【感想】サザエさんの東京物語

長谷川洋子 / 朝日出版社
(15件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • boutoumetous

    boutoumetous

     串だんご三姉妹(実際は四姉妹)の末妹から見た長谷川家と昭和史。
     裁縫の授業中、『モンテクリスト伯』を隠し読んでいた著者に親近感を覚える。
     母子二代に渡って、配偶者との縁が薄い女所帯。母親はヒトラー、ワンマンとあだ名されたが、終りの方まで読むと、ワンマン体質は長姉に受け継がれた気がする。母親の享年が91と考えれば、長谷川町子の72歳は早すぎる。手術を勧めていれば延命したのではないか。遠回しに長姉を責めている気がした。
     手術といえば、『サザエさんうちあけ話』では胃かいようとされていた町子の病気が、はっきり胃がんと書かれている。本人は最後まで胃かいようと信じていたのだろう。
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    投稿日:2022.03.11

  • sldj

    sldj

    ヒトラーのような独裁者の母親と、サザエさんの作者である姉、
    姉妹社を設立しその姉を支える一番上の姉。
    三姉妹の一番下である作者の幼いころからの思い出話。
    長谷川町子氏のよりぬきサザエさん等で読んだエピソードなど満載で、
    ほのぼのした話かと読み進めると、後半は180度ぐるっと異なる。
    「だんご串」という独特の表現で、家族の一員としての悩み、姉妹間の軋轢が綴られている。この後半を読むだけでも一読の価値アリ。
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    投稿日:2020.09.29

  • darius1st

    darius1st

    サザエさんの作者・長谷川町子の妹のエッセイ。母と姉2人の中にあって結構抑圧された生活を余儀なくされたのかなという感じがそこここに見られる。お姉さんの町子さんはサザエさんというより意地悪ばあさんのイメージか?続きを読む

    投稿日:2017.05.26

  • hito-koto

    hito-koto

    「サザエさん」の長谷川町子さんの妹の長谷川洋子さん(1925年福岡生まれ)著「サザエさんの東京物語」、2008.4発行です。初めてで最後の本とのことです。長女まり子さん、次女町子さん、三女洋子さん、母親の貞子さんが設立した「姉妹社」での仕事を始め、三姉妹はずっと一緒の仕事を(サザエさん)。三女の洋子さんから眺めた母親、そして姉たちの想い出を綴ったエッセイです。1992年5月、町子さんが逝去の歳、数十億の遺産相続放棄については、三姉妹串団子のしがらみから抜け出したい思いから、財産より自由とのことでした。続きを読む

    投稿日:2017.04.25

  • 雪

    三姉妹の三女洋子さんの眼から辿る長谷川家の歴史。
    ご家族それぞれの想いが…私なりに読み取れました。そして何だかとても癒されました。

    投稿日:2017.03.01

  • koba-book2011

    koba-book2011

    表紙がカワイイ。タイトルが素直で魅力的。
    そんな、担当編集者さんが聞いたら大喜びしそうなコトが衝動買いの大きな理由でした。
    あとは、長谷川町子さんの名著「サザエさんうちあけ話」が大好きなこともあって。
    とーっても薄い本で読み易く、イッキに読んじゃいました。
    軽いけどちょっとしみじみ。良い本でした。

    平成の俗世の汗臭さをシュッっと忘れさせてくれる。
    歳月と家族、そして昭和の東京という風景を気負いなく、美化もせず、ぽんっとささやかに置いてくれたような一冊。
    長谷川町子さんのマンガエッセイ「サザエさんうちあけ話」とご一緒に、おすすめです。
    (「サザエさん」よりも100%おすすめです!)

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    漫画「サザエさん」「いじわるばあさん」で有名な長谷川町子さんの妹さんが書いた、自伝的エッセイ、ということになります。
    長谷川洋子さんは大正生まれなので、今もご存命なら(失礼、知りません)90代のはずです。
    この本は2008年の本だそう。

    長谷川家とマンガ「サザエさん」の一代記、という意味では、内容的にはほぼ「サザエさんうちあけ話」と、多分7割方一緒です。

    長谷川家は、まりこ・まちこ・ようこの三姉妹。
    父が早世して、経験なクリスチャンでありかつパワフルな母君が君臨して女手ひとつで三姉妹を育てます。
    長姉まりこさんの夫君は結婚後出征、戦死。
    まちこさんはまんが道で独身を貫いて、末妹のようこさんが戦後に新聞記者さんとご結婚。
    でもお嬢さんを二人遺してやはり夫君ががんで早世します。

    結果、戦後の「サザエさんブーム」の裏で、母、三姉妹、ようこさんのふたりの娘、という。
    女ばかりの三世代一家になった訳です。
    無論、サザエさんの大ヒット後は、細かいお金の不自由は無く、当然「お金持ち」の部類には入ります。
    そうなんですが、この一家の物語はやはり面白い。

    極端に人見知りで社交嫌いでシャイで内弁慶な、漫画家・まちこさん。
    三姉妹で結成した出版社「姉妹社」。
    品があるけど行動力抜群で、当たって砕けまくるゴッドマザー。
    個性豊かな三姉妹。
    抱腹絶倒な上に、時代を感じる数々のエピソード。

    そしてこの本は後半、末妹・洋子さんの「60近くまで、強烈な母や姉たちの支配下に居過ぎた」という勇気ある反省と独立の回顧録になります。
    家族内の批判めいたことはありませんが、そうとうな「女系家族」の確執があったんだろうなあ、という。
    そして、それでも家族は家族、という素直な感情。
    子育て、そして病気、そして親の最期という、地味ながら万人に共通な事柄への体験談と思い。

    ご一家は皆さん、どうやらプロテスタントのクリスチャンなんですね。
    そして、育ちが良い(といっても中流勤め人家庭だったはずですが)家庭出身のせいなのか、
    いろいろあっても権力や名声という欲望の罠にかすりもせずに過ごした、
    あるおんなばかりの一族の昭和時代の長い長い物語。
    それを、力まず謙虚に、そして素直に綴る文章がとってもさわやかな。

    このご一家、ぜんぜん、「普通の一家」じゃないんですね。
    ここから、ある種のぶっとびSFユートピアのような「サザエさん一家」が生まれたのが単純にオモシロイところ。
    そして、実は作者の家族の方が、ドラマチックと言えばドラマチック。

    35年くらい前に、NHKの朝ドラ「マー姉ちゃん」が作られるのもむべなるかな。
    (アレは原作が「サザエさんうちあけ話」。田中裕子さんのデビュー作)

    しかし、長谷川洋子さんが、ウン十億という母と姉の遺産を完全相続放棄している、というのもびっくりでした。
    逆に国税局に疑われたエピソードが、笑えて、そしてちょっぴり泣ける感じでした。
    続きを読む

    投稿日:2015.04.22

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