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網野善彦, 石井進 / ちくま学芸文庫 (4件のレビュー)
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fujitatetsuya
倭国=日本、律令制、農業=稲作、士農工商など、日本史上の「虚像」と目されるものを巡る批評。 わたしの生半可な知識では十分ハードコアな内容なのだが、対談という形式に助けられ、割と苦も無く理解は進んだ。…これが対談ではなく、論述式であったならば眉間にしわを寄せて読む時間は、倍はあったろうと思う。ビバ対談! 網野史学を教導者として日本史に親しむ人口は多かったのではないか? かくいう私はまさにそう。 高校の日本史の教師から研究者になり、「教科書の日本史」を否定し倒すという個性的な網野氏ももはや亡く。この分野でまた新たな教導者を探したい気持ちが募る。続きを読む
投稿日:2021.12.15
harmonixy
米・百姓・天皇 細野善彦さんを石井進さんが インタビューしたものである 机上の空論がまかり通る学会に 鋭い一石を投じ続けてきた細野さんの 広い視野に立った 庶民の暮らし振りの実態から紐解く見解を… 地道なデーターを元に証明していく どこでどう歴史に埋もれてきた証拠を 手繰り寄せるのか? その謎解きが小説の探偵モノより スリリングで面白い続きを読む
投稿日:2021.10.03
reinou
このレビューはネタバレを含みます
2011年(底本2000年)刊。 何れも日本中世史が専門だが、実証に裏打ちされた既存概念の壊し屋網野と、シャープな頭脳と問いかけで話者の真意を暴き出す理論家石井との歴史対談が面白くないわけがない。 農業概念が水田耕作(農本主義的、或いは水田稲作=日本文化とする史観からすれば、そうなりがち)に限らないことは、従前何度も述べられていたことで、初見でなければ新味は乏しいか。 本書で重要なのは、 ① 米の貨幣的役割が明治維新後に滑り落ちた点とその意味、 ② 古代を軸に、農本主義一元論と解する明治政府史観の刻印を打破する要、 ③ ②から生まれる古代律令国家への過剰な評価と、淵源を中世に持ち、近世期には広く勃興していた(萌芽的)商業資本主義の軽視ないし無視とは、改められるべき点、 ④ ①に関連して、古代以降、米は食糧ではなく、貨幣的役割を持つ一方(つまり金・銀などと等しい社会的意味を含意されていた)、陸稲や栗などの樹林性堅果、粟・稗等の米以外の穀物といった、水田稲作ではない食糧の重要性を、ゆめゆめ忘却してはならない点、 ⑤ 唐の法制を継受した古代律令国家は、現実と乖離した虚構(古代日本は超早熟な律令国家という言い回しが個人的には馴染む)。 ⑥ ⑤はきちんとリサーチしていればそれほど新奇ではないが、明代の法制継受の重要性指摘は(個人的に)新奇。 ⑦ 中国・朝鮮半島は勿論、タイ等米作地帯ですら、水田が課税基準になってはおらず、日本独特である点、 ⑧ 西の米、東の絹(養蚕) というあたりか。 他方、少し引っ掛かりあるも、首肯できそうな点として、 ⑧ 儒教は農本主義に親和的な一方、仏教は商業資本主義(重商主義?)に親和的 など。 本書から向後気にかけるべき点は、 ⑨ 貨幣・課税基準・農本主義と商業資本主義のシーソー状態の国際的比較の必要性。 ⑩ なぜ、米が貨幣代替物と課税標準として機能し続けたのか?、 というあたりだろうか。 なお、明治維新期の翻訳作業を著者らは否定しているのではなく、江戸期までに存在した数々の既存の経済・商業的用語を切り捨てた事実を忘却してはならず、また江戸期の商業資本の発展とこれに対する理解・認識がこれら翻訳作業の知的基盤を支えたことを忘却してはならないと述べる。 また、西尾幹二著作への批判はそのまま同意。
投稿日:2016.12.15
souhima
網野氏と石井氏の対談集。 後半に出てくる網野氏の江戸時代と明治政府についての見解は、これまでもやもやとしていた胸の内をすっきり晴らしてくれるようなものでした。
投稿日:2012.01.29
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