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水谷千秋 / 文春新書 (12件のレビュー)
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総合評価:
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お転婆さん
その血統に???がつく第26代継体天皇。それまでの仁徳朝がいったん途絶えた後、はるか5代前まで遡って「ぢつは親戚だよ〜」とやってきたストレンジャー(もちろん大伴氏、物部氏のバックアップあってのことだけ…れど)にいったいどんな強みがあったのかを、朝鮮半島との関係を鑑みながら書かれた本。 学校の日本史の時間では、この時代には任那という日本のテリトリーが朝鮮半島にあり、継体天皇はそれを失ったことになっている。 けれどこの本では、そもそも継体天皇がベースとしていた(今の)琵琶湖北岸、東岸には鉄器等の外来文化が強く根づいており、彼の重要な経済的地盤となっていたこと、そしてさらに琵琶湖から桂川経由で(今の)高槻や枚方にも商圏を拡大したなかなかのやり手であった、ということになっている。 つまりですね、古墳時代の前期には奈良盆地から二上山を越えた難波津、すなわち近鉄エリアの範囲にしか過ぎなかったヤマト王権を、一気に京阪、阪急、琵琶湖線、湖北線まで拡大したのが彼だったわけです。凄いよね。 で、そして従来は「(せっかくの植民地)任那を失った」という捉え方ではなく、運営コストを考えた上でとっととそんなモンは百済に譲り、代わりに中国からのエンジニアや文人をコーディネートしてちょうだいな、と持ちかけた賢帝だったということになる。 さらに当時の百済の武寧王の棺桶は、日本特産の高野槙で作られているそうな。棺桶の材料を提供するくらいの親密な外交関係を築いていたわけですね。 中学や高校の日本史ではほんの1,2時間で語られてしまうような内容が、ぢつはとってもエポックメイキングな時期だった、ということでした。続きを読む
投稿日:2023.12.17
coffeephile
武烈天皇が世を去り、本流の天皇家の血筋で厚意を継ぐ者がいなくなった。そのときに白羽の矢が立ったのが、応神天皇の五世孫で、近江・北陸の地を拠点とする継体であった。 本書は、傍流の継体がヤマト政権の権力…を継承し、どのような内政、外交を行ったのか、その当時の日本国内の勢力図がどのように変遷していったのかを、文献や出土品、ときには古墳に用いられている石棺の石の産地などから解き明かしていく。 朝鮮半島にみとめられる前方後円墳の意味するところ、百済王の墓に使われている日本固有種の木材、継体の出身地に根を張っていた渡来人、ほど近い若狭から開ける航路などから、継体は半島への渡航歴もあったのではと著者は推測する。 ともすればよくわからない点の多い印象だらけの古代史だが、丹念に資料を読み解けば意外なほどに活発な当時の外交関係までもが見えてくる。 非常に興味深い一冊。続きを読む
投稿日:2020.03.22
sasha89
継体天皇は朝鮮半島から渡来した王位簒奪者だったっ! なんていうトンデモ本ではなく、『古事記』『日本書紀』を 読み解き、古墳や出土品から継体天皇のルーツを 探るというとっても真面目な本である。 皇統か…ら限りなく遠い応神天皇5世孫である継体天皇が 何故、天皇として即位することになったのか。 朝鮮半島からの渡来人と、地元の豪族との住み分けが なされていた土地での渡来文化の普及等、興味深い 話ばかり。 継体天皇のことがもっと分かれば、現在の皇室に繋がる 流れも判明するんじゃないか?あ…もしかして、何か 都合の悪いことがあるのかなぁ。 しかし、いかんせん読んでいる私に古代史の知識がないっ! あ…古代史ってより日本史全般が苦手なのだわ。 古代史の研究者ってすごいよね。5世紀くらいってほとんど 資料が残っていないのに、発掘品などからいろんな推測を 打ち立てていくんだもの。 こういう作品を読んでいると、日本っていう国は古くから朝 鮮半島や中国大陸からの文化を吸収して発展して来たの だってのが実感できるよね。 レイシストは歴史を勉強した方がいいよ。続きを読む
投稿日:2017.08.19
小田 浩彦
年末に、筑紫国磐井の墓といわれる岩戸山古墳を見てきて 磐井を倒した大和政権側の継体天皇に興味が出たので図書館から借りた。 Amazon 書評では朝鮮半島の国の人にとても言えないことが書かれていと記載あ…った気がしたが実際読むとそのような箇所は1つも発見できなかった。続きを読む
投稿日:2016.02.14
ma2373
古代史にはそれほど興味はなかったのですが、本書は面白かったのであっという間に読み切ってしましました。本書では継体天皇という謎の大王とその継体天皇の出自や支持勢力についての考察が書かれています。本書の著…者、水谷さんは古代史が専門で過去に「謎の大王継体天皇 (文春新書)」、「謎の豪族 蘇我氏 (文春新書)」などの著書を世に送り出しています。まさにこの時代のスペシャリストといってよい方だと思います。それゆえに内容はかなりハイレベルで、想定される読者も日本の古代史についての基礎知識がある人だと思われます。しかし、僕のような門外漢でも興味を保ちつつ読み進めることができたのは、面白いトピックを織り交ぜつつ文章が書かれているからだと思います。本書を読んで、謎の大王継体の姿に迫ることができたと思います。続きを読む
投稿日:2014.10.24
文藝春秋公式
【見えてきた謎の天皇の素顔】『謎の大王 継体天皇』から十年。考古学上の発見も取り入れて新しい継体像を提示。傍系・地方出身の天皇がとった東アジア戦略とは?
投稿日:2014.09.09
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