【感想】昆虫食入門

内山昭一 / 平凡社新書
(20件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
1
10
6
1
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • ghostrider

    ghostrider

    図書館の電子書籍で。
    昆虫食業界の第一人者の著者。
    タイトル通りに昆虫食の概論。食べなくなってきたので昆虫食が奇異に感じられるだけで,食材の1つとしての位置づけ。食文化の変容。社会状況の変化によって,現在の食文化を維持できなくなれば昆虫が食材として注目されるようになる。2020年代はその幕開けか?続きを読む

    投稿日:2022.03.27

  • 酒井高太郎sakaikotaro

    酒井高太郎sakaikotaro

    (01)
    多種な昆虫のなかで、食用としての可能性のあるいくつかの種(*02)について、世界的規模での過去の事例や習慣から、生産管理による人間の栄養源としての可能性まで探っている。
    昆虫側の事情もあるにはあるが、多くは人間側の事情が昆虫食にはつきまとっていることがわかる。味の分析も興味深いが、昆虫にまつわる心理や文化、そして食へむかうための教育など社会がどのように昆虫を受容できるかについても具体的に示されている。

    (02)
    イナゴやカイコなど、むしろ人間とともに繁殖、管理されてきた種については地域によって食文化が既に営まれているが、そのほかにも現代の身近な昆虫たち、セミ、カマキリ、カメムシ、ゴキブリ、シロアリなどが、世界の事例も参考に、試食されている。
    おそらく昆虫食が劇的に食文化を変えることはないであろうが、本書をはじめとする取り組みによって見直される時代にきていることは確かであろう。
    続きを読む

    投稿日:2019.03.21

  • kakabalika

    kakabalika

    コガネムシはゴキブリのこと。
    害虫としての認識は国家が作った虚構
    アリストテレスはセミは孵化の直前が美味しいと記載。
    食品に必要なのは、清潔ではなく、清潔らしさ。人間は脳でたべている。伏木亨
    アメリカの食品衛生局は昆虫などの混入の許容レベルを定める。これは殺虫剤を多用するよりも無害な自然物の混入の方が良いから。
    関心は4つのグループに分けられる。1つは狩猟採集活動として、古来からあった自然な行為。2つはグルメとして、おいしさを追求。3つはエンターテイメント、珍奇性を楽しむもの。4つは科学として有効性を提示したい。
    セミはミネラルが豊富なのでミネラルセミ茶もあるのではないか。
    飼料要求率とは、正体1グラムを増やすために餌が何グラム必要かを見るもの。カイコは4.22、牛は10〜15。
    エネルギー変換効率は、生体1キロカロリーの体組織を作るためになんカロリーの餌が必要かを示すもの。
    カイコは3.2、ブロイラーは2.05。ブロイラーの方が効率的。
    1平米あたり何キロの肉を生産できるかは、カイコは221キロに対して、ブロイラーは105キロ。
    可食部は、肉は43パーセントたが、カイコは100パーセント。昆虫は一般的に成虫は80〜90パーセント、幼虫は100パーセント。
    変温動物は、基礎代謝が低く、エネルギーが消費されにくい。
    日本のフードマイレージは総量でも一人当たりでも世界一。
    韓国やアメリカの3倍。イギリスやドイツの5倍。
    続きを読む

    投稿日:2019.02.19

  • ashisas

    ashisas

    このレビューはネタバレを含みます

    伝統食でありながらゲテモノ食とも思われてしまっている昆虫食。この本の著者の内山先生を招いた勉強会が社内で開かれたこともあり、勉強会後に読んでみました。

    冒頭のカラーページに掲載されている各種の昆虫料理の絵ヅラは破壊力満点ですが、中身は至ってマジメ。
    昆虫食の歴史、食べられる虫の説明(味や食べ応えについても細かく書かれてます)、社会や地域によって「昆虫を食べる」という行為の受容性が異なるのはなぜなのか、といったあたりが網羅的に説明されています。細かい部分はあまり追及されておらず総論的な内容となってますが、これは新書という性質上、仕方ないでしょう。

    個人的な気づきとしては、まず昆虫食は「他の蛋白質豊富な食品が手に入らない地域で仕方なく食べられていたもの」ではない、ということ。たとえば長野で食べられているザザムシについては、それが捕れる場所は即ち川魚が捕れる場所なので、「あえて好んで」ザザムシを捕って食べていたのだ、と著者は述べています。

    また、「虫は不衛生である」という論に対しては、明治以降に不衛生な環境と虫とを結びつけて考える風潮が醸成され、それによって虫が汚いものとされてしまったと述べたうえで、「食べないからこそ汚いものであるという意識が生まれる」のだと説明しています。そういう考え方もあるのか、と気づかされるポイントでした。
    実際、イナゴやハチノコを食べる文化圏の人は、虫を汚いものや気持ち悪いものと認識することは少ないのではないでしょうか。

    一方で、この本からは「昆虫を食料として安定供給する」にあたっての課題も見えてきます。
    個人的に一番気になったのが、陸上の畜産物や魚に比べ、「育った環境や採集された場所により、栄養価や摂取できるカロリーにバラツキが大きいのではないか?」ということ。どんな食材でも栄養価はバラつくと思いますが、昆虫はその程度が大きいのではないかと思われます。
    さらに、人が必要とする栄養価やカロリー量を満たすためには相当な量の虫を食べる必要があり、それだけの量を安定的に供給できるか(=養殖できるか)も課題でしょう。趣味の範囲で佃煮などにするために捕獲するならまだしも、本気で食材として供給するには養殖は必須。その辺をどうするかは課題になりそうです。

    ただ、本書によれば昆虫は「食料が人間の食べる食材と競合しない」ため生産しやすく、「変温動物のため体温維持にカロリーを消費せず、溜め込んだエネルギーをそのまま食料カロリーとして提供できる」ため栄養効率も高い、とのこと。
    あとは、食べ慣れておらず生理的抵抗感が強い、というポイントがかなり高いハードルになると思われるので、そこを何とかしないといけないでしょう。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2017.07.02

  • DaiSugi

    DaiSugi

    昆虫食興味深し!
    イナゴの佃煮は食べたことがあるがそれ以外にも挑戦してみようかと思えてくる!
    日本では長野が昆虫食で有名だが、東南アジアなどへ行くとなると昆虫食を実践する必要が出てくるかもしれない!
    将来的な食糧難を見越して慣れ親しんでおくべきなのかもしれない!
    もしかしたらビッグビジネスの温床でもあるのでは?
    続きを読む

    投稿日:2017.01.12

  • reinou

    reinou

    このレビューはネタバレを含みます

    2010年刊。

     英国ではデビルフィッシュと呼ばれるタコを食する日本人。ならば、カタツムリは勿論、昆虫すらこれを食する文化に対して嫌悪感を持つのはお門違い。まして1950年代までは日本でもこれを食する地域があり、あるいは戦時中は救荒食として珍重されたものならば猶更だ。
     本書は、この昆虫について、食する(世界各地の食用昆虫の種のみならず、その調理法も)ものとして解説しつつ、さらに漢方的な薬として利用されている様も説明を加える。
     また、昆虫食に忌避感がもたらされる心理的・文化的障壁にも言及する野心的な書である。


     なぜ忌避されるのか?。一番腑に落ちたのは、カニやエビと比べて昆虫表面の油分が多いこと(家庭内でのGが典型)、昆虫の食性が例えば腐葉土(カブトムシの幼虫)や木の樹液などおよそ人間が食さないものを対象にしているからかと思える。流石にGを生では食べれんだろうなぁと感じる所以。

     むしろ牛や豚等の如く育種・品種改良を施してこなかった昆虫であれば、人間の味覚に耐え、いや、より美味しくかつ健康食として改変を加えられたらどうなるか、に興味を覚える。
     この点、著者は将来像として指摘するが、具体的には未だ手付かずのよう。
     さらに驚くのは、火星や月面での長期滞在に昆虫食、特にカイコやハエ(廃棄物処理に有益。オムシスか)を検討している点だ。なるほどと思うが、なかなか偏見から逃れるのは難しい。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2016.12.23

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。