【感想】経済学の名著30

松原隆一郎 / ちくま新書
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
3
3
6
0
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • おぬま

    おぬま

    図書館で借りた。
    この手の「本紹介本」は、とりあえず紹介されている本の並びが知れれば良いと思っている。経済学も私にはまだまだ素人なので、「『経済学の本』ってどんなのがあるんだろう?」という感覚・目的だけ。深入りはしなかった。

    この本の良いところは、客観的に中立な立場で経済学の本を紹介しているところ。
    共産主義に対するスタンスなど、どうも偏りがちな学問らしく、著者が意識づけた旨が書いてあった。
    続きを読む

    投稿日:2022.04.18

  • コナン.O.

    コナン.O.

    松原隆一郎(1956年~)氏は、東大工学部卒、東大大学院経済学研究科博士課程単位取得退学、東大教養学部助教授、東大大学院総合文化研究科教授等を経て、放送大学教授、東大名誉教授。専攻は社会経済学、経済思想史。
    本書は、経済学の古典・名著から厳選された30冊について、そのエッセンスをそれぞれ6~12ページ程度で紹介したものである。
    収録されているのは、ロック『統治論』、スミス『道徳感情論』、『国富論』、J・S・ミル『経済学原理』、マルクス『資本論』、シュンペーター『経済発展の理論』、マーシャル『産業と商業』、ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』、ポラニー『大転換』、サムエルソン『経済分析の基礎』、ハイエク『科学による反革命』、『自由の条件』、ガルブレイス『ゆたかな社会』、フリードマン『資本主義と自由』、ドラッカー『断絶の時代』、ロールズ『正義論』、セン『不平等の再検討』等。
    私は、世界中で広がる経済格差の元凶ともいえる資本主義に問題意識を持ち、これまで、水野和夫、トマ・ピケティ、ジョセフ・スティグリッツ、(社会学者)広井良典、斎藤幸平らの著書や、経済学史を扱った中村隆之『はじめての経済思想史』、荒谷大輔『資本主義に出口はあるか』等を読んできたが、本書を手に取ったのもその流れによる。
    本書では上記の通り、ロックに始まり、古典派経済学、マルクス経済学、ケインズ経済学、新自由主義派、更にセンに至る著作が取り上げられているが、著者は、経済学の分野は、政治学や社会学と異なり、複数の異なる学派の共存に寛容でなく、単独の学派の独占状態をあえて忌避しない風潮が強いため(特に、かつてのマルクス派、近年の新自由主義派)、単独の著者による経済学史の本についても、(著者が支持する)単独学派の優位性を示すような書き方をされることが少なくないことを指摘し、本書においては、できる限り中立に、「それぞれの著者の意図をできる限り再現し、歴史的な経緯もふまえて紹介すること」を基本方針としたと語っている。
    そうした中で、著者が示した、歴史家フェルナン・ブローデルによる「市場経済」と「資本主義」という対比を用いた説明は興味深いものである。それは、貨幣と商品の交換の連鎖である経済について、商品が商品と交換されるように見るのが「市場経済」で、貨幣がより多くの貨幣をもたらすように見るのが「資本主義」とする。そして、前者は、スミスから新古典派、ハイエクらによって論じられ、金融市場を実物経済と両立し得るものと見做してきたのに対し、後者は、マルクス、ケインズらによって論じられ、人間には貨幣そのものを蓄積しようとする性向があり、よって資本主義と市場社会の間には矛盾があると見做してきたというものである。これに基づけば、近年広がる「資本主義の限界(→脱成長コミュニズム)」という論調についても、前者は否定、後者は肯定ということになる。
    一から通読するには少々パワーが要るが、興味のある部分を読むということでも有用な一冊と思う。
    (2022年1月了)
    続きを読む

    投稿日:2022.01.17

  • サム

    サム

    原典を読んでおらず(理解できる自信もない)、著者の解釈や30冊のチョイスの評価は当然できないが、そもそも経済学が主観的で何が正しいとは言えない学問であることがよくわかった。
    時代背景や各学者の信条による守備範囲や前提条件の違いが興味深かった。知識不足で理解できなかった部分はこれから勉強したい。
    経済の本や専門家のコメントに触れる際に「この人はどの流派か」と考える上で参考になりそうだ。
    続きを読む

    投稿日:2020.06.07

  • prigt23

    prigt23

    ちくま名著30シリーズを読んでみた。1冊目。

    あまり経済学に馴染みのない自分にとって、読み進めるのに時間はかかったものの、あまり耳にすることのない経済学者の名前と、その著書を知ることができて読んでよかったと思う。

    ナイト『リスク・不確実性および利潤』などは著者も著書もまったく知らない状態だったが、こうした知らなかった名著を通して経済や人々の営みを見通すという行為のおもしろさを感じる。またハイエクの名前は知っていても『科学による反革命』というあまり聞きなれない著書を取り上げている。単なる名所めぐりのような凡庸な内容ではなく、名著らしい名著とでもいうのか、その影響度だけではなく質の良さから30冊を選択しているようにも感じられる。

    ボードリヤールについての解説はとくに印象に残った。
    シミュレーションの世界として「記号としての商品の消費」というのはうまく説明できているように感じた。
    続きを読む

    投稿日:2018.11.25

  • japapizza

    japapizza

    古典は読むのが難解で読むにはなかなかの覚悟が必要だが、本書を読むことで若干読んでみたいなと思えた。なぜそう思えたのかといえば、古典の現代的な意義を、最近の出来事と絡めて紹介されていたいたからだ。

    ン『不平等の再検討』
    フリードマン『資本主義と自由』
    続きを読む

    投稿日:2018.10.08

  • starkirari

    starkirari

    経済思想の豊穣さを感じられる一冊。公務員試験の教科書に載っている経済学は、サムエルソンの伝統を引き継ぐもので、経済学の一部に過ぎないことが分かり、目から鱗だった。一方で経済学者の眼は、時に正義論をも巻き込み、政治学や倫理学との境界上で、その範囲を自問していることに分かり、非常に興味深かった。続きを読む

    投稿日:2018.06.22

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。