4年3ヶ月の有給休暇で「自転車世界一周」をした男』に続き、旅の本で現実逃避です。

    -----story-------------
    「女」と名のつくものはたとえ動物であろうと入れない、ギリシャ正教の聖地アトス。
    険しい山道にも、厳しい天候にも、粗食にも負けず、アトスの山中を修道院から修道院へひたすら歩くギリシャ編。
    一転、若葉マークの四駆を駆って、ボスフォラス海峡を抜け、兵隊と羊と埃がいっぱいのトルコ一周の旅へ―。
    雨に降られ太陽に焙られ埃にまみれつつ、タフでハードな冒険の旅は続く。
    -----------------------

    「村上春樹」の紀行は、5年くらい前に読んだ『辺境・近境』以来なので久しぶりですね。

    本書はギリシャのアトスへの旅と、トルコへの旅が収録されており、以下の構成となっています。

     ■ギリシャ編 アトス―神様のリアル・ワールド
      ・さよならリアル・ワールド
      ・アトスとはどのような世界であるのか
      ・ダフニからカリエへ
      ・カリエからスタヴロニキタ
      ・イヴィロン修道院
      ・フィロセウ修道院
      ・カラカル修道院
      ・ラヴラ修道院
      ・プロドロムのスキテまで
      ・カフソカリヴィア
      ・アギア・アンナ―さらばアトス

     ■トルコ編 チャイと兵隊と羊―21日間トルコ一周
      ・兵隊
      ・パンとチャイ
      ・トルコ
      ・黒海
      ・ホパ
      ・ヴァン猫
      ・ハッカリに向かう
      ・ハッカリ 2
      ・マルボロ
      ・国道24号線の悪夢
      ・国道24号線に沿って

    ギリシャ正教の聖地アトスを巡る旅と、トルコを一周する旅、、、

    旅行先として選ぶには躊躇するけど、一度は足を踏み入れてみたい場所… でも、楽な旅じゃないですよねぇ。

    俗世界と隔絶されたアトスの不思議な世界観、死の危険と隣り合わせのトルコの辺境… 行ってみたけど、行くとしたら、なかなかディープな旅になりそうですね。


    実際には行けそうにない土地だけに、現実逃避にぴったりの作品でした。
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    投稿日:2022.06.27

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