【感想】ひとはなぜ乳房を求めるのか 危機の時代のジェンダー表象

山崎明子, 黒田加奈子, 池川玲子, 他 / 青弓社ライブラリー
(1件のレビュー)

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  • ヒギリ

    ヒギリ

    「乳房」像をめぐるあれやこれや。
    全体に、悪くないけど物足りない。
    良い問いになりそうなのに問いを立てただけで終わってしまう。
    もうちょっと掘り下げて欲しい。

    後書きが幼かったから、若い人たちの集まりだろうとプロフィールをみたらそうでもなかった。
    内容もさることながら、雰囲気が大学生のゼミのノリをそのままひきずってるみたいだ。


    1章:医学的言説における女性の体
    医学の文脈の中で女性の体はどのように「理解」されてきたか。
    現代医学の中の扱いではなく、もっと古い話。男が考える女の体。
    すなわち「男性(スタンダード)じゃない」体。
    古代ギリシャあたりの引用は引用だとわかっていても気持ち悪い。
    あんまり気持ちが悪いので、この章を読むだけでだいぶ時間がかかってしまった。

    2章:ピンクリボンキャンペーン
    キャンペーン自体は女性のための活動なのに、啓発ポスターが「行ってらっしゃい、エイズに気をつけて」レベルの気色悪さ。
    「あなた(私)の体」ではなく「みんなの女」を健やかに管理しようという、これが現状。
    河野美代子さんがどっかで「彼女の診察についてくる”優しい彼氏”」の支配と自己コントロールについて書いてたのを思い出した。

    3章:戦時下日本映画における「授乳」表現
    ここでいう「授乳」は乳を飲ませることに限らず、赤ん坊を育む関係をひっくるめてのこと。
    でも「育児=授乳」のカテゴライズは、前章で問題にしている「乳房=母性」のレッテル貼りに貢献しちゃうんじゃないだろうか。

    4章、ヨーロッパのペスト危機の頃の絵画における乳房表現
    良い乳/悪い乳、マリア/エバ。
    これもやっぱり乳に注目して見るからそう読めるだけのような気もする。
    加齢への憎悪や貧民(部外者)への憎悪と読むこともできる。
    なぜあえて乳に注目するのかという説明が弱いので、これもやっぱりラベルの貼りなおしに見える。

    5章日本のポルノ映画とレイプ表現。
    こう描かれていますよという説明だとわかっていても胸糞悪い……
    この文章じゃなくて現実が。
    そしてまた物足りない。ここに描いてあることは前提であって、そこからの発展が読みたいんだけどなあ。
    続きを読む

    投稿日:2011.10.05

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