【感想】「リベラル保守」宣言

中島岳志 / 新潮文庫
(14件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 太極堂

    太極堂

    「戦争を知る世代が持って欲しい良識」

    本書で語られる保守は自分の持っていたイメージとは違っている。
    理性の完全性を疑い、歴史の検証に耐えた伝統などを重視する態度が保守のおそらく本質で、単なる反左翼の思想ではないようだ。
    リベラルと保守は相反する概念だと思っていたが、「自由」と「寛容」を重んじるリベラルと保守は親和性が高いようだ。

    ある概念はその歴史性を踏まえて認識される必要がある。リベラルと保守は、異なる物を排除しようと血みどろの争いをしてきた歴史の反省に立ち、その歴史を積み重ねてきた。

    昔、保守派と目される元作家で都知事を務めた大物政治家が、目をパチクリさせながら「北朝鮮が拉致被害者を返さないのなら超法規的に戦争を仕掛けるべきだ」と仰っていたのを思い出した。彼の態度は恐らく正統な保守ではない。
    対して中曽根内閣で官房長官を務めた後藤田正晴先生はどうであったか。自身で戦争を体験した彼はペルシャ湾への自衛隊掃海艇の派遣を身を挺して阻止した。
    自分の体験したのと同じ困難を次の世代に感じさせたくないとの思いがあったのだろう。

    リベラル保守はともすれば「決められない」とか「スピード感がない」など悪い面もあるが、戦争とか、取り返しのつかない事態の出来を防ぐ力があるのではないかと思った。

    併せて読みたい
    「SPY×FAMILY」 遠藤達哉
    続きを読む

    投稿日:2024.01.22

  • 中尾

    中尾

    本当のリベラル、保守とは何なのかよく考えさせられる。なんでもかんでも、右なのか左なのかラベリングすることだけに執着し、思想や立場の本質を忘れがち。

    投稿日:2022.02.22

  • steroid66

    steroid66

    リベラル保守とはいうものの、そもそもの保守の定義から学び直しさせられた!対話を重ねて異なる境を辛抱強く乗り越えていく。人間の理性や科学に絶対の信頼を置かない。(人が不完全な生き物であることを念頭に置く)など、自分の考え方を裏付けるものが多かった。ここでもトポス(居場所)を失った大衆化した人間がテーマになっていて、シンクロニシティを感じる。続きを読む

    投稿日:2019.03.15

  • early-autumn1965

    early-autumn1965

    わかりやすく面白かった。
    本当の保守についてかなり理解が進んだ。
    しかし、保守というのはちょっとカルトっぽいな。
    自分はもう少し人間の理性や知性を信じてもいいと思う。

    投稿日:2018.06.27

  • キじばと。。

    キじばと。。

    バークやチェスタトン、あるいはわが国の福田恒存や西部邁の保守思想を継承し、左翼の設計主義から距離をとる一方で、反知性主義的な熱狂に浮かされるような自称保守の浅薄さを批判する著者の立場が語られている本です。

    著者の立場は、基本的にはコミュニタリアンに近いように思えました。ある程度共感できるところもあったのですが、本書であつかわれている内容は、原発問題や橋下徹批判など、ややジャーナリスティックなものにかたよっているように感じました。

    現実を遊離した理想に基づく性急で革命的な社会の変化に対しては懐疑の精神を向けてみることを怠らず、つねにみずからの思想的地盤を顧みる保守の精神を生かすに際してもっとも必要なことは、現代の日本社会を生きるわれわれのすぐ足下に広がる「戦後民主主義」という地盤を、まずはしっかりと認め、保守の立場からその思想的遺産をどのように受け継ぐべきなのかを考えることなのではないでしょうか。

    もちろん福田や西部も重要な思想家であることはまちがいありませんが、たとえば民主主義という枠組みのなかで個別的な問題を解決していくことで社会を改良することを主張した鶴見俊輔や市井三郎、あるいは国民経済の重要性を説いた大塚久雄、「一身独立して一国独立す」ということばに示される福沢諭吉を高く評価し「永久革命」としての民主主義を擁護した丸山眞男らの思索のうちにも、「リベラル保守」にとって重要な思想的遺産があるように思います。
    続きを読む

    投稿日:2018.03.23

  • milessmiles

    milessmiles

    著者によると保守主義者は理性や知性の限界に謙虚に向き合い、人間の能力に対する過信を諌める者であるとするなら昨今語られている自民党や希望の党の保守派まるで当たらない。むしり、枝野氏が語ったように保守とリベラルは対立する概念ではなく非常に親和性が高いことが伺える。そもそも三権分立に表れるようにチェック&バランスこそが能力の限界を保管すべく組織されているわけでその機能を削ぐかのような人事を平然と行っている安倍政権が保守を語ること事態が大きな矛盾を孕んでいる。続きを読む

    投稿日:2018.03.03

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